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乙女ゲーム、らしい?

弟よ、それはエイプリルフールのネタだ!

作者: 日文

乙女ゲーム、らしい?の乙女ゲームでないゲームに関わる人たちの話。です。

BLとかアダルトゲームとかにいる人たち。


 私、日宮百合ひのみやゆりには年の離れた弟が居る。

 私が六歳、丁度小学校に上がったくらいで産まれた弟だ。

 父親の違う弟だけど、母に良く似た面差しをしている。

 少しきつめの猫系の美少年だけど、中身はどちらかというと一寸残念なお馬鹿系わんこ。

 まぁそれはともかく。

 何にしても可愛い可愛いうちの弟は最近一寸おかしい。

 そろそろ十歳になるし、女の子にも興味を持ち始める頃だなぁとほほえましく見守っていた。

 しかしある日、勉強をすると閉じこもっていた弟の部屋におやつでもと思い持って行ったときに漏れ聞いてしまった。

 弟が私を性的対象として、しかも攻略できるキャラクターとして見ていると。



 どうやら弟には産まれる前の記憶があるらしい。

 それはそこまで珍しいことではないけれど、この生きている世界を現実と認めないでまるでゲームか物語のように扱う人が多く、問題となっている。

 専門機関や相談窓口まであったりする。

 そこに相談して大事になったら大変だ。

 相談する前に前段階として調べるか。

 そこから始めた。



 弟の部屋の掃除の時に何か書き留めていないかと思い捜索。

 『絶対マル秘ノート』と堂々と書かれているノートを発見。

 子供らしいなぁと思いつつも、動かしたら判るようになっていないか周りをチェックする。

 大丈夫そうなので中身を見る。

 …………うわぁ、これって。

 某メーカーのエイプリルフールのみ、サイトに上げられていたお遊びの設定に近い。

 実は私にも前世の記憶はある。

 その記憶の中にお気に入りのPCのゲームメーカーに、割とお遊び企画に全力投球なところがいくつかあり、コレはその一つの所が体験版までエイプリルフールの為だけに出した設定に良く似てる。

 そう、良く似てる。

 だって似たような内容のゲームっていくつもあったし、年上のお姉さん系を攻略する男性向けソフトってそれなりにあったから。

 ただコレを覚えていたのは、割と禁断系、兄妹とか親子系のが有ったから。

 義理のではなく血縁のある、と言うのが有ったので覚えている。

 地雷の人には地雷でしかない間柄なので、微妙にマイナー路線だったと言える。

 そしてそこを覚えていた理由のもう一つ、このメーカーBLとギャルゲー両方出していて、ギャルゲーと思った?実はBLだよ!BLだと思った?実はNL純愛系だよ!というエイプリルフールの前振りからの、新商品のご案内に繋がっていたりしたからだ。

 エイプリルフールの時は、父親の違う年の離れた姉と、その姉の親友で幼い頃から遊んで貰っているお隣のお姉さんが攻略対象の、一寸エッチなどきどきハプニング系のムービーと体験版がUPされていたのに、実際は主人公は同じで全寮制のBLゲームでしたというオチだった……うん、確かそのはず。

 登場人物は主人公の日宮菫ひのみやすみれが中心で、攻略キャラクターはルームメイトな優等生水瀬一樹みなせかずき、運動部の期待のホープ土屋省吾つちやしょうご、下僕をはべらせている男の娘金子幸かねここう、学園での面倒を見てくれる先輩の木原きはらアイシャの四人。

 エロくて濃くて凄かったことは覚えている。

 で、うちの弟日宮菫なんだけど……偶然かな?

 偶然だと、良いけど。

 ノートを何事もなかったかのように元あったように戻し、掃除の続きに戻った。

 しばらくは、自営に徹してそれでも無理そうなら相談かなぁ?

