たぶん異世界29日目 ~2ページ目~
次から次へと私たちに息つく暇もなく、凄まじい攻撃が襲い掛かる。
こちらに当たらなそうだと思って、のほほんとしている私にティアが声を掛ける。
「お姉さま、一応、戦闘態勢を取ったほうが良いんじゃありませんか?」
「どうして?ゆっきーいるし?気配から察するに私、この程度なら見物出来る程度には逃げられそう!」
「お姉さま・・・あまり、派手に戦闘されますと、せっかく遠ざけたルイス殿下たちに気付かれますわよ?」
「・・・そうだった・・・」
と、話しているといきなり来ました!凄いのが!
直撃しそうだったので、防御結界を張ろうとしたら、ゆっきーが素早く展開してくれたのでお任せ。
噂に違わず、高位精霊はかなりの威力。
「しかも、属性は・・・無属性ってね。なかなかやるなぁ」
『あぁ、そのようだな。珍しい』
「無属性の精霊がいるなんて・・・初めて聞きましたわ!」
『恐らく、精霊王の資格を持ちし精霊なのだろう。精霊王の資格を持ちし精霊は高位精霊の中でも一握りであり、全属性と無属性を扱える。どの属性の精霊王になるかはその時と場合によるが、精霊王にならなかったにしても、各精霊王に匹敵する精霊になることは間違いないな。しかも、精霊王になった時点で、その属性は限られるが、まだ精霊王となってないのであればやっかいだな』
「と、言うことは、高位精霊の中でも最高クラスの精霊ってこと?やったね!どうせ、見物するなら一流がいいよね!」
『そうだな』
「こんな状況で・・・さすがですわ。お姉さま・・・」
長閑な会話をしていると、第二波が来た。
えぇ、誰が何と言おうと長閑ですよ。だって、楽しいですし?
たいした、ピンチとも思えないですし?
あ、先ほどよりも、近いところから攻撃してきた。
「ねぇ、あれってゆっきーの話を聞く限り、誰かが、攻撃しない限りはあなたに危害を加える存在じゃないよと教えてあげなきゃ、ずっと、あのままなんだよね?」
『そうだな』
「しょうがないなぁ~。私が教えてあげようかな。私、こう見えても子供には優しいんだよね。ティアとゆっきーはここでちょっと行って来るから、待ってて?」
私はそう言って、自分の周りに防御結界を張りながら、目標の位置を確認、ゆっきーの結界から一息に踊り出る。
例の精霊は光の玉のように見えた。一応、話しかけてみる。
「私たちはあなたに害を成すものではないので、攻撃を辞めてくれる?そして、あなたはまだ、生まれたばかりの精霊なんでしょう?せっかく、生まれたのだから、あなたの取り巻く環境を知って、もう少し楽しく生きた方がいいわよ!って聞いてないわね。人がせっかく、親切に!そんな子には躾よ!躾!」
私がせっかく話をしてあげてるにも関わらず、反応がなく、聞く耳は持たない様子で、挙句、攻撃してきやがりました。
そりゃそうですよね?
怯えてるんですからね?
私は子供には寛大です。
と、いうことで、話せる状態に持っていきましょう。
例の精霊は私にターゲットを定めたらしく、次々と攻撃を仕掛けてくる。
確かに強い。
熱波が来たかと思ったら、土を硬質化させて巨大なドリルのようなものを私が襲う。
当たったら、串刺しじゃないですか?!と、同時に上から氷の矢が・・・
どれも全てかわして、着地しようとしたら、目の前の空間が歪み爆発した。
こいつ、魔法で空間にまで干渉するなんて・・・!
普通なら死んじゃうじゃない!!!
もう、いいや、いっきにカタをつけよう。
そうしよう。もう、面倒くさくなりました。
私は例の精霊を捉える為に光と闇魔法に空間干渉魔術を混ぜて構築。
魔術はもちろん、大抵の力を抑え込む檻のようなものを展開し、閉じ込めた。
檻に囲まれた、精霊は自分の放った力が全て自分の身に跳ね返ってダウン。
はい。終了。
こんなのも昔よくやったな~
研究所から逃げ出した、キメラ捕獲の仕事とか。
依頼だからしょうがないけど、意志があるヤツとかは逃がしたりね。
意志がなく、闘争本能の塊と化したヤツはしょうがないので捕獲したり、処分したりしたけど・・・
あれに似てるな~。
仕事としては比較的楽な方だったからいいけど(遠い目)
はっ!またやってしまった。いけない!いけない!
