たぶん異世界29日目 ~1ページ目~
昨日は無事にティアと再会して、ヒルトとユージンを紹介。
表向きは紹介したが、事前に二人が同行する旨をティアに連絡済みだったので問題なく終わった。
そうして、夕食後に各々の部屋に戻り私たちは、即、仮眠を取って、今に至る。
現在、泣く子も黙る真夜中でございます。
「お姉さまったら・・・私のいない間にあんな下僕を拾って!はっ?!もしやっ?!!!私を!私を捨てる気なんですか?!そうなんですのね!!!わ、私にも挽回の機会を!!!あんな男に負けません!お姉さまの下僕その1の座は私です!譲りません!あいつを抹殺して来ます!そうしたら、私だけ・・・でも、あいつは見たところかなりの手練。ちょっとどころか、かなり骨が折れそうですが、何とかしてみます!えぇ。私の全てを掛けて!!!」
・・・いつもの事ながら、面倒臭いけど、ここらで止めておかないともっと、本気で実行に移しかねない。実行されると、更に面倒なことになりそうなのでそろそろ止めようか。
「ティア、下僕って・・・ある意味間違ってないけど、同行者はティアだけだよ?ヒルトとユージンは連絡しておいた通り、勝手に付いてきただけだって。ね?」
そうして、ヒルトを拾った経緯と今までの事と次第の詳細を改めて、ティアに伝えた。
「まぁぁあああ!そうでしたのね!良かったですぅぅううう!私、私・・・。それよりも、彼は王族と言うことですか。ユージン・ジャスティアスが側近と言うことは、彼は王太子殿下ですね。軍の総帥とは言え、時期国王をたいした護衛も連れずに死にそうな場所に・・・よくもまぁ、周りが許しましたね。その辺にホイホイと王族らしからぬ気軽さで現れるとは聞いておりましたが・・・あの気性と力では周りは止められそうもなさそうですが」
・・・は?
「王太子?王子じゃなくて?」
「えぇ。ルイス殿下は第二王子ですが、時期国王として、二ヶ月近く前に正式に王太子として立たれてますわ」
「・・・げっ。そんなの拾っちゃったの?!私!面倒くさっ。第一王子はどうしたのよ?第一王子は!」
「第一王子であるエレイド王子は、一応、生まれた順で、王位継承権第一位でしたが、放蕩馬鹿息子振りが激しく、ついでに、お頭が弱くて勝手に王位争いから脱落しましたので、ルイス王子にお鉢が回って来たのですわ。彼は王位に興味がないが王に溺愛されている上に、力、能力、頭の回転、カリスマ性と申し分ない人物でローシェンナ国歴代でも一、二を争う人物とも言われておりますわ。ちなみに、色々と実績もありますわね」
なるほど。通りで、聖魔剣振り回して強いわけだ。
「聞けば、聞くほど、厄介なモノ拾っちゃったよぉぉおおおお!!!ティア!あいつ捨てて来て!面倒だ!」
「えぇ。かなり、厄介ですわね。見たところ、ルイス殿下はお姉さまにベタ惚れしてますものね・・・お姉さまが捨てて来いと言うなら、私、本気でヤらせて頂きますわ・・・相手は王族で最強と言われ白金の死神ですもの・・・楽しそうですわ・・・フフフ・・・」
「・・・」
ティアの様子を見て、激しく不安を覚えた。
遠ざけるんじゃなくて、これは暗殺か何かのノリですよね・・・?