 あぁおかあさん、今貴方が生きていないことがとても辛いです。

 こんな相談誰にしろと。

 お義父さんにはちょっと話しづらいしなぁ。



 私のお父さん、亡くなったパパは写真家で、割と自由な人だった。

 ママはばりばりのキャリアウーマンっぽいけれど、それは外でだけで家の中ではダメダメだった。

 家のことはパパが全部やって、ママを綺麗でかっこいいキャリアウーマンに武装させていた。

 ママはパパが大好きで、私のことも大好きで、働いている自分が大好きだった。

 パパもママも現状で満足していて、結婚しないでずるずる来て私が出来て結婚したのだと笑っていた。

 私はパパとママを繋ぐ大切な架け橋だと二人は笑っていた。

 私たちはパパが死ぬ直前まで幸せで、この幸せが崩れるなんて思っても居なくて、だから死んでしまってからはボロボロだった。

 それを立ち直らせたのがお義父さん。

 パパの押しかけ弟子の、当時高校生だった。

 一生懸命にママのお世話をしていた私の手伝いをしてくれ、ママを武装させ行ってらっしゃいって一緒にやってくれた。

 半年位して何とか立ち直って、そして気がついたら弟が産まれてお義父さんになってた。



 お義父さんはママよりも私と年が近かったりする……

 前はそうでもなかったけれど、最近は一寸気になる。

 特にママが死んでしまったから。

 パパは事故だった。

 ママは医療ミスだった。

 酷い。

 死なないはずの、ほとんど失敗のないハズの手術での医療ミス。

 しかも普段手術なんかしない、権威ある医師が気まぐれに執刀しての。

 アレは本当に酷い日々だった。

 ママの同僚や会社の上司達どころか、会社の上層部まで出張って医療ミスを認めさせるという恐ろしい状況になっていた。

 泣き寝入りだと思っていた状況からの逆転なので感謝はしているけれど、そこまで慕われていた母にも驚きだ。

 部下とか、上司とか、同僚とか会ったことも聞いたこともなかったから。

 きっと家に持ち込まないようにしていたんだと思う。

 ただ彼らは感謝していた、母を慕い、敬愛し、尊敬し、嫉妬や憎しみもあったけれど父を亡くした後の母を見知っていたから、その状況から立ち直らせることが出来たお義父さんにいつかお礼がしたかったと。

 こんな状況でなければもっと良いのだがとも。

 そうだ、彼らの力がなければ医療ミスは認められなかった。

 慰謝料だってもらえなかった。

 それをコネと知識とお金を使って、意味はないかも知れないが、自己満足かも知れないが、と言って私たちに手をさしのべてくれた。

 ママはよい縁を引き寄せていたんだなぁと羨ましかった。

 私もママみたいに成りたい、そう思って自分で出来ることを頑張ってきた。

 なのに、それなのに、一番相談したい相手がママだなんて……さすがにお義父さんには相談できないし、親友の天月清花あまつきさやかに相談したら一巻の終わり泣きがして成らないし。

