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あさやけの

流星群が見えるらしい。そうニュースで聞いた。

「明日の朝空いてる?流れ星、見に行こうよ」

彼女から、そう持ちかけられた。

興味が有る。流星群も、彼女にも。

「いいね、行こう行こう」

メールでの自分は饒舌だ。


「よかった。なら、川沿いで見ようよ」

ここは郊外だから、元々明かりは少ない。

彼女が言うには、それでも、少しでも暗い所の方が良いらしい。

「了解、何時に待ち合わせにしようか?」

「午前3時に、大学前ね」

そう待ち合わせした。

午前3時くらいから、見えるらしい。



川沿いとは、大学の裏手の田圃のことである。

用水路として、小川が流れている。

初夏には、蛍をみることができる。

小川と田圃を手前に、遠くには、夫婦山めおとやま

右の500mが男山、左の370mが女山だ。

季節は冬である。川沿いはさらに寒い。

寒さに耐えながら、2人で空を眺める。

ほんのり、石鹸の香りが漂って来る。




空が白んで来た。日の出が近い。

粘ったものの、5つくらいしか見えなかった。

「流星群、あんまり見えなかったね」

「そうね、でも、別にいいかな」

彼女は自分ほど残念そうではない。

さらに続ける


「こんな歌、知ってる?」


朝焼けの めおと山

繋ぐのは 白い雲

雲わたる 渡し船

我が心  載せてゆく


「いや、知らないな」

「そうよね。だって、私が作ったもの」

彼女は屈託なく笑う。

よくわからないが、楽しいらしい。


朝焼けが美しい。

理由など、無いのである。

仲良くなること、人を好きになるとは、そういうものだ。



「そろそろ、帰ろうか」

「うん、一緒に帰ろう」




来るときは、1人と1人。

帰る時は、2人一緒。

少しだけ、2人の距離が縮まった。

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