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結婚式当日、女に逃げられろ!

短編になりませんでした^^;

適当な長さで終わる・・・といいなぁ



 勢い良く開け放たれる教会のドア。

 駆け込んできた片手に抜き身の剣を下げた男は、花嫁の手を引く。

 一瞬、硬直するもその顔を見て、喜びに涙を溢れさせる花嫁。



 ポカーンとアホ面を下げて、それを何もせずに見送る残念イケメン。




 ・・・それが俺である。




 

 ・・・まあ、物語では良くある展開だ。

 権力やしがらみ、金なんかで結婚を迫られ、已む無く式を挙げようとする美女と、それを阻止しようとする幼馴染or友人以上、恋人以下の男。


 色々悩んだり、妨害を撥ね退けたりしつつ、式当日の教会に殴りこみ、花嫁をかっさらう。

 慌てる権力者、協力する男や花嫁の仲間、こっそり応援する花嫁の家族、事情も分からず右往左往する兵士、そして道化そのものの新郎。


 今回の場合は、こっそり協力するサイドに俺の配下が居るって点が、普通とは違うけどねぇ。



 うん、茶番なんだ。

 あいつらは知りもしないけどね。



 


 「で、今回のオチは?」


 「話を積極的に進めていたモーゼス伯爵は爵位を2階級落とした上に領地没収、辺境の城砦送りに。伯の甥で今回の警備を担当したグルース男爵は斬首。係累もろともモーゼス派は壊滅という運びに。」


 「う~ん、ま、そんなもんか。」


 「若様がこの様な恥をおかきになる必要は無かったのでは?」


 「いや、そうしないと、あいつらまとめて処分出来ないっしょ。俺、国王でも何でもないし。この程度の事を起こさないとねぇ。口煩いとはいえ可愛い妹の為でもあるし。」


 今回の一件、隣国の姫と俺をくっ付けて俺を国外に追いやり、自分の都合のいい相手を俺の妹である王女の結婚相手としてあてがい、国を自由にしようという中々に長期的な企みだったのだ。


 「俺がバカ殿やれるよう、もう少し頑張らないとねぇ。次はどうするかなぁ。」


 俺の前で立て膝付いて畏まって、太ももチラチラさせて煩悩を煽りまくってるのが、俺付きのくのいちアヤメ。

 母方の実家から、俺の守護の為に使わされた腕利きであるが、残念な事に非常にだまされ易い。

 なにせ、元々のこの体の持ち主である、頭脳も腕も無い残念イケメン王子の口車程度にあっさり騙されるくらいなのだ。


 

 そう、この体、元々は俺のモノではない。

 


 瀬戸忠志17歳。

 市立具行河原高校2年。


 成績、国語と日本史を除き低空飛行、特に英語が壊滅的、中学時代、イレブンをイエルブと間違って覚えた過去有り。

 ルックス、「但しイケメンに限る」と言われた場合、自動的にはじかれる。

 後姿のみクラスメイトの超イケメン君と瓜二つ。

 間違って後ろから腕を組まれる事2回、顔もよく見ずにラブレターを渡される事4回。

 恋愛関連イベントが何にもないより更に悲惨な状況と言えよう。

 体力、反復横とびのみ一般を上回る。後は平凡。



 これがかつての俺だ。


 ちなみに現在のスペック。

 オウギュスト・デル・エル・グランソニウス19歳。

 グランデス王国、第一王子。

 ルックスは「俺と知らない女性なら」頬を赤らめる整った顔立ちに、スマートな長身。

 かつての俺なら石を投げたくなる外見である。

 母親は十年前に死亡。

 おつむは元々のスペックが残念レベル。

 言い訳もアヤメ以外にはすぐにバレる。

 元々の王子が一般常識に欠けていた上に、この世界の常識を知らない俺が憑依。

 ゼロに何をかけてもゼロであるのに、ゼロにゼロをかけちゃってる状態なのだ。

 身体能力はそれなりにあるっぽいが、体を動かす事を嫌う怠惰な性格故に剣もろくに振れないし、触れない。

 評判は「バカ王子」の一言で済む。

 妹たちの出来が揃っていいので、余計、扱いは悪い。

 先に「俺と知らない女性なら」と言ったのはこの為である。



 まあ、今、中に入ってる俺から見てもバカだし、扱い易いとは思うのだがこれでも何回か暗殺の危険にさらされていて、三ヶ月前、乗馬の際に落馬し一週間ほど意識不明となり、その際にあちらで死んでいた俺の魂が中に入ったらしい。

 その辺は、死のショックとかもあって、俺自身かなり曖昧なのだ(後ろから見知らぬ女性に「いっしょに死んで!」と刺された、たぶん、例のイケメンと間違われたんだと思う)。

 


 この落馬もどうも暗殺を狙ったもののようだ。

 馬具が不自然に破損したり、新顔の厩係が失踪したりと、疑わない方がおかしい。


 アヤメが居ればそうした事にはならなかったはずなのだが、この王子、嫌うとまでは行かないものの、堅苦しいアヤメを苦手としていて、何かにつけて用事っぽい事を言いつけて自分の周辺から遠ざけていたのだ。

 自業自得の典型例である。


 王子の魂は落馬の際に死んでしまったのであろう。

 自分の中に追いやられてる魂とか無いかな? と瞑想じみた事までしてみたが、痕跡の欠片も無い。

 

 先ほど、「この世界」と言ったが、ここは元、俺の居た地球ではなく魔法とか存在しちゃったりするファンタジーな世界なのだ。

 アヤメも魔法では無いものの、気や忍術が使える。

 残念王子も王家の者として「癒しの手」を持っている。


 まあ、残念な奴なんで、女性に対する触り方がいやらしく、癒しの手ではなく「いやらしの手」と言われちゃうくらいセクハラをかませていたそうだ。


 最近じゃ素直に治療を受けるのはアヤメくらいなもの。

 使えるかどうかも定かでないレベルになっている。


 幾ら何でもアヤメに「お前、試しに治してみたいから怪我しろよ」とも言えないし、他者に対してしか効果が無いそうなので自分で怪我をこさえて試す事も出来ない。

 

 


 まあ、そんな感じで中身が変わっても劇的な状況の変化とはいかないわけで、こうやってアヤメの力を借りて、乏しい頭脳を駆使して色々と小細工を行っているのが現在の俺なのだ。



 妹やら、周囲の人々からすると、それでも劇的なプラス方向への変化と取れるらしく、中身が俺じゃなかった時に比べると周囲の風当たりも弱くなってきているのだが、宮廷のそれも奥まったエリアに限った話なので、貴族やら町の人々やらからは相変わらず侮られ、嫌われている。



 自分のやったことじゃないのに嫌われるのは凹むよな?


 だもんで、街とか出かけるのは余り好きではない。


 かつてのバカ王子の時は、嫌われ、侮られている事に毛ほども気付かず、街に出かけてはセクハラをはじめとする迷惑を掛け捲っていたのだから、仕方が無いといえば仕方が無いのだが・・・。



 まあ、花嫁に逃げられるという醜態をさらしたんで、街の人たちの溜飲もかなり下がった事であろう。



 アヤメを通じて、花嫁強奪犯を焚き付けたり、進入経路の障害を排除したりした甲斐があったというものだ。



 ただまあ、外交も絡む問題なんでね。


 親父様こと国王は頭を抱えてるんじゃないかな?


 向こう側の王族は例の略奪犯くんの事をそれなりに認めてるっぽいんで、向こうの国内的にはそれほど問題は起きないし、こっちの国内は例の鼻眼鏡親父(ご立派な鼻とその下の髭が特徴的なオヤジだったのだ、例の伯爵は)に責任その他全部おっ被せたんで、それぞれの国内的には問題ないけど、向こうの国とこちらの国の友好を高めるって意味合いもあったんで、その辺のフォローをどうするかなんだよね。


 俺的には手駒も少ない上に情報も大して無い状況で出来る最大限の策だったんだけど、うちら二国が仲良く見せてるのは単なる長年の付き合いとかだけじゃなく、常に領土への色気を見せている北の大国(まあ、領土がでかいのと人口が多いのだけが取り柄の国なんだが)への牽制という意味合いもあったんだよね、これが。


 まあ、一言で言えば北の大国は「強欲なバカ」なんで、分かりやすい形じゃないと自分の都合のいい様に解釈してしまう。


 たぶん、今の状況もチャンスだと思っているはずだ。


 馬鹿でも分かる両国のつながりの強さを示すイベントである婚姻にケチが付いたのだ。


 「つながりが悪くなる→協力どころか敵対するかも→俺ら攻めたら両方の土地ゲット出来るんじゃね?」といった様な思考経路を経て、既に軍事演習という名のデモンストレーションを始めてるなんて話も聞く。


 状況次第ではそのまま攻め込む気満々である。




 馬鹿にでも理解出来る形での両国のつながりを誇示するイベントをでっち上げる必要があるのだ。

 

 結婚ってのは、無理になったんで、それ以外。



 うーん、難しいよねぇ、元・ただの高校生だった俺が、アホ王子の知識を借りても思いつく訳が無い。


 

 

 ほんと、どうしよう?





タイトル思いつき突発系執筆です

サブタイは毎回イケメンへの呪詛にしようかとw

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