たぶん異世界20日目
たぶん異世界20日目
ジャスティアの皆さんにお礼を述べて、無事に出発しました。
馬よりも徒歩が好きなので(疲れたら、ゆっきーいるしね!)歩いて行きます。
首都グーズグレイまではここからゆっくり歩いて10日くらいの距離だそうです。
馬だと5日、ゆっきーだとひとっとび。
グーズグレイに行く途中には、様々な街や村があるそうなのでそこに立ち寄りながら行こうかと思ってます。特産物とか楽しみだしね!美味しいものあるかなぁ。
『カオル・・・』
「なに~?」
と、ゆっきーの問いかけに上機嫌で返事する私。
『あれは放っておいて良いのか?』
「ティアのこと?そのうち帰るんじゃないかな?あの娘もジャスティアの娘だから危険は自分で回避するだろうし、放っておいてもいいんじゃないかなぁ。って言うか面倒臭いから見て見ぬ振りする方向で」
『・・・わかった』
何か言いたそうにこっちを見ているゆっきーは放っておいててくてく歩いていく。
そう、ジャスティアからずっと、気配を消して一定の距離を置いてこちらの様子を伺っている気配がひとつ。通りで見送りの中にいなかったはずよね。彼女はきっと、見送りしてからでは、私に気付かれ置いていかれると思ったのね。まぁ、いてもいなくても残念ながら、職業柄気付くけどね。とりあえず、面倒臭いから放っておくけどね。
数時間後。
「カオル様!カオル姉さぁまぁぁぁ!!!私のことお気づきになってるんでしょぉぉぉおお?!何で気付かない振りをするんですかぁぁぁあああ!!!!!ぐすんっっ」
こっそり隠れて私のこと、尾行するんじゃなかったの・・・?
と、思いつつも一応、聞かれたので答える。
「・・・面倒臭いから?」
「酷いですぅぅぅうう!!!私、カオル姉さまにいつ気付いて頂けるかずっと待ってましたのにぃぃぃいい!お姉さまの為に色々とお菓子も持参して来ましたのにぃぃぃいいい!」
「え?!お菓子!」
「私もご一緒させて頂いて宜しいですか?!私、カオル姉さまが大好きなんです。カオル姉さまのお傍にいるだけで勉強になるんです!私、カオル姉さまのお役に立ってみせます!だから一緒に連れて行って下さい!」
困った。私は正直、面倒臭いのはなぁ・・・う~ん。ティアと一緒かぁ。
ティアといると目立つよなぁ・・・きっと。
そう、ティアは赤髪に兄のディーと同じ碧眼の色白でかなりの美人さんだ。
大人っぽいうえに色気もすごい。ムンムンムムンだ。はっきり言って、私よりも年下とはとても思えないくらいだ。そんなティアと一緒となるとかなり目立つ気がする・・・う~ん。悩む。
と、私が考え込んでいるとティアは私のハートに一撃じゃなかった一言。
「お姉さまの希望は地味で平凡でしたわね!私、こう見えても変装や偽装は得意ですの。自分の身は自分で護れますわ。もし、死にそうになっても切り捨てて下さって結構です。マークナー家の一員としてそれくらい当然ですわ。それに、ジャスティアの総帥の娘ですから顔も広いですし、裏工作や情報操作はお手のものでしてよ。それから、お姉さまの身の回りのお世話はもちろん、忠誠を誓い、誠心誠意尽くさせて頂く所存でございますわ。大丈夫です!お姉さまもご存知とは思いますが、必要とあれば暗殺だろうが間諜だろうが任せて下さい!お姉さまに害を成すモノはこの私、エスティア・マークナーが地獄を見せて、息の根をしっかりと。あぁ!そうそう!禍根!禍根を残さず、関係者はもちろん、一族や友人関係もろとも滅ぼして差し上げますわ!ね?ですから、お願いします!あんな風に私に接して下さったのはお姉さまが初めてなんですぅぅううう!お父様とお母様の許可もちゃんと頂いて来ましたからぁぁぁああああ!後生ですぅぅぅぅううう!!!」
もう、唖然とするしかなかった。
これはもう、どっちが面倒かというと断然、振り切る方がしぬほど面倒くさい気がして来ました。
ティアは役に立ちそうだし、おいしいもの食べれそうだし、面白そうだからいっか。
まぁ、ティアもジャスティアの中では総帥の娘ということと本人のズバ抜けた才能もあってなかなか親しい人が出来なかったらしい。気持ちもわからないでもないよね。
才能云々は置いておいたとしても、総帥の娘というだけでやっかいよね。私なら近寄りたくないわ~。会社で言えばワンマン社長会社の社長の娘。社長の一声で全てが決まってしまうような社会でわざわざ首になるかもしれない危険要素に自分から近寄りたい人はいないよね。一見、ゴマすり対象になりそうだけれど、本当に賢い人間はそういうのは適度な距離を取ってお付き合いである。娘にパパ~あいつが~って言ってたんだ~ってね。本人にとっては軽い会話でも聞いた社長のパパはそうは思わなくってハイ、首ねってことになりかねない。となると、まぁ、しょうがないですねということになる。特に後ろ暗い人間の集まりなうえにここを追い出されたら行くとこないですからね。
気の毒としか言いようがない・・・
「わかった。そこまで言うならいいよ」
と、いうことでティアには秘密の存在であったゆっきーを紹介しました。もちろん他言無用と言うことで。
「守護流?!しかも神龍だなんてさすがですわっ!龍の中、龍王の中でも最高位でその存在を疑われている神龍王なんて!お姉さまっ!もう、一生ついて行きますぅぅううう!ゆっきー様、私、エスティア・マークナーと申します。以後、お見知り置きを。これからご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますがどうぞ、よろしくお願い致します。」
ゆっきーとティアはこれから上手くやっていけそうで良かった。
そして、ゆっきーはそんなに希少価値が高い上に強かったのね・・・
これはお金に困ったら高く売り飛ばせるかもね!うっふっふ。
そして、ゆっきーは私とティア以外には引き続き見えないようになって貰いました。
さて、ご飯を食べて寝るところを探しますか。
もちろん、この辺には何もないので、野宿です。
意外に好きなんですよ。野宿。
昔を思い出すな~
さて、寝ます。