遠くにいたゆっきーとティアも私が精霊を捕らえたことを確認し、安全と判断して傍に寄って来た。
そして、改めて、諸悪の根源じゃなかった、高位精霊を観察する。
「これが、生まれたての精霊か~光の玉に見えるねぇ」
『精霊とは本来は姿なきものであり、どのような形も自在にとれる存在であり、形無きものであるが、さすがはカオル。精霊本来の姿が見えるとは』
「え?これが本来?ってことは皆には違って見えるの?」
『我は本質でモノを見るのでカオルとは違うが近いな』
「私には何かいるとしか感じられませんわ」
「ふ~ん。あ、目を覚ました?」
「わかるんですの?私にはさっぱりですわ」
「何となく、勘?」
「名前がわからないから、あれだけど、大丈夫?私はカオル。私たちあなたに危害を加えるモノじゃないから攻撃しないで?あなたが危害を加えなきゃ、例外はいるけれど、大抵のモノたちはあなたに害を成すものじゃないからやめてくれないかな?攻撃されたら、痛いし、死んじゃうかもしれないし。って言うのを言いにきただけなの。とりあえず、私の言葉わかる?大丈夫そうなら、あなたを閉じ込めちゃった檻無くすね?」
まぁ、あの攻撃力だと確実に普通だと死ぬでしょうが、それはもう、終わったことなので言いませんよ。
終わったことを言っても仕方ないしね!
[大丈夫。ごめんなさい。僕、怖くて。いっぱい迷惑掛けたよね。もう、しないから]
「良かった。あなた、生まれたばかりと聞いていたから、こっちの言葉とかもしかしてわからないかもと思ってたけど、賢いじゃない!良かった!」
『知能もかなり高い精霊のようだから、現在でこの力・・・もしかしたら、精霊の主候補かもな』
「精霊の主候補?」
『あぁ、滅多に現れないが精霊王たちを統べる最強の精霊で、今までの歴史の中でもその存在は3程度しか確認されていないが、その力と知能は全ての精霊たちの頂点に立ち凌駕するほどの力を持ち、魔王や我、神龍王とも互角にやりあう力を持つという。そのものは生出でし時より、大きな力と類稀な知能を持つと言う』
「それがこの子かもって?」
『わからない。精霊の主はある時、前触れもなく、突然現れるらしい。そして、いつの間にかそう呼ばれ、役目を果たすと言う。我も詳しいことはわからぬ。最後の精霊の主が確認されたのは15万年も前で我もおらぬからな』
「・・・何、15万年て・・・もう、いいや、よくわかんないけど、とりあえず、目的達成。観光終了。楽しかったからいいや」
私は精霊を閉じ込めていた結界を解除した。
そして、せっかくの高位精霊だ。記念にお話しておかなきゃね!
「もう、無闇に襲わないよね?君、すごいね!全部の属性使えるの?」
[うん。僕、約束するよ。無闇に襲わないって。でも、僕、寂しくて・・・属性は大丈夫だよ。色々使えるよ]
おぉっうぅ!なんてかわいいんだ!
こんなかわいさで(容姿はわからないので言動と雰囲気)、あの戦闘力か・・・
「何て言ってますの?」
「え?ティアはこの子の声が聞こえない?」
「はい。気配しかわかりませんわ」
『恐らく、その精霊がカオルにしか意識を向けていないからだろう。それに、桁外れの力がないと精霊の声を感じ取るのは難しかろう』
「そうか。まぁ、とりあえず、もう、この子は無闇に襲わないって。わかってくれたよ。とってもいい子で良かった。じゃあ、帰ろうか」
[!待って!カオル。僕も連れて行って。僕に話しかけてくれたのはカオルが初めてで、僕、寂しいし、世の中のこともよくわからないし、出来ればカオルの傍にいたい。カオルに色々教えて欲しい。僕、カオルのこと命掛けで護るから。カオルには強い守護龍がいるみたいだけど、精霊の加護もあると便利だよ?それに、僕、神龍とも家族になりたい・・・僕と同じくらい力がありそうだし、カオル強いしあったかいし・・・カオル、僕を家族にして?忠誠を誓わせて?だめ?]