ちょっと、ここはひとつ・・・
「ティア、今の冗談だから!ね?私は大丈夫だよ!それに、ヒルトは私に惚れてるんじゃなくて、退屈凌ぎか、何かを疑われてるんだよ。ヒルトの前で魔法と魔術を使っちゃったしね。怪しまれたのかも?異世界仕様って誤魔化してるけど・・・まぁ、他にも怪しいことこの上ないことしかないからな~」
考えれば、考えるほど危険人物だか、怪しい人物だかに疑われてもしょうがない気がしてくる。
そんな思考の海に沈んでいた私にティアが衝撃の言葉を投げた。
「怪しいとか怪しくないは置いておいても、残念ながら、彼がお姉さまに惚れたと言うのは、私、本気で言っておりますわ。その証拠に彼はお姉さまに特別な名で呼ぶことを許しているでしょう?」
「名前?」
「私にはルイスと名乗っておりましたが、お姉さまには違う名で呼んで欲しいと仰ったのでしょう?恐らく、その名は生を受けた際に精霊と国を守護するモノから授かる特別な名。自ら、特別と認めたモノのみが呼ぶことを許されたもの。その名は許された者以外が口にしたくても、本人の許しがなければ呼べないのですわ。それを呼ばせたと言うことは・・・」
「はい。ストップ。考えるのは辞めよう・・・ティア。フッフッフ。色々と面倒だ・・・世の中なるようにしかならないし、今考えるべきは高位精霊見物!それが終わってから、ヤツのことは考えよう!!!ヤツは面倒だが、高位精霊は今を逃すと見れないかもしれない!!!ってことにしよう!どうせ、考えてもろくなことにならない気がするっ!」
はいっ。色々と面倒なので、後回しにすることにしました。
すっぱり、きっぱり、流れをぶった切った。
「・・・!さすがお姉さまですわっ!どこまでも連いていきますぅぅううう!」
「取り敢えず、当初の予定通り、高位精霊見物を決行しよう。お隣さんは、予想通り、私たちの安全確保の為、頼んでもいないのに、偽情報ポイントに下見に行ってくれたし?」
「はい。高位精霊は、彼らに教えた正反対の方角、ここから北東に馬で半刻程のところが一番出現率が高いポイントですわ」
「特徴は?」
「それが、力が強いということがわかっているだけで、他は何も。と、言うのも噂を聞きつけて、契約や捕獲を試みた者たちは、皆、帰って来ていません。出現ポイントには、灰と化した跡しか残っていないので、実際の様子は何とも」
「強そう?」
「恐らく、かなりの力ある精霊なのは間違いないかと。属性も不明です」
「ゆっきーより?」
『我より強いことはない。我はこれでも、時には精霊にも魔力を供給する者であり、支配することもある。例え、相手が精霊王であったとしても、神龍である我は負けぬ。それに、強い気配は感じるが我と互角の力があるとは思えぬな』
「ゆっきー、頼もしいなぁ。しかも、えらい強気に出たねぇ」
『やってみれば、わかることだ。カオル、主に危険があらば、我が全力で護ろう』
さすが、私の最強ペット!!!いいね!本当か嘘かしらんが、その心意気はブラボーだよ!
たぶん、自分で何とか出来るけど、やってくれるに越したことはないからね!
他力本願万歳の私はゆっきーを全力で応援させて頂きます。
「頼りにしてるね!」
『任せろ』
と、言うことで気配を消してティアと共に、ゆっきーに乗って件の場所に到着。
や~、やっぱり、ゆっきーは便利でいいね!最高だね!
「で、何か感じる?」
『あぁ。これは生まれたばかりの精霊のようだな』
「生まれたばかり?」
『あぁ、精霊はその力や属性によっても寿命は変化する。朽ちる者をいれば、生まれ出ずる者もある。精霊が生まれる地と言うのは、我がいた森やここのように力が満ちる場所が多いのだ。そして、生まれたばかりのものは親代わりとなるような存在が傍にいれば良いのだが、いない場合、怯え、防衛本能も働き、暴れる場合もあるが、これはその典型のようだな。しかも、力がある精霊のようだから、被害も大きいのだろう』
「なるほど~。って関心してたら、お出ましのようだね!やった!高位精霊!高位精霊!」
大きな力が私たちを襲って来た。




