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たぶん異世界49日目

不本意ながら、下僕を手に入れたカオルですよっと。


と、言うのは冗談で、本当に不本意なことに泣き落としに負けて(いつもこのパターンで押し切られているので、意外と私は泣き落としに弱いのかもしれない・・・)シリスと誓約を交わして彼の『主』となり今後の為にも自己紹介やら他にも色々とお話をしたわけですが・・・


一言で言うと面倒です。

えぇ。こいつ、大国の王族とかぬかしやがりましたよ。


聞いてませんでしたよ!



無効!を主張したのですが、ヤツも策士であったらしく後の祭りでしたよ!


あまり、関わりたくなかったのでなかったことにしたかったのですが、誓約破棄はどちらかの死でしか出来ないそうですから、諦めました。


しかも、この下僕、騎士の鏡と言いますか、私の為に家族や親族と縁を切って来るとまで言い出しましたよ。もちろん、目立たないようにしてくれればそこまでしなくてもとお伝えして解ってもらいましたが・・・今後を考えると面倒ですが、どっかで役に立つ場面もあるかもしれませんね。

と、無理矢理前向きに捉えることにしましたよ・・・フフフ・・・


特に、もう、ないとは思いますが、万が一にでもヒルトと関わることがあれば、盾にしましょう。そうしましょう。


シリスは見たところ、ヒルトと渡り合えそうなくらいの実力がありそうですから、私が逃げる時間くらいはきっと役に立ってくれるでしょう。


さすが、私!しくしくしく・・・トホホ・・・



そんなこんなで、あの森を抜けた近場の街の地味な宿にいます。


もちろん、私のカオル2号とエス2号は追手を撒く為に私達とは反対に旅立って貰いました。私達とかなり距離が離れてから適当に頃合を見計らってお役御免です。




「で、どうする?我が主殿」




と、シリスはニヤっとしながら私に言った。



正直、あの館ではたいした情報は得られなかった。

唯一の有力情報がどうやら、首都グーズグレイに連れ去られたことが不確定ながら知れただけだ。


不確かな情報で行くのは出来るだけ避けたかったが、八方塞だからいくしかないか。

あぁ、その前にクレイに連絡を取ってみようか。

ジャスティアの情報網をフル活用して、何か情報を掴んでいるかもしれない。


近場のジャスティアの拠点に行って、クレイと相談することにしよう。

そうと決まれば、即行動。



「シリス、ちょっと、寄りたいところがあるから、今から行くけど、行く?出来れば、今後の為にもシリスのことは私の下ぼkじゃなかった、騎士として紹介しておきたいから一緒に来て欲しいんだけど」



そんな私のことを笑いながら、シリスは



「了解。下僕でいいぜ。オレは『主』であるお前と一緒にいられれば何でもいいよ。実際、下僕だし?」



と、魅力的な笑顔で言った。


雰囲気がなかなかいい男だね!顔の美醜とかはよくわからないけれど、私的には、話の内容はともかく、なかなか今のはぐっとくるものがありましたとも!



では、行くか!

下僕!



って、ことでやってきました、ジャスティアの隠れ家。

やっぱり、表向きはまともな職業だけれども・・・今度は峠の茶屋かいっ!

って、ツッコんだ私は悪くないと思う。


後でクレイに聞いたら、拠点の支部長さんがやりたい商売をやるのでこんなん出ました的な趣味丸出しの表の拠点が多数あるんだって。面白いからいいけど。



一緒に来たシリスは、峠の茶屋を見て、もちろん、摩訶不思議オーラをビシバシと私に向けてましたよ。

そんなシリスを無視して、私は茶屋の主人に右の腕にジャスティアの”印”を浮かび上がらせて見せた。



このジャスティアの”印”はジャヤスティアに所属してる証で、身体のどこかにジャスティアの関係者であることを証明する特殊な”印”を持ち、それを見せることで仲間として、また、翳すと秘密の通路やなんかが現れたりする仕組みになっている。この”印”があるだけで無条件で仲間として最大限の恩恵を受けられるのである。もちろん、偽造不可であり、定期的にこの印は変更される。

故にジャスティア関係者は定期的に組織に連絡を取ることが義務付けられているのである。

ちなみに現在採用されている”印”の術式は私が考案したものです。こういうの得意なんだよね。

どうやってこの”印”を身体に持つかと言うのは企業秘密なので詳細は勘弁してもらいたい。



茶屋の主人は私の”印”確認すると私達を奥の、更に地下へと続く魔法陣へと招いた。

そして、彼は一礼して席を外す。私、これでもジャスティアでは一応上級幹部クラスですからね!下っ端である、茶屋の主人には話を聞く権利がないので、当然席を外してもらう。



明るい部屋の中には魔法具、魔術具、機械等が置かれている。

その中の通信端末に歩み寄り、クレイに通信を繋ぐ為に発動させる。

もちろん、ジャスティアのトップであるクレイに緊急回線でいつでも連絡出来るような手段を持っているのは、組織内でもごく限られた一握りだけ。



私は、クレイたち家族同然と言う括りなので持ってます。

ジャスティア内での権限もくれるって言ったので貰っておきました。だから、上級幹部クラスなのですよ。そんな私はジャスティア上級幹部の中でもかなり権限が強いです。トップの家族と仲良しだしね。時期トップは私の弟子だしね。それに、この前のジャスティアのお偉いさん会議の時に活躍しまくったからね。実力も証明済みで現在の幹部連公認だよ。だから、くれるモノは何でも貰っておきますよ。役に立ちそうなものは。フフフ。。。