キター!!!!!!!!!!!!!
まさかのフラグ・・・。
また、このパターンかよ・・・
考えてる間にも精霊は私の様子をうるうると(もちろん雰囲気で)伺っている。
ゆっきーも私の守護精霊になりそうな雰囲気を感じて険悪な雰囲気を醸し出しそうになったが
家族と聞いて気を良くしたらしく何も言わず、私に任せると伝えてきた。
ゆっきー寂しかったんだね・・・家族って単語に気を良くしまくりだよ・・・
ちょっと、優しくしてあげよう。
どうしよう・・・かわいい子供に弱いんですよね。
私・・・うぉぉおおんん。
面倒くさそうだけど、かわいいのでげっと。
はい。決定。
「いいよ。一緒に行こうか?」
[本当?!嬉しい!ありがとう!!!僕と誓約して?名をちょうだい?]
名前か・・・何がいいかなぁ・・・
精霊を見て考える。
名前は大事だよね。うん。
私は考える。。。
エスペランサはどう?
元の世界で希望とか光って意味で、君は生まれたばかりだからたくさんの可能性を持ってるって意味でエスペランサ。希望や光になれってことでどう?
真名になるので、心で語りかける。
私の言葉を受け止め、精霊はすごく嬉しそうに
[えすぺらんさ・・・エスペランサが僕の名前!素敵な名前をありがとう!僕、カオルの希望に、光に慣れるように頑張るね!]
そう言って、精霊、エスペランサは誓約を私と交わし(もちろん、正式な流れと言葉をエスペランサは紡いだ)エスペランサは私の守護精霊となった。
ちなみに、エスペランサは真名なので普段はエスと呼ぶことに。
もちろん、ティアやゆっきーにも改めて紹介。
普段は何か動物になって貰うことにしました。
相談した結果、無難なところで小型犬のような精霊獣形に。弱っちそうなのを装うのも忘れないようにしてもらう。エスはそのままだと、現在でも桁外れの力を持つ精霊なので隠さず連れ歩くと目立ってしまう。
私の目指す、ひっそり、こっそりぐーたら一般市民生活を目指すならば、エスと契約しないのが一番だったのだが、エスがあまりにもかわいいので、しょうがない。そこは涙を飲んで妥協だ。
守護龍のゆっきーのように姿を隠してもらうのも考えたが、ティアは精霊と契約したモノは皆、獣や鳥形にして連れ歩くのが一般的なので(中にはゆっきーのように姿を隠しているものもいるそう)、獣形にして連れて歩くのがいいのでは?と提案された。
ただのペットと違って、精霊獣は人間同様どこでも連れて歩けるし、精霊と契約するものは割りと多いそうだ。
で、形体に関して、エスは高位精霊なので何にでも変化出来るらしい。
精霊獣としての形はその力に寄って、なれる形があるらしいが、エスは力が強いのでもちろん、人型もいけるらしいが、試しに人型になってもらったが、ティア曰くえらい美形らしい。
人型は目立つので却下。
鳥型はゆっきーが肩にいるので、却下されました。
残るは獣型、で、大型だと、ひと目で高位精霊とバレてしまうので小型に。
と、色々と協議した結果、仔犬形に。
ただ、見た目が良すぎる・・・
黄金色の毛並みに深紅と紫紺のオッドアイ。
が、こればかりはしょうがないらしい。
黄金の毛並みと深紅の瞳は元々の色で紫紺は私と誓約した所為らしい。
本人はすごく喜んでいるからいいが・・・
戦闘跡で4人(二人と1匹とひとつ?)でワイワイやってると、ゆっきーとエスが
『こちらに気付いた奴等が向かって来てるぞ?』
『・・・大丈夫?』
「よし、そろそろ帰ろう。ゆっきーお願い」
そうして、私たちは明け方、ゆっきーの背に乗って帰ったのでした。
そして、つらっと知らないフリして、エスは隠したまま偽情報の場所に黄金茸を取りに行きましたとも。まるっきり嘘ではなかったのよね。黄金茸と幻のきのこが生えてるという情報は。
だから、無事にきのこ狩りしました。
ヒルトたちは昨日の騒動については私たちを疑っていないみたいだからいいけど。
ヒルトは頭が切れるだけあって、油断ならないからな~
そんなこんなで高位精霊、見物ついでにげっとしました。




