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たぶん異世界50日目

やって来ましたローシェンナの首都グーズグレイ。

別名、嘔吐・・・じゃなかった、王都。

すみません。ここにヒルトがいると思うとつい、本音が・・・


もちろん、シリスと一緒にユッキーに乗ってひとっとびですよ。

龍は早いですね!初めて乗ったシリスは驚愕と感嘆しまくりでしたけどね。

まぁ、時間を無駄にしたくありませんでしたし、どうせ、私の騎士なんですから隠す必要もありませんしね。


グーズグレイの適当な場所に降りて、クレイと待ち合わせの食堂へ。

首都に張り巡らされている防御壁等々はもちろん、スルーです。

色々と突っ込みどころもあるかと思いますがスルーで・・・

もちろん、待ち合わせの食堂はジャスティアの息が掛かってますよ。


食堂に入るとクレイが先に来てましたので、無事、合流してお食事しながら作戦会議。

これから引き合わせてくれる、協力者の力を借りて王宮に潜り込むそうなのですが、具体的なことはその協力者と一緒に決めるそうだ。


その協力者の名はジークウェル公。


「ジークウェル公って、あのジークウェル公か?!」

と、シリスがその名に反応した。

あのとかそのとかジークウェル公って言うのはたくさんいるんでしょうかね?

私にはさっぱりな為、クレイに説明を求めることに。


ジークウェル公とは

20年ほど前にこちらに来た異世界人で、当時内乱真っ只中の現王を助けた功績で王に次ぐ地位を賜り、現在の五大公爵のうちの一人としてローシェンナを支える重鎮。また、ローシェンナ国民に取っては生ける”英雄”なんだそうだ。老齢を理由に王宮を退きはしたが、名実共に王に次ぐ地位であることは変わらず、退いた彼の影響は今も大きいそうだ。



ちなみに、彼は凄まじい剣と力の持ち主でもあったうえ、知略にも長けており、軍功は数知れず。聞いてて耳を疑ったが、それが本当ならまるでうちの一族のようなヒトですね。どこの世界にもいるんだな~常識外れたとんでもないヒト・・・と関心してしまった。取り敢えず、話半分に聞いておきました。

実際に拝見しないと完全肯定出来ない主義なのですみません。




どうして、そんなお偉いさんがクレイの、ジャスティアの協力者かと言うと、なんでも、そのジークウェル公と言うのが、クレイの今は亡きお父さんの親友であり、クレイ自信もお父さんが事故で亡くなってからは父親のように慕い、息子のように良くして貰っているヒトなんだとか。


ちょっと、おかしくね?仮にも国の重鎮がジャスティアみたいな後ろ暗い組織と仲良くなんて・・・国が混乱してるならまだしも平和な現在に至ってまで仲良しって・・・とクレイに突っ込んだら、ジークウェル公がこの世界に最初に落ちてきてから出逢って、色々と世話をし、最初の親友となったのがクレイのお父さんであり、ジークウェル公は人情に厚いヒトの為、立場やなんかは全く気にしないヒトなんだって。


しかも、彼に難癖つけられるような勇気のあるヒトがいないのと、もし、そのような事態になっても何とか出来る力量もあるそうな。



へ~。




そんなお偉いジークウェル公に会うにはツテがいるのはもちろんですが、時間がないのでクレイ自ら私達との繋ぎをしてくれるらしい。クレイなら顔パスなんだそうな。

まぁ、息子のように可愛がって貰ってるといいながら顔パスじゃなかったら驚きますけどね!



そうして、馬車に揺られてきましたよ。

ジークウェル公の邸。

やっぱり、広かった。


何もかもが。


徒歩で来るとか言わなくて良かったですよ。

敷地に入ってからにしたって歩いてたら心が折れるところでしたよ。




敷地だけじゃなくて、お邸も。

無駄に広いな~



一族の屋敷も無駄に広いけど、ここも無駄に広いよ~

そして、結界の気配がなんかこう、ひっかかるんですよね。


と、思いながらクレイの後に続き建物の中を歩いた。

もちろん、クレイはここの使用人さんたちと顔見知りらしく、気さくな挨拶をしながら歩く。



クレイがジークウェル公がいるらしき部屋の前で足を止め、ノックし、入る。



シークウェル公の顔を見た瞬間、おぉ!やっぱり!と、思ったのと同時に、私は愛剣『クラウディア』を手に攻撃態勢を取ると共に防御と攻撃術を展開。彼の、ジークウェル公の愛刀『全仕刀ぜんしとう』の剣戟を受止めつつ、こちらも双剣ということを利用して切りかかる。さすが、じじぃでも腕はやはり鈍ってない。が、こちらも成長してるんですよってね!