そんなこんなで思い出に思考を飛ばしているとクレイが私の呼び掛けに応えましたよ。



「カオル、元気か?こっちは元気だ。お?そっちの坊やはどこの坊やだ?拾ったのか?」



ニカっと笑いながら聞いて来たので、私もニヤっとしながらシリスを紹介する。




「元気。クレイも元気そうで良かったよ。こっちはシリス・・・


「初めまして、シーリウス・アーダンベルトです。シスと。宜しく」




「シリスは私の誓約の騎士になったの。これからのことを考えると紹介しておいた方がいいかと思って連れてきたよ。ってことで宜しく!」




「はっはっは。相変わらずスゲーなおいっ。やるじゃないか。さすがだな。最強の傭兵のひとり『血塗れの消失ロスト・ブラッド』であり、ウィスタリアの『紅の聖騎士パラディン』を騎士にするなんて」



「!!」

クレイの言葉を聞いて驚いた様子を隠さないシリス。




「は?何ですかそれ・・・」




「カオル、お前知らないで誓約したのか?」




「知らない。ウィスタリアの王子様っていうのは聞きましたよ?しかも、クレイなんでそんなに詳しいの?」




「オレを誰だと思ってるんだ?これくらい知ってないと、色々と務まんねぇんだよ。ウィスタリアの第三王子と言えば、『紅の聖騎士パラディン』と言われている。二つ名の由来は華々しい軍功と、戦場での様相からだな。ちなみに大陸最強の騎士とも言われていたな。そんな奴だが、自分の主君がいつまでたっても現れないんで痺れ切らしてだか、親族にせっつかれたんだかで主君探しの旅に出たんだと。で、王子と言う肩書きは色々と面倒なんで、傭兵として流れながら自国の情報を収集しつつ、探してるらしい。軍人としても超一流だったが、傭兵としても、やはり超一流だった。そこで、傭兵としての奴に付いた二つ名が『血塗れの消失ロスト・ブラッド』優秀な傭兵はどこの国も欲しがるが奴はどこのどんな破格な誘いにも乗らなかったらしい。当たり前だよな。王子で騎士だし。最大の目的が『主』探しだしな。もちろん、うちも優秀な人材は欲しかったが事情が事情なだけに奴に話を持ち掛けても袖にされるのが解ってたんで、現在に至ったってわけだが、お前が仲間に引き込んでくれるとはな」



どこから突っ込んでいいのやら・・・



「・・・仲間に引き込んだわけじゃないけど・・・しかも聖騎士パラディンから『血塗れの消失ロスト・ブラッド』って、どうなの・・・?いいじゃないですか。二つ名なんてどちらか一個で。」



「それはオレらだから、二人は同一人物である事実を知ってるんであって、大部分の奴らはそいつらは別々の人間なんだよ。おそらくそれを掴んでるのはオレ達以外はウィスタリア王室と、オレらに近い組織力を誇る組織と、生え抜きの情報屋一人、二人くらいだろうよ。敵に回らないだけでもありがたいが、お前の誓約の騎士ならお前と一緒でオレらの一員だろう?」



「まぁ、間違ってないけどね。・・・だってさ」



と、意味あり気な笑顔でシリスを見上げてみる。

彼は厳しい顔で



「・・・カオル、彼は?今更だが」



「あぁ、ごめん。ごめん。彼はクレイ、



「クレイ・マークナーで。ジャスティアの頭首だ。カオルとは何というか持ちつ持たれつはもちろん、家族のようなもんだ。シス、あんたがカオルの誓約の騎士になったんなら、あんたもうちの組織内でのカオルとほぼ同等の権限を認めよう。もちろん、カオルと同じ条件で。これから宜しくな」



「ジャスティアって、あのジャスティアか?」



「シスが言ってるのがどのジャスティアかわからないけど、後ろ暗いどころか真っ黒な組織のジャスティアのことならそうだよ。ちなみにクレイは私が探してる旅の友人、ティアのお父さんだよ。そうそう。クレイの言う条件てのはこちらの邪魔したり、敵に回らなければ、協力関係になるよってヤツだから」



「・・・それって、カオルに有利すぎないか・・・?」



「どうして?私はジャヤスティアに関しては、あれば便利だけど、束縛されたり制限されたりしてまで付き合うメリットがないから、その条件以外のお付き合いは難しいと言ったら、クレイを始めとする他の幹部の皆さんが二つ返事で良いって言ってくれたんだからいいんだよ」




「・・・」


絶句するシリスにクレイが



「はっはっは。『紅の聖騎士パラディン』もまだまだだな。それだけの価値がカオルにはあるってことさ。世の中、見る目と将来性が大事なんだよ。でも、カオルに目を付けるとはなかなかだな。カオルも認めているし、なかなか気に入った。何か、国でも困ったことがあれば、言ってくれれば、手を貸すぜ」



そんなアレな自己紹介が終わり、私達は情報の交換と今後のことについて話し合った。

やはり、ティアは首都グーズグレイにいる線が最有力情報のようだ。



しかも、黒幕が王宮の上の方にいるらしい。

軟禁場所を突き止めるには王宮で直接尻尾を掴んだほうが早いということになった。

万が一、街で捜し回ってるのに気付かれて逃げられたら面倒だ。



クレイは私達が王宮に入れるように手筈を整えてくれていたらしい。

もちろん、私達が王宮にはいかない場合は別の者が入るように手配も抜かりない。

私達はジャスティアの協力者の一人である貴族のお屋敷に向かうことになった。



あぁ、忘れてたけれど、あの館で助けた男は一応治癒術を掛けたが色々と何かの実験にされた所為なのか未だ目覚める気配がなかったので、どうしようと思っていたら、クレイが預かってくれることになりました。


クレイだと、悪いようにはしないし、仮にあの男がまともじゃなくても、対処出来るから色んな意味で安心だよね!


って、ことで、ティアを助けに首都グーズグレイに参ります。

下僕ももちろん一緒ですよ~

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