 本当に、どうしよう。



 ホンの少し気をつけるようにした。

 意図して身の回りを。

 それだけで、結構予防できているのだから笑うしかないと思う。

 お風呂でばったりイベントとか鍵をかければ十分予防できた。

 スカートがひらっと等は、レギンスやパンツスタイルに変更して防げた。

 接触はいつもより意識して一・二歩離れた距離か、誰かと一緒に。

 そうしていたら私の可愛い可愛いお馬鹿可愛い弟は焦れて飛びついてきてしまった。

 階段のところで。

 弟もろとも落ちているときに私は弟が怪我しないように抱きしめ、身体が反転したりしないように壁や階段にぶつかって調節した。

 結果、両足の単純骨折に。

 うん。

 弟は泣き叫ぶし、お義父さんは大あわてで救急車呼んで入院の用意をするし……非常に冷静だなぁとどこかで思った。

 ぶつけたところが色々痛くて、正直足の痛みに気がつけなかった。

 立てなかったことと、弟が泣いていること、そして意識が薄ぼんやりと遠のいていくのは覚えている。

 正直、救急車を呼んで入院の用意まで手際よくやってくれたことは後から聞いた。

 弟が施設にしばらく入ることも。

 現実と夢の区別が付かずに、幼い内に何かをしでかしてしまう子供というのは意外と多いのだとか。

 現実でないというのならとまずは家族から引き離しての集団生活を体験させる、それだけで目が覚める子もいるというのだから驚いてしまう。

 段階を踏んで現実であることを認めさせ、そうして戻ってくる。

 早ければ二週間くらい、長くて大体一年。

 それ以上だともっと厳しい施設を勧められるらしい。

 今回は私の怪我が治るまでの措置だというから、そんなに長い時間じゃないと思う。

 単純骨折だし。

 女手がないのと頭を打っていたので三日ほど様子見の入院です。

 うーん、上手くやれなかったなぁ。

 結局弟は記憶持ちだとばれたみたいだし。

 それでも、あの子は私の弟で大切な家族だから、家族だって認めて欲しい。



「ねーちゃんごめんなさい!」

 弟は帰ってきてそうそう私に頭を下げてそう言った。

「先生達が話聞いてくれてさ、おれがねーちゃんに持ってたのはお母さんを独占したい気持ちに良く似てるって言われたんだ。なんか、すっごく納得した!おれ、ねーちゃんみたいなお嫁さんもらうんだ」

 目をキラキラさせてる。

 あぁ、うちの子馬鹿可愛い。

 つい頭を撫でてしまう。

 そうして施設であったこと、出来た友達、面会に来てくれたお義父さんについて話してくれた。

「とーさんがねーちゃんの怪我はたいしたこと無いって言ってくれたけど、心配だった。ゲームなんて思え無くって、怖かった」

「そう」

「おれさ、もっと色々知るよ。施設で出来た友達とも、もっと色々知りたいなって話したんだ。こうやってゲームと思いこんでる奴らが何で多いのかとか、他にも色々……でね、それでね……」

 言い辛そうに言いよどむ。

 視線を揺らし、言葉を探し、それでも見つけられなくて困ったような表情をしたと思ったら、何かを押しつけてきた。

 パンフレット?

「この学校に行きたい。施設の先生達もすいせんくれるって言った。とーさんもがんばれるならって……ねーちゃん、行っても良い?」

 パンフレットを見る。

 小等部所か幼稚舎から大学院まである有名な学園だ。

 中等部から交換留学にいくことが出来、学力によりもらえる奨学金の割合が変わる。

 届け出たモノの中から優秀な人物が優先的に割り振られる様になっているみたい。

 随分と良い感じだ。

 普通によい学校だと思う。

 というか、高校受験を控えている身としては、いくつかの学校を見て回っている。

 それらの選択肢として選んだ中の学校よりも、ここは随分と良い学校だと思う。

 ただそこは……

「ここ、随分遠いわ」

「うん、遠いよ。寮にはいるつもりだったけど、施設で出来た友達がここに通ってて、そいつのとーさんが来るなら生活くらい見てやるって……おれ、そいつの友達第一号なんだって」

「お友達の名前は?」

「ゆき!佐伯雪」

「雪君と、学校に行きたいの?」

「うん!」

 元気に頷いた。

 さっきまで泣きそうだったのに。

 迷って、戸惑って、言葉が見つからなくてパンフレットを押しつけたというのに。

「キチンと勉強するのよ」

「当たり前だよ」

「雪君と仲良くするのよ」

「うん」

「お姉ちゃんやお義父さんに、手紙書いてくれる?」

「メールじゃなくて手紙書くよ。だからねーちゃんも書いてね」

 ぎゅうっと抱きしめる。

 しばらくはこうしたスキンシップを避けていた。

 弟に姉としてみられていないと言うことが悲しかった。

 私の可愛い可愛い弟。

 知らない誰かではなく、私の弟が戻った。



 そして私は気がつかなかった。

 弟が小学生なのに通いたい学校に入ったことで家を出た事により、私が私自身が主人公のR-18男性向けアダルトルートを確定してしまったと言うことを。

 気がついたのは多分ゲーム的なENDロールを迎えた後だった。

日宮百合

後に彼女が主人公のアダルトゲームが出ていることを本人は知らない。

攻略対象は義父・親友(女)・親友の兄という。

親友はルートにより○○になっているルートがある。

基本的にはラブラブでちょっぴり背徳感がある。


日宮菫

弟。

BLゲームの総受け主人公だった。

しかし本人はそのことを知らないで、ギャルゲー系主人公だと思った。


佐伯雪

乙女ゲーム、らしい?の佐伯真夜の従弟。

悪役で傀儡は嫌だーーーっと暴れたらしい。

友達が居ないぼっち系オレ様。

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