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たぶん異世界28日目

昨夜、ヒルトの部屋に誰か来ていたようだ。

気配からするに昼間の軍人、ユージンだろう。


ヒルトが結界を張ったと言うことは、話の内容が機密なのかもしれない。

そんなものに関わりたくないので、覗きませんでした。

世の中、余計なことは見ざる知らざる聞かざるで知らないのが一番です。


隣の部屋の気配は二人のまま。相変わらず結界は維持ですか。

と、言うことは今朝は下手をすると、ヒルトだけじゃなく、ユージンと接触・・・めんど・・・はっ!

もしや、ヒルトを回収してくれると言うことでしょうか?

お世話になりました的な挨拶をしてバイナラかもですよ!


ウハ!


って、思いたいけど、違うかもしれないので過度の期待はよしましょう。

色々と考えていたらティアから連絡が来ました。


ティアに渡しておいた、連絡用式神です。


黒い大きな鳥の姿をしていて、どこにいても気付かれずに連絡出来る便利な良い子です。

もちろん、私が作ったので高性能ですよ。伝言はもちろん物も運べます。

式神は窓を透り抜け、私の元へ。


ティアからは

魔獣らしきものは王都から派遣された騎士団が2,3日前に掃討したと思われるが、高位精霊と思われるモノは相変わらず出現するらしいこと。そろそろ合流したいが、目的の場所にはティアが宿に来るよりも私がティアのところに出向いた方が早いがどうすべきか指示を仰ぐ内容だった。


ティアがいる場所はカナリーの東方向の山岳地帯の集落だそう。

ここから馬でも一日掛かるようだ。

ゆっきーだと瞬く間に着くが、ヒルトがいるからそれも難しい。

ゆっきーの存在は隠しておきたい。


これから別行動を提案してみるが、難しいだろう。なんだかんだと理由を付けて、連いて来たがる気がする。危険人物として疑ってるのかもしれない。疑われても文句言えないことしかないしな~

自分でも、幻のきのこを求めてるきのこ狩りハンターとか、通りすがりのただのきのこ狩りの娘とか厳しいよな。

私ならまず、間違いなく怪しむ。

それを考えると、ヒルト何考えてんだかな~

ただの馬鹿か、それとも何か思惑があるのか。まぁ、なるようにしかならないのでどっちでもいっか。


特に何かしたわけではないので、バレたらバレたで構わないが面倒臭いことになるのは回避したい。私は良くてもティアの素性やお世話になったジャスティアに迷惑が掛かっても困る。


さて、どうしようか。


私がティアの所に行くことは決定。

なるべく早く、且つ、あまり怪しまれないように行く手段を考えなければ。

半日掛かるくらいは妥協するしかなさそうだ。


まだ、私はこちらの常識について疎いのが困りモノだ。

職業柄もちろん、そういうのも得意だ。隠密行動なんて当たり前でしたしね!

ただ、仕事が絡まない限り、本来の性分もあって、やる気が出ない。しかも、ティアもいるので余計である。ヨシ!ここは必殺、迷い人だからと言ってごり押しすることにしよう。


ヒルトが連いて来なければ、ゆっきーで行こう。

もし、連いて来た場合は、馬に風魔法で速さを上げて、重力軽減魔術で重さを感じさせないようにしつつ、回復魔法を定期的に掛ければ、半日くらいでいけるだろう。ヒルトは放っておこう。かなり急ぎますからすみませんとか言って。魔法と魔術も力を加減して初歩と見せ掛けて使うのがちょっと面倒だがしょうがない。バレたらバレただ。早く、ティアのところに行きたいからね!

うん。我ながらいい案だ。


朝食後に即、行動に移したい。

身軽なので纏めるような荷物はないからすぐに出発出来る。

私が部屋を出るタイミングで、いつも(?)のようにヒルトが出てくれば、話をして出発。

遭遇しなければ、宿に伝言を頼むことにしよう。


はぁ。面倒臭いな・・・。

たかが出発にここまで考えないといけないとは。


まぁ、考えててもしょうがないので出発しよう。


ティアに私がそちらに向かうこと、ヒルトとユージンも連れて行くハメになるかもしれない旨を伝える為に式神を放った。もちろん、二人の簡単な素性と思われるものと一緒に。


忘れ物がないかを確認してドアを開ける。

遭遇する前に走って逃げてみようかな・・・


「おはよう、カオル・・・どうしたんだ?その格好」

「おはようございます。カオル様」



はい。キタ。これキタ。やっぱりキタ。


地味男バージョンのヒルトが怪訝な顔をして聞いてくる。

そして、予想通り、昨日、ユージンと名乗った男がヒルトの後ろから声を掛けて来た。

元の世界だとBL大好き腐女子が泣いて喜びそうな図ですね。


もちろん、これから出発する私は旅装だ。ちなみに今までは簡単な普段着でした。


「おはよう。ヒルト。丁度良かった。私、これから急いで向かわなきゃ行けないところが出来たから、お別れの挨拶をしようと思って」


「どこに?今すぐにか?俺も行っていいか?」


やっぱりね。しかも、即、金魚のうんち宣言ですよ・・ちょっとは悩めよ・・・


「場所は企業秘密だから内緒だよ。ヒルトはダメ。お迎えも来たし、そろそろお仕事に行った方がいいよ?今までお世話になりました。じゃあ、私、急いでるから、いつかどこかで!」