もちろん、ユッキーとエスに手出し無用であることと、クレイとシリスを護って貰うようにお願いする。


さて、彼には手加減するとこちらが危ないと言う事がわかっているので、ここはひとつ、滅多にやらない奥義のひとつを一発やってみることにしよう。

邸が吹っ飛ぼうが木っ端微塵になろうが知ったこっちゃありません。えぇ。

そんなものを考えてるとこちらがやられますからね!!

うふふ。久々に楽しいとか胸が高鳴るとかどきどきムネムネするとかきっと気のせいですね。ぇえ。


素早く、奥義を繰り出す為、愛剣『クラウディア』に力を集中させつつ切りかかると同時に攻撃の魔術を放ち、足場を崩す精霊術と魔法を組み合わせたものを仕掛けるのも忘れない。


が、見事に全部かわされたうえに彼の刀が私の肩を掠めた。

これも計算のうちで、その一瞬の隙をついて彼の右肩から首根っこギリギリ手前まで私の『クラウディア』をめり込ませながら、右手の『クラウディア』を軸に身体を天に向かって半回転させつつ左手の剣を離し空間を破壊する魔術を放つ。


相手が防御姿勢に入った瞬間に奥義を放った。



ドォォオオオオオンンン------




はっはっは。

久々でしたが、ちゃんと手加減しましたよ。

彼ならきっと、かすり傷程度でお邸が大怪我程度の威力ですね。




にこにこしながら私が彼の方を見ていると




「やっぱり、薫か。なかなか成長したようだのぅ」



「ここまで来て、一族特有の本人確認の仕方しないで下さいよ・・・私達がいた世界と違うんですから、こちらの世界のヒトは驚きますよ。お祖父ちゃん。現にクレイとシリスが固まってるじゃないですか」



「久々の挨拶は決まっておろう。例え、世界を違えても挨拶は同じに決まっとるじゃろうが。まさかと思って確認してみたが、本当に薫じゃないか。お前どうしたんじゃ?」



「それはこちらの台詞ですよ。家族はもちろん、お祖母ちゃんがすごく心配してましたよ。17年もここにいたんですか?」



「話せば長くなるが、用を足しにトイレでふんばっとったて、顔をふと上げてみたらこっちの世界にいたんじゃ。今でも忘れんっ!未だ帰りたくても帰る方法がわからんのじゃ。わしの椿ちゃんは元気かの・・・逢いたいのぉぉおおお」



「・・・森の中だったんですか?便器と共に・・・?」



「いんや、そこのクレイの父親の部屋じゃった。悔しいから便器を世界中に広めてやったわ。水洗式の。はっはっは。皆元気かの?」


「お祖母ちゃんはすごく元気ですよ。お祖父ちゃんがいなくなって気落ちしてたんですが、そのうち帰って来たら絞めると息巻いてるくらいで。一族も基本的に直系は元気にしてますよ。」



「ほぉぉおおお。それは良かった。良かった。」



「カオル・・・聞いてもいいか?どういう関係だ?」


シリスの声を聞いて私は思い出した。

忘れてたよ。シリスとクレイがいたんだった。


しかも半壊した邸のなかでのこの会話。確かに聞きたいですよね。

私もあなた方の立場だったら聞きたいですよ。えぇ。



「ジークウェル公と言われてる人物は私のお祖父ちゃんでした。以上、説明終わり」


「・・・本当か?」


「本当じゃな」



お祖父ちゃんの肯定を聞いてシリスは


「お初にお目に掛かります。私はカオルの誓約の騎士シーリウス・シリス・アドルフス・アーダンベルト・ベニート・プランドリア・ウィスタリアと申します。以後お見知りおきを」



お祖父ちゃんに挨拶をした。しかも、クレイにさえ名乗らなかった正式名称を。




「ほぉ。誓約の騎士を持つとは。しかも紅の聖騎士パラディンとは。それとも血塗れの消失ロスト・ブラットと言った方がいいかな?クレイといい、薫、お前どこかの国でも掌握するのか?まぁ、わしはお前のやることに別段何も言わんが・・・」



「違うよ、お祖父ちゃん・・・激しく誤解してますよ。なりゆきで・・・総てなんか知らないけれどもこうなってしまったんですよぉぉおおお!何とかして欲しいのはやまやまなんですが、積もる話は後でじっくりとするとして、私の夢はどこかの国を乗っ取るのではなく、目指せ超うるとら凡人人生!いっぱんぴーぽーなんですよ!!!」



「そうか。で、どうして、王宮に潜入なんじゃ?どう考えてもいっぱんぴーぽー、古いのぉ・・・この言い回し。まぁ、いいわ。凡人人生とは程遠いと思うが?」





「それは・・・」





と、クレイが話し出した。











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