表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第一部 ハードボイルドがわからない件について(仮)
10/227

嵐の前の静けさとはこのことだと感じる件について(仮)


 家のリビングには異様な雰囲気が漂っていた。

 唐突に宮内が家庭訪問にきたときに、ちょうどハルカも帰ってきた。それが午後六時半すぎのことである。それから、なぜかハルカが宮内のことを夕食に誘い。現在、ハルカが作るご飯をかおるは宮内とともにリビングで待っていた。

 沈黙が続く。ハルカも無言でご飯を作るタイプなのでしゃべらない。かおるはそれに耐えれなくなり、口を開く。


 「あの? 宮内さんはなぜに今日この家に?」


 まあ、当然の疑問だ。この理由を聞かない限り、なにも始まらない。


 「今日、私はあなたを会合にお誘いしました。」


 宮内は少し怒っているような感じがした。かおるはそれに少し驚く。それにしても、相変わらず中二病モードでないときは上品な話し方をする。なにが上品なのか、かおるは教養がなかったがそう思った。

 

 「会合って、あの紙の切れ端に書かれていた会合のこと?」


 「そうです。」


 「それなら、持っているよ。これだろう?」


 かおるは紙の切れ端をテーブルに置く。現在、二人は向かい会って座っていた。


 「ええ、なぜ、それをもらったのにこなかったのですか?私たちはずっと待っていました。」


 「場所がわからなかったんだ。この胸の中だかなんだかが、よくわからなかった。」


 かおるは、どうしたものか悩んでいた。会合とやらに誘われて、行かなかったわけだ。確かに場所のこともあるが、そもそも行く気がなかったので、まあ、かおるが悪い。だが、かおるはそれをここで素直に認めることができなかった。

 なぜなら、ハルカがいたからだ。つい昨日に宮内との間にある誤解をはぐらかしたばかりなのに、こんなことになるとは、ここで素直に謝ってみろ。これもこれで変な誤解がまた起きてしまう。

 なぜ、自分がハルカに誤解されることを恐れているのか、嫌なのかはよくわからないが、とりあえず宮内には悪いが、ここは無理やりにでも強気で行かしてもらう。


 「それに、俺はこういうことは、直接いってほしいたちで、こういうのはあまり好きじゃない。」


 「教室には行きました。でも、いなかったので仕方がなかったのです。」


 「それでも、もっとやりようはあったと思うんだ。ほんと、行かなかったのは悪かったけど、今日ばっかりは仕方がない。俺にも予定があるんだ。」


 あれ? 今謝罪の言葉を言ってしまって気がするが、仕方がない。


 「それなら、断りをいれてほしかったのです。」


 「その時間がなかった。」


 「通信をしてくれればよかったのです。」


 「通信?」


 なんだ通信とは? なんだか嫌な予感がする。これはまさか・・・。


 「できますよね? 通信。こう・・・。」


 そういって、宮内は目を瞑って、瞑想でもしているような格好となる。そして、数秒して目を開ける。


 「なぜ、ブロックするのですか?」


 「ブロック?」


 「私は今、あなたに呼びかけました。でも、反射されてしまいました。それはあなたが他人からの通信をブロックしているからです。」


 意味がわからなかった。単語としては知っているものばかりなはずなのに、それの文章が意味がわからない。でも、これはいいかもしれないとかおるは思い。その流れに無理やり乗ることにする。


 「そう。俺はブロックしている。」


 「なぜですか?」


 「俺は通信が得意じゃないんだ。他人とそういうことをするのが好きじゃない。それは誰であってもだ。」


 もしかして、と思い。かおるは続ける。


 「胸の中というのはもしかして、この通信のことをさしている?」


 「そうです。その文言で伝わると考えたのですが、なにせ、私たちとあなたでは土壌が違うので伝わらなかったみたいですね。そちらではなんと言うのですか?」


 「そうだな・・・・。」


 かおるは考える。ここで、かおるの暴走スイッチに少し電源が入る。そう、中学のころの球技大会で、変にスイッチが入り不良相手に本気でがんばった結果、放課後にぼこぼこにされるという結果を招いたスイッチである。


 「soul speak かな。」


 かおるは持てる発音の最大を出して、答える。そう馬鹿である。

 しかし、それが宮内に衝撃を与えてしまう。悪い意味で。


 「soul speak !!!!!!!」


宮内はそれまでの、かおるを責めるような眼差しではなく。あきらかに尊敬に近い眼差しに変わる。


 「そちらの世界ではそういうのですか!? いいですね!! それ!」


 「え? ああ、そうだろう?」


 「これからわたし達もそれを使うことにします! いや・・・・・。」


 そういうと、宮内は顔に手をあてて、雰囲気を変えた。


 「我らも貴殿の力の一旦をいただこう。」


 (それいるのか?)


 そのとき、かおるは悪寒がした。これはあきらかに、キッチンのほうから漂ってくる殺気だ。それは宮内にも伝わったのか、中二病モードで言う。


 「なにか、感じる! これは・・・・・、殺気!?」


 それを聞いて


 (いやこいつのは違うか。)


 とかおるは思う。

 

 そのとき、キッチンからハルカが言う。


 「ご飯できたわよ。」


 ハルカがご飯をぞくぞくと運んできた。かおるは、今日はいつもよりも、品数が多いので手伝おうとして席を立つ。そのときハルカが、かおるの肩を抑えて言う。笑顔で。


 「いいのよ。かおる。宮内さんと仲良く話していたらいいの。」


 かおるは、その笑顔と言葉から、あきらかに変な誤解をしているのか、ハルカが怒っているのを感じた。これはまだ宮内がいるからの態度であり、後々のことを考えてかおるは体が震える。


 もう静けさは終わってしまった・・・・・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