と、社会人としての対応と共に、言い捨ててさっさと行こうとした。


ガシッ


やっぱり、ヒルトに腕を掴まれた。


「俺のことは気にしなくていい。君の足手纏いにはならないし、これからのことは絶対に他言しない。見なかったことにする。君の役に立ってみせるから、俺も同行させてくれ」


予想通りだ。


「ダメなものは、ダメ。急いでるからもう、いいかな?」


無駄だと思っても、一応、粘ってみる。


「遠いのか?一緒に行くなら飛竜を手配するが?」


飛竜?ゆっきーの同属かな?とゆっきーに問い掛ける。


『飛竜とは広い意味で、我の同属と言える。比較的大人しく、空を飛ぶくらいの能力しかない。知能も低いな。馬よりは早いが我と違い、どこでも、人目に付かずに行動と言うのは難しい。特に目的の場所は険しい山岳地帯。飛竜なら飛ぶのは難しいと思うが。我なら兎も角も、飛竜を使うなら、手を加えた馬や騎獣の方が適していると思うが?』


なるほど。ゆっきーの意見を参考にお返事。


「そう言ってくれるのはありがたいけれど、これから行く場所は飛竜はあまり適していないみたいだから、大丈夫。それに、ヒルトといると面倒くさじゃなかった、大変だし?ね?」


「・・・俺も行く」


あんたは子供かっ?!

わかってたけど、

やっぱり、

ウゼェェェェッッッ!!!!


そんな私たちの押し問答を見兼ねたのか、


「カオル様、どのような事情があるかは存じ上げませんが、どうしてもご一緒させて頂くわけには参りませんか?殿下はカオル様に拒絶されたら、ストーカーの如く嫌な感じに目立って尾行の如く尾いて行ってしまうと思うのです。そのような行為は、私も阻止したいのですが、如何せん、力不足でして・・・お役に立てず申し訳ないです。万が一、違法行為をしていたとしても私たちは何も見なかったことにします。腕にも多少は自信があるので危険なことはないかと・・・特に殿下に関しては最強の戦士と言われていますから、少しはカオル様のお役に立てるかと。もう、この際、ご同行を許可して頂けるのであれば、報酬出してもいいですから。滞在費も全額出させて頂きますよ?いかがですか?」


・・・ユージンさんや・・・あなた中々、いい腕してますね。

側近として。金払ってでもいいから、連れて行ってやってくれって・・・しかも破格の金額提示してくるあたりすごいよ・・・一般市民ならそれで数ヶ月は遊んで暮らせそうですね。

ヒルトや・・・あんた情けないにもほどがあるって言うか・・・

これって、元の世界のキャバクラの同伴みたいなもんだと思って・・・


その後、二、三言葉を交わし結局、同行を許した。

まぁ、お金も貰えるから思ったよりはいいか。


これ以上は、時間も惜しい。

それに、ヒルトが金魚のフンとなるのは予想の範囲内だ。

ユージンさんも側近としてヒルトの傍を離れるわけにはいかないということで、一緒に行くことに。

側近が一緒だと、ヒルトの相手も軽減されそうだしもう、いいや。

やけくそとかきっと、気のせいですね。


簡単に朝食を済ませ、ヒルトとユージンさんは自分の馬があるそうなので、ユージンさんが一度戻って、馬を連れて来ることに。その間に私は馬を調達。


ゆっきーの見立てで茶色くて速い子を選びました。



ヒルトとユージン(さん付は辞めてくれと言われたので。それはそうだ。ユージンより偉いヒルトを呼び捨ててるからね。ついでに私も様付はやめて貰った。)に大まかな目的地を告げ、三人とも馬に跨る。ゆっきーはもちろん、定位置である私の肩に。重さないしね。


目的地を聞いた二人は驚いていた。

そして、ヒルトとユージンに告げる。

「ヒルト、ユージン。私は急いでるので、飛ばします。あなた方を待つことはしません。万が一、逸れることがあっても、こちらは関知しませんのでご了承下さい。宜しいですか?」


「もちろんだ」


ヒルトとユージンも私の言葉に頷く。

そりゃあ、職業軍人だもんね。一般人に連いて行くなんてお茶の子サイサイと思っているかもね。

素晴らしい軍馬をお二人ともお持ちのようですしね。

フフフ・・・隙あらば、振り切ろう。


今朝の計画通りに、馬に風魔法で速さを上げ、馬の負担を軽減させる為、重力軽減魔術で重さを感じさせないようにした。


そんな私を驚きの表情で見ていた二人を尻目に声を掛け、出発する。

慌てて、二人が負って来たが、私との差がぐんぐん広がっていく。


だが、さすがと言うべきだろうか似たような魔法と魔術を駆使して追いついて来て横に並ぶ。

チッ。


「カオル。君はこんな術も使えるんだな。初めて見た術だ。君のを参考に俺も術を組み上げてみたんだが、今度教えてくれないか?」


「凄いですね。このようなことは初めてです。これならば、確かに場所に寄っては飛竜よりも速いかもしれませんね。カオルが開発したのですか?」


「いいえ、私の世界ではよく使われている術ですよ?こちらでは一般的ではないのですね」


笑顔で話しかけてくるヒルトの相手をしつつ、関心しているユージンの質問にも答える。何度か馬に定期的に回復魔法を掛け目的地へと急いだ。

もちろん、二人を撒きたいので、回復魔法は自分の馬にだけだ。しかし、軍馬はやっぱり出回ってる馬と違うな。これで、私と同じ方法取られたらアウトだったわ。


そんなこんなで一応、順調に進んでいった。


私たちが通った道は街道から外れた獣道で、後ろの二人に気付かれないように、ゆっきーの力で植物に避けて道を開けてもらい森を突っ切る。

ヒルトのことだから、何か感づいたかも知れないが、もう、ここまで来たら、諦めつつある。


予定通り、半日程度で目的の場所に到着した。

そして、ティアと久々の再会を果たした。




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