第四話 勉強会と部屋と教科書と…(後編)
勉強会をしている間中あたしはずっと、どっちが好きなのか考えていた。
秋と夏騎には気づかれなかったけど冬音にバレて帰り道の公園で話をする事になった。
その公園が物凄く子供多いっ!さっさと帰らないと怒られるぞ。と思っていた矢先に親が向かえに来て子供が帰り、寒々とした雰囲気になった。
今の言葉撤回するから戻ってきてー!と思っても戻って来るはずがなく、ついに冬音が口を開いた。
「秋と夏騎君のどっちが好きなのか悩んでいるのか…」
早々に核心に触れてきた。図星だった為、あたしは一瞬言葉を失った。
あたしが答える前に冬音が話を続ける。
「確かに外見同じだしね…双子だから当たり前なんだけど」
苦笑しながら冬音は言う。あたしは黙ってその話に耳を傾けていた。
冬音の言葉は、まさにその通りであたしは、まだ言葉が見つからない。
「外見は、同じだけど二人共違うでしょ。秋は嫌味で夏騎は神様で…」
「それは冬音だけの印象でしょう!」
「やっと喋った」
そう言って冬音は、笑った。冬音の正直な事だったのかもしれない…あたしに喋らせようと言った事なのかもしれない…それでも…。
それでも…冬音の言葉で少なからず救われた。
「本当だ」
あたしは、そう言って笑った。
「それで内面的にどっちが好きなの?」
「え?うーん……秋かな…」
「……この辺に中位の石があるよね?それに…今から行けば時間は大丈夫」
冬音は、言って石を探し始める。それをあたしが防ぐ。
「まさか投げるの!?」
「なんで嫌味眼鏡な訳?」
おおっ嫌味から嫌味眼鏡にグレードアップした…じゃなくて!
「あたしが夏騎って言えばそんな事しようとしないの?」
「私は……私は、冬音を大切にしない人なら誰も嫌だ」
「じゃあ…あたしを泣かせるような事があったらどうするの?」
冬音は、目を逸らしてから背を向けて振り返らずあたしに言った。
「早く帰らないと怒られるよ?」
「うん……」
あたしは、頷いて冬音の後ろを歩いた。
冬音は、最後まであたしの問いに答えなかった。
次の日の朝、あたしはずーっと冬音を見つめていた。その事に気づいて冬音があたしの方を向く。
「何?どうかした?」
「ううん、なんでもない」
「昨日の事だけどさ…?私は、その時にならないと分からない。だからその時が来ないよう祈るよ」
「ありがと」
そんな話をしているうちにちょうