表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザコキャラストーリー  作者: マ・サタカ
2/2

ザコキャラストーリーⅡ

私って謎のターゲットですか?

あの決意した日から10日程は、本当に何事も無く過ぎました。強いていえば、森の北側の猛獣バクラとも、相互不殺の約束が出来た事でしょうか。大きなクギューと比べると、二廻りは小さいのですが、その代り数が多いのですね。何でも、バクラとクギューも相互不殺の約束をしています。この惑星はまあ当然自転しています。ハンターは、通常帝国標準時を使用していますが、この惑星では、ハンターが戦えるのは、日の出から日没までが原則なのです。ただし、亜人種が夜間行動している場合は、例外として認められています。ですから、先日の戦いは、その例外だったのでした。ただ、ハンター側に困った事が有ったのでした。それは、確かに倒した亜人種が、モルグ星・亜人種・L6・6000P、6匹である事は、本人が乗り移った生体アンドロイドのバックアップシステムの記録に残っていたのですが、自分達を倒した亜人種の正体が、全く不明だったのです。生体アンドロイドのボディーは、本来の自分より少し~かなり強化された人体と同じ、倫理上、完全な人造生命体の製造は禁止されていますが、その頭脳をスリープカプセルに保管された本人の完全意識、知識、五感を移設すると言う抜け道を使った、ガゼル社の企画は、まさに帝国法の網の目をかいくぐったモノなのでした。ですから、僅かでも、生きていれば、敵の正体を認識出来るはずなのに、一切解らない。強いて言えば、如何して倒されたのかも、銃弾に倒された事は分っても、音も聞こえず、やや左の方からの弾が、当って、幸いまだその時点では、完全に強制退去とはなっていなかったものの、敵の姿も、ライフル音もせぬまま、更に致命的、命中弾を受けた為に、強制退去させられてしまったからです。こう言ったケースで、自分達を倒した敵に関する全ての資料は、一切請求出来ない契約だったのでした。取り合えず、十倍の特約料金を支払って、再度タウン21へ戻ったものの、極めて不便で、タウンからも遠い森を抜けた奥の小さな泉で、倒された事は、事実だったのでした。

あの泉に辿り着く為には、タウン21からエリア公道を真南へ50Kライン直進しますと、三叉路となって、そこには緊急避難施設が設置されて居ます。ここで、右折エリア30への道を進み、ここぞ! と言う場所から、資料や、自動装置が使えないオフロードを進まなければなりません。しかも、途中には、程好い森が二箇所在ります。低レベルのエリアでは、オープン当時でこそ、そう言った森にも、亜人種は居たのですが、さすがに、逃げたか、既に狩り尽くされていたのです。まあ、大半が、一部のターゲットがハンティングされた後、残りの亜人種が、別の場所へ逃げたと言う情報が、一番信用されています。無論、動物相手のハンティングでしたら、その辺りで、充分でした。それぞれの森には、猛獣が縄張りにしていますし、森の外では、ケング・L3・500Pが、群れを作って、それこそ、油断出来きません。ケングは、地球の感覚で言いますと大型の狼にかなり似ています。群れが大きく、執念深いので、ハンターにとってレベルアップには、極めて良い獲物なのですが、徹底的に戦う覚悟が無いと、弾切れで、撤退する事になってしまいます。それらの場所を通り過ぎないと、アノ森に到達できないのです。オフロード走行は、補助機能付きのマニュアル操縦でしか、進めません。一度行ったバギーでなら、自動走行も可能で、帰路は、自動走行するハンターが殆どです。

ただ、二人のハンターにとっては、我慢の臨界点は目の前に迫っていたのでした。

一方、私も何時ハンターがリターンマッチを挑んで来るのかと、覚悟を決めて待ち構えて・・・なんで来ないのよう~なんて、私も待ちくたびれておりました。まあ、拍子抜けですねえ。しかし、来た!

う~ん、多分来たらしい。そして、多分ひとり見たいなのよね?・・・よく分りません・・・

そのハンターは、やはりお昼過ぎに、森を抜けてやって来ました。多分・・・音で、バクラとクギューが、警戒態勢に入ってます。ただ、その姿が全く見えません! その割りにメッタヤタラに、音を立てております。そして、ハンターは、お定まりのハンティングポイントに到着したみたいです。何故分るのかって、そりゃあ、あれだけ無用心に音立ててますし、さりげなくハンターの側面を守るように配置されています岩が、極一部見えませんからですよ。私の頭の中のアドバイザーからの知識の流入・・・まあかなり慣れてきました感覚ですけど・・・知らない人に説明は無理!的経験ですよう~。で、あれは、スティルス・スクリーンと言う装備です。思いっきり超高級、高額な装置です。私のバギーに装備して在る光学迷彩なんて、全く問題外の性能。肉眼、探知装置は、全く通用しません。金属探知装置や熱源探知装置も完全に無効にしてしまいます。対人用装置は、バッテリー仕様で、6時間使えます。そしてその展開範囲は、半径1ライン以内で、微調整可能です。しかし、実はこの装備は、諸刃の刃なのですよね。何故かって、それは使ってる本人にも、完全に見えないのです。でえ、このハンターは、ハンターとして、完全に今一なのでしょうねえ。すっごく手間取って入る上、後方装甲バリアーを開きましたら、それがスティルス外だったりしてますものねえ。大物は、既に隠れるか、退避していますが、水場には、小物が無警戒に沢山います。でも、このハンターは、小物のターゲットを狙うこともせず、何やらじっとしています。何やら飲みながら呟いておりますねえ。

「は~あ、もうこのエリアじゃあ亜人種狩るのは、無理なのじゃのう。こんな辺鄙な処まで探しても、居そうに無いとは。う~む。上のレベルのエリアに移動致すか、しかし、又武器も買い替えぬとならんしのう~。」

なっ!・・・なめちょる! 確かに私以外にも、つい先日まで、確かにここには6人居たわよ。こいつ、まるでそう、釣りみたいな感覚なのね。・・・つうて・・・ゆ・る・さ・ん!

スティルススクリーン展開中は、使用者の探知装置類は、一切使えません。探知装置の表示が一切見えないので、これは当たり前の事ですねえ。普通のターゲットの長距離ライフル、スナイパーライフルの最大射程距離は、800ライン、有効射程距離は、480ライン。対してエリア21クラスのタウンで購入出来るスナイパーライフル、ハンティングAは、1000ライン飛びます。有効射程距離は600ライン。でもね、私のこの改造ライフル、ハンター用の弾を使いますと、最大飛距離は1400ライン、有効射程距離は840ラインです。そして、私か隠れて居るこの岩山から、ハンターまでの直線距離は550ライン。見えさえすれば、絶対に外さない。でも、見えない、しかも、ハンターの雰囲気から言って、立っているのか、寝そべっているのか分りません。おのれ~ などと精神を集中、何とか見えないものかと・・・帝国の科学力恐るべし・・・うっそー・・・ン!・・・何と無くですけど・・・アレー?・・・

えーっとですね、思いっきり精神集中したら、何と無く不自然な・・・輪郭でしょうか?この感覚を信じて撃って良いモノか、待機すべきか。なんて思って居る内に、また、見えなく、全く分らなくなってしまいました。アレはチャンスだったのか、目の錯覚だったのか分りません。こうなったら、帰り支度の為、確実に立ち上がった時を狙うしかありません。たちあがれば、確実に後ろの装甲バリアーか見えなくなるはずです。しかし、万一ハンターが私を見つけたら、極めて不利になってしまいます。ハンターには、私が見えるのですから。ひたすら隠れたまま、耳を澄ませて、ハンターの独り言に付き合っておりました。やがて、

「あ~あ、ダメじゃのう。せっかくこの様な辺鄙な場所まで苦労して来たと申すのに、上質なターゲットか少な過ぎようぞ。場所がえじゃあ。もう一西東側の森が良かろう、眠むうなってまいったわ。」

と! 今!7連射、多分3発は命中したはず。弾の威力は強力になってますが、確実に倒せたとは限りません。素早く弾を込め直して、今居る岩山のハンターとは反対側から降りて、ハンティングポイントを狙える位置に移動、シマッタ、装甲バリアーがまだそのままでした、部分的に見えてますが、予定の場所からでは、撃てません。この装甲バリアー、私もひとつ持って居るので、的代わりに、今の私の装備で、撃ち抜けるか実験済みなのです。答えは簡単、どうにもこうにもなりません。弾が何処へ跳ね返されるのかも、まだ良く分っていません。要するに、ハンターがこの状態で、生きて岩とシールドに隠れていると、ターゲットと致しましては、攻撃する術が無いのですよね。前回の二人みたいに、見えてれば、見える場所に移動して、撃てるのですけどねえ。ただし、私嗅覚力も、かなり非常識にアップしております。ですから、血の臭いは、さっきから気付いています。傷を負わせたのは間違いありません。しかし、死んだのか、重傷なのか、軽傷なのかが分りません。装甲バリアーが、展開されたままで、さりげなくハンターの両サイドを守っている岩が邪魔で、その上見えないのですから、狙撃のしようがありません。うーん、困りました。でも待って、あのハンターは、スティルススクリーンを展開して、森の中をやって来ましたね。バッテリーの持続時間は6時間。既に日は西にかなり傾いておりますよね。ふむ、こうなったら、ハンターのバッテリーが切れるまで持久戦継続です。再度、元の岩山に戻りました。ポケットの携帯食、ん~豪華版じゃあ無い方、ツルンと食べて、その後堅いお肉にようなモノ一個をひたすら噛む。その内柔らかくなって、お腹の中に納まってしまう、行動時用ハンター食ですね。水筒のお水を飲むと、更にお腹がふくれた感じがします。これで普通に一食、食べたのと同じ、栄養とカロリーが摂取出来る優れ物なのです。そして延長戦、今度も、ひたすら待つだけでした。耳を澄ませて、油断無く。

そんな私は、この十日間の対ハンター戦を想定しての個人的訓練の事が、頭をよぎっていました。私のこの改造と言うか、材料から造り直しの、消音長銃身スナイパーライフル、SB3改は、ん~まあ~原型を全くとどめていません。そして、強力なハンター弾を使用しても平気なのです。以前のターゲット用弾を使用してさえ、その攻撃力は、ハンター、この比較的簡単なエリアで通常阿人種に対して使用されるスナイパーライフル、ハンティングAと同等の威力を搾り出していたのです。しかし、今ハンター用弾を使用することで、ハンターより400ライン遠くまで弾は飛びます。ただしその飛ぶ分だけ、反動も強くなります。私の知識によりますと、最大飛距離の60%が有効射程距離になります。これは、照準器の設定がそのように造られているからなのです。手傷を負わせる程度でよければ、照準器を無視して、銃口を上に向ければ、弾は射程外の敵に届きます。まあ、そんな事する者は居ないでしょうけどね。何故なら、スナイパーライフルには、ハンター用にも、ターゲット用にも、スコープ付きの照準器がセットされているからです。ただ、今の私は、異常な体です。視力にしろ、1000ライン先の書類が読めます。帝国標準語で書かれた物をです。夜間視力切り替え・・・夜でも、昼間とさして変わらずに見えたりするのですよね。ですから、かさばるスコープなど不要なので、わたしの銃には、最初から付いていません。そして、材質のせいかも知れませんが、比較的軽くて、銃身が長いのに、全体のバランスが良いのですよね。試射もしました。ただ、前回のハンターから奪えた弾には、限りがありますから、まあ~、その~節約しながら、その分一発一発を丁寧に、慎重に、感覚がつかめるように、撃ちました。本当は、もっと練習したかったけど、限られた弾が心細いのです。

それと、装甲バリアーも、使い方はマスターしました。強いて言えば、折りたたみ傘の持ち手と中心の柱部分のない、思いっきり複雑な構造の割りに、使い方は、極めて簡単ですねえ。2ヵ所支点基盤設定などは、まあ、日本では、考えられないシステムですね。固定したら、基盤解除して、自動折たたみしないと、全く動きません。にしてもう~! この強度は、程度問題なのよね。ハンター用弾使用して、結局100ラインで撃っても、跳ね返されます。しかも、何処へ跳ね返されるのか、予測も出来ません。頭に来て、弾の節約と、とてもじゃないですが、使用できませ~んので、仕舞っておいた15ミリアサルトライフルを引っ張り出して、至近距離で撃ったら、危うく自分が、兆弾に命中するところでした。

「あっぶなあ~。」

なにせ、物凄い轟音で、10秒で30発でしたものね。こりゃ参った装備ですねえ。などと練習プラス研究をしておりました処。

「何をしておるのか。」

なんて、クギューの頭が、直後ろに来ていました。まあ、気配で、感じていましたので、ビックリはしませんでしたけどね、

「この前のハンターから分捕った、この装甲バリアーなんだけど、こりゃあ、ターゲットに対してハンディありすぎなのよう。」

「ふむ、これがか。見れば透けて見える。薄い物ではないか。」

「見てたんでしょう。15ミリアサルトライフル、ハンターの武器で、傷一つ付かないのよね。」

「試して良いか。」

「どうぞ、どうぞご自由に、ささっ、傷付けても、壊しても良いわよ。出来たらだけどね。」

「ふん、見よ。・・・うっ!、どわー・・・つっ、爪が立たぬ。」

「頭、今何か、変な倒れ方されましたなあ。」

「いやーあ、頭のあんな姿初めてみましたぜー。」

などと、主だった主力級のクギューが集まって、いやーあ、あの時はこの惑星に連れてこられて、初めて笑っちゃいましたよね。意地になったクギュー、あれは絶対ねこ科でしょうねえ。もう大変でした。しかし、やがて

「うむ、これを展開されれは、我らは、姿を隠し、展開解除を待って、その瞬間がチャンスだ。」

「あのポイントに入られ、これを展開されたら、手出しは無駄と、若い者におしえねばならぬ。」

などなど、ちゃんと学習しておりますねえ。にしても、あの時は、半日近くも、飛び乗ったり、噛み付いたり、体当たりしたり、大騒動でしたよ。

にしましても、この惑星、年中晴天等ではありません。曇りの日や、雨の日、風の強い日もありますよ。で、この装甲スクリーンはですねえ、雨よけ、風よけにも、抜群に利用価値があるみたいなのです。ターゲットに対して、とことん優遇されてますなあ~

夕暮れが近付いて来ました。現実に目を戻し、ハンターのハンティングポイントを、細心の注意を払って、再三覗いております。アノ装置のバッテリーは、フル充電で6時間のはず・・・そろそろ切れる時間と思われます。前のハンターから奪った装備には、腕時計機能も付いた、複合装置も有りましたが、私は、元々腕時計も、携帯も持っていませんでしたので、まあ、修行のジャマなどと考えて居ましたから、不用品として、ハンターが金属探知器を使用した場合に、対応するため、泉を中心に、かなり広範囲に隠した、金属製品のひとつとして、何処かに在るはずなのですよね。

う~む、ハンターは、生きてますね。血の臭いに混じって、変な匂いがします。ハンターは、自分を手当て、又は、応急手当てをした様です。私の頭の中のアドバイザーによれば、これは一時的にせよ、殆ど元通りに動ける程度まで直してしまう、こっちの世界の医学力ですから、油断は厳禁です。

そして、見えた! バッテリーが切れたのです。ハンターは、ライフルを抱えて隠れているつもり、装甲バリアーに守られ、ターゲットが、狙撃できそうな比較的近い場所に注意をしています。この岩山は、ハンターから約550ライン離れています。並みのターゲットの武器では、攻撃不可能・・・でもね、規格外のターゲットだって居るんですよ。ここにね、 慎重に7連射、即弾込めです。全弾命中・・・と思います。にしても、しぶとい。

「ぬぐっ、いったい何者なのだ!何処から?まったく解らぬ。くそ!何としても、敵を見定めてやる!でなければ、復讐戦も出来ぬ・・・くっ、痛覚回線を遮断!」

ふ~ん、そういや、思い当たる節も無きにしも有らずですか、なら絶対私を見られない内に、倒してあげるわよ。ハンターの横を守る様に設計された岩より、僅かに前方に位置する私は、更に、7連射しました。そうか、探知装置のディスプレイも兼ねたフルフェイス型ヘルメットでしたか。ただ、この距離ですと、射撃音より、着弾の方が早いのです。一発目だけですけどね。しかし、残念でした。私の改造ライフルは、帝国レベルの消音器付きなのです。7発共命中、ただし二発は、ヘルメットに当って跳ね返されてます。残り5発は、さらに上半身に命中。貫通した弾も1発は確認。スティルススクリーンが切れたといっても、攻撃の手を休める事は、場合によって、私自身の死に直結しかねません。既に、日は落ちて、クギューもバクラも眠りに付いて、動けるのは、ハンターと私だけ。更に近い岩山に、音も立てず、過去の私には不可能な身軽さと素早さで上り詰め・・・うーん、ハンターは、まだ生きています。最初に私がハンターを狙撃した岩山のかなり手前にあります、だいぶ低い岩山目掛けて、ライフルを乱射しております。それで気付いた事、少し大きなライフルと思ってましたが、9ミリ、スナイパーパーライフルと15ミリ、アサルトライフルが合体しております。あれでは、うっかり近付いたら、15ミリ弾30発の集中攻撃を喰らってしまうでしょうね。でも、狙いが見当外れでは、にしても、ハンターはしぶとい! まあ、ターゲットの銃の有効射程距離は480ラインと思い込んでいるハンター、受けた弾の威力から、300ラインと思い込むのも無理はありません。でもね、方向を変えた岩山、直線で400ラインでうまい具合に、ここから見える角度で倒れたハンターに頭を避けて、上半身を狙って7連射、撃つ程に、狙った場所に命中します。風、空気抵抗による微調整は、無意識の内に出来ています。弾は残り19発です、7発込めると残り12発です。さすがに、心細くなりますね。拳銃も抜いて、安全装置を外し、慎重にショルダーハーネスに戻しました。こっちは、ハンターから奪った7ミリ弾7連発です。装甲バリアーを展開したままのハンティングポイントを後ろから攻撃は不可能、しかも、半透明な為、この場合、こちらはハンターが見えますが、ハンターの方からも見えます。しかも、私はハンターの位置まで、登って行かねばなりません。まず、倒せたとは思いますが、もし生きていれば、近付く姿が、丸見えな上、装甲バリアーと、岩の間の隙間か、脇の岩を登らないと、攻撃できません・・・訂正、出来るポイント見っけ!ハンティングポイントの水はけ用なのか、岩のへこんで居る所が有ります。あれだけ命中弾を浴びせたのですから、多分仕留めたはずですが、私の常識等通用するところでは無いのです。隠れつつあのくぽみから、ハンターを狙撃できる場所に移動、3発撃って、全弾ハンターの下半身に命中するも、反応無し。アレが擬態でしたら、さすがに私の負けです。慎重にハンティングポイントに到着。かっはー・・・私のやった事とは言え、これは・・・まさに血の海です。幸いと言っていい事に、装甲バリアーは、内側から撃っても、その強度は変わりません。逃げ場が無いだけに、ハンターは、ターゲットに気付いても、装甲バリアー越しには撃てません。そして、この場合小柄なわたしの体は、有利なのです。ライフルを岩に立てかけて、背中の刀を抜き、鞘もライフルの脇にたてかけます。あせっておりました様で、そのちとやりにくい・・・刀を一旦置いて、右手で拳銃を抜いて、左手に持ち替え、右手で刀を改めて持ちました。楽に隙間を通過出来ます。左手で、ハンターを狙いながら、するりとハンティングポイントに入る事が出来ました。刀を突きつける以前に、ゲット・ハンターL10・20000P・ターゲットL14に承認の文字が、既にハンターを倒した事を知らせてくれました。刀を血で汚れてない場所に置きまして、危ないので、拳銃の安全装置を掛けまして、取り合えず、ハンターから頂ける物を回収です。血まみれで、バッテリー切れのスティルス装置が、最大の獲物です。血まみれの皮革ケースごと回収。異常に見えるライフル1丁、拳銃、剣、サバイバルナイフ、投擲にも使えるナイフが、12本。そして、携帯食が1個とこれは、ポットでしょうか? ふむ、上等なサーシュの香り、まあー今は、ちょっと別の臭いがキツイですけどね。サイフとキーも確保、弾も、かなり沢山回収出来ました。

などとやっております私は、まあ~当然ですけど、血だらけです。で、この惑星には、石鹸が有りません。存在しておりません。その理由は、私のバギー後部トランクスペースの3割以上を占めております、この装置なのです。こちらの世界の洗濯機ですかねえ。泉で、バケツ一杯の水を汲んで来まして、タオル3本を放り込みます。無論、光学迷彩装置は、入れておりますので、外からは見えません。まず、武器、装備を外します。血の付いたものは、乾いたタオルで、綺麗にします。そして、一見皮革製品に見える、ベルト、ショルダーハーネス、体を守る助けにもなるかもの、ナイフホルダー12個も、外してこの洗濯機にいれます。で、スイッチポン。バギーのジェネレーターが、少し音を立てますね。その間に、血まみれのサバイバルスーツ、アンダーシャツ、下着を脱いで、の時点で、洗浄終了のマークが灯ります。新品同様のベルト類を出して、今脱いだ服、全部突っ込みます。再度スイッチポン。濡らしたタオルで、体を出来るだけ綺麗に拭きます。拭き終わる前に、洗浄終了のマークが灯りますが、かまわず、気の済むまで、なんせ、私は、捕まって以来、お風呂に入っておりません。無いですしね。あーあ、思い出しちゃった。お風呂入りたいです。実はこの装置、洗浄装置と言う物と、頭の中のアドバイザーが教えてくれたのです。私の服装一式全て、有機物質は、含まれておりません。この洗浄装置は、その有機物質を綺麗サッパリと、分解してくれるのです。ただし、私の装置は、最低レベルなので、精密機器などの洗浄は、トラブルの元となりかねないので、使用できません。ちなみに、先日のハンターのバギーには、装置自体が付いてませんでした。そして、ふたたび、服装を正して、装備や武器を身に付け、ライフルの弾も、補充しまして、休む間も無く、今回のハンターのバギーを回収に向かわねばなりません。

にしましても、これは何とも変わったライフルですねえ。9ミリ弾スナイパーライフルの下に、15ミリアサルトライフルが合体しております。しかもトリガーが一つです。こりゃまた研究のしがいがありますねえ。

この惑星では、夜の方が安全なのですよね。そりゃあ油断は出来ませんよ。他のハンターが居る可能性は、決して否定できませんからね。でも、互いに無視し合っているターゲットは、寝ています。それに、夜でも昼でも変わりなく見える目に成ってますから。で、これから、ハンターのバギーの回収です。油断は大敵、完全装備、弾も補充しました。静かな森の中を歩く事30分、・・・う~ん・・・ハンターってバカなのかなあ? 前のハンターのバギーと、全く同じ所に、置いてあります。一目で、前のバギーより高級品である事が、分りますよ。

しかし、手続きは、全く同じです。セキュリティも厳しいか、とも思ったのですが、どうやら、ハンターを倒してポイントを奪った時に、そのハンターが生前、と言っても、生体アンドロイドで、多分直に復活、復讐しに来る。まあ、それが定番なんですけどね。私の正体は、バレてませんからね。ハンターから奪った携帯食も、かなり有りますしね。いざとなったら、暫く三十六計で、避難する手段を実行のつもりだったりしています。にしても、このオフロードと言う所、前回は、苦労させられましたけど、便利な頭になってるおかげで、前回より1時間も速く、私のバギーに横付けできました。そして、ここからが、本当のお楽しみタイムなのよね~。

確かに、前回のハンターより、こっちのハンターの方が、偉いのか、金持ちですね。だって持ってるモノにお金かけてる事、私にだって分りますもの。正直ウレシ~イ! などと、はっきり言えるお宝の山。

まあ、あの変なライフルは、研究用に私のバギーに突っ込んでありますが、弾がですねえ、かさばって重い、15ミリ弾は、放置して置くととして、私の使う9ミリ弾・・・ムフ未開封が20箱ですよ。それ以外にも、ハンターのバックの中にも、二箱、ケースや銃がぬいたら、別にかっきり120発、まあー当分、弾の心配は不になりましたね。それと、スティルス装置の充電器。他にも、上等なハンター食や、携帯食が、どっさり。いったい何日ハンティングをするつもりだったのでしょうかねえ? 更に、これまた上等なサーシュが2缶。サーシュサーバーが、前のハンターの物より高級品でして、倒したときに頂いた携帯ポットと、これは、陶器のマグカップなんでしょうねえ。バギーで飲む時専用ですね。割れる事を考えてか、予備まであります。ポットの方は、一杯が、やや少なめで、キャップがカップの代用ですか。ぽっちを押しますと、ちょうど八分目程度、出て、カッキリ3杯分です。何故そこまで分るのかですって、そりゃあ、今研究兼ねて、サーシュを味わってるからですね。美味しい・・・しかも、このポットサーシュサーバーとセットになってます上に、マイクロバッテリー内臓型で、ふむ、ホットとアイス・・・サーシュにはアイスも在るようですか。それと、これは多分浄水タンクと、まあ、このいきなり分る私の頭に射入された、マイクロチップが、私の脳ミソに、直に転写される知識の感覚・・・慣れなきゃ慣れなきゃ。その割りに拳銃は5ミリ弾12連発であります。威力が弱いので、あまり実用的ではありませんねえ。私の実用一点張りのバギーに対して、装備も装置も豪華なバギーでありますねえ。他にもまあー色々まあ、役に立ちそうな物が多すぎて、悩みますね。しかし、ハンターは、必ずリターンマッチに来るはず。でも、私がハンターを倒した事は、ばれていません。このバギーも、慎重に今度は、泉の川下の岩と藪の隙間に隠しました。無論、タイヤの跡どころか、私の痕跡すら、一切残しておりません。非常事態を想定して、万一の時、逃げ出せるように、私のバギーからかなり離れた完全に別々の場所に隠しております。

翌日から、この新装置、スティルススクリーンの練習開始で、四苦八苦していた私でした。まさしく酷い目にあっていたのですよねえ。

ガゼル社タウン21市長の苦悩

しかし、この惑星を取り巻く20基の衛星軌道都市の一つでは、またひとり、怒髪天の極みで、側近の部下でさえ近づけない貴族が、タウン21市長を真っ青にさせて居たのでした。

このお方、既に特約契約をすませたのですが、如何しても、自分を倒した相手が分らなかったのです。そして、止せば良いのに、忠義面した、側近の一人が、他にも二人のハンターが、同じ理由で、タウン21に居る事を告げ、火に油を注ぐ結果となったしだいでした。特約契約による、通常の上限、レベル5の生体アンドロイドを少し強化した特注品は、制作に3日必要と言う事に決められていました。ですから、後2日は、この衛星軌道都市に、生身のまま、待つしかありません・・・通常。

で、このお方、タウン21の二人のハンターとも連絡を交わして、確信を持って、同じターゲットにしてやられた事は、必然的に分ってしまいました。さらに、自らの一族のハンター3人と、トレーダー1人をも、タウン21に呼び寄せました。とまあ、ここまでは、此れまでの、リターンマッチで、数の少なくなった、貴重なターゲットを全滅、壊滅させた7グループのハンターと同様の対応だったのですが、分らぬ敵に対して、非常識、ルール違反、の要求を突きつけたのでした。

タウン21市長、フェデリック・ライン銀河一級市民、ガゼル社レベル8。帝国でもベスト100には、入る巨大複合企業、正社員の数は、10億人と言われておりますが、新入社員は、例え一族の者でも、見習社員から初めさせられます。正採用される平均アベレージーは50%。レベル1と呼ばれる、一番下の平社員となれるのは、数十倍と言われる入社試験を合格できた者の内、二人に一人なのです。その様な熾烈な競争を勝ち残り、このリアルハンティング惑星パラダイス企画の、立案の時点で、レベル7のスタッフとして参加。プロジェクト要員として、特に、ハンター特設避難所設置企画書が採用され、更に堅実に実績を積み重ねて、100在るエリアの一つ、エリア21責任者として、レベル8に抜擢されたのでした。無論抜擢を受けた者は、特別エリア0を除く、低レベルのエリアを担当させられた事は、当然でした。しかし、それでも他のレベル7の社員からみれば、何と運の良い奴なんだ! と言う見方をされていたのです。

当初の計画では、彼のエリアを含む20~39エリアには、1000匹の亜人種が、配られる予定だったのですが、文字通りね帝国級の妨害工作の結果、20番台のエリアには、400匹前後の配分しかありませんでした。更に予備計画で、不足分の600匹が配分される予定でしたが、所詮予定は未定。10%足らずの51匹が、オープン後に、タウン21市長の要請で、極力エリアの端の森にリリースされただけでした。現状、エリア21にオープン時にリリースされていた400匹の内80%にあたる、321匹が狩られており、追加を含めた130匹は、少数に別れ、徹底的に、ハンターから逃げる事を覚えた者ばかりでした。それでも、先日更に6匹狩られてしまったのです。ただ問題は、その6匹を仕留めたハンターが、別のターゲットに直後強制退去させられた事の方が、異常事態だったのです。しかも、ハンターで在ると同時に、記録センサーでも在る生体アンドロイドは、どのターゲットに倒されたのか、その記録を一切残せなかったでした。まあ、幸いこの惑星での遊興者としては、並程度の裕福な貴族でしたので、より強力な武器、ハンタースーツ、装備、装置のお買い上げで、済んでてたのです。しかし、今回、その状況は一変したのでした。その貴族は、この惑星の非常識な高価格世界でも、更に非常識に裕福だったのです。極めて高い確率で、帝国動物愛護協会に知られる危険な注文をされてしまったのです。しかし、この貴族の権力は強大で、もし断れば、その時点で、彼の人生は破滅させられる事は、確実だったのでした。

各エリアの責任者は、市長と呼ばれます。フェデリック、レベル8をライバル視していたタウン23市長などは、本気でこの絶体絶命のタウン21市長をせせら笑っていました。無論情報のリークなどするような愚か者が、ガゼル社のレベル8にはなれません。当然上司にあたる方々は、完全無視でした。これは、帝国の上級者になる程、常識の基本だったのです。知りうる情報は、集めそして、仕舞いこむ。決して他所に洩らさない。無論邪魔も、手助けも一切しない。それが出来ない者は、銀河5級市民、ガゼル社ですと、レベル2~3なのです。

タウン21市長は、それでも極秘裏に、プライベート機器として、パーツを収集、現在施設としては、在るものの、使われた事の無いスペース。ターゲット専用地下パーキングで、自らの、直属部下のみを使って、仕様禁止の武器と、弾薬を造らざるをえなかったのでした。技術的には、原始的兵器、相手の貴族も、メッタな事では、使用しないと、言ってくれました。使えば、自らも、不味い事になりかねないからでした。

タウン21市長の命運は、ハンターが、この惑星では強力過ぎる武器を使用せず。謎のターゲットを倒して、契約どおり、全ての問題の在る武器弾薬を返却して呉れる意外、考えられなかったのでした。無論成功すれば、営業成績は、一気にトップクラスに入る事は、確実でした。なにせ、タウン21市長が進退を賭けたゆえの、この金額なら、もしかして、高過ぎると断ってくれるかも・・・そう思って出した請求書

「なんじゃ~あ、こんなに安いのか! ホレ。」

そういって、0を一個付け足した、一般市民では、考えつかないお方だったのでした。

全ては、極秘裏に、6名のハンターと、1名のトレーダーは、大型バギー3台と、装甲車1台で、タウン21から、真南へと向かったのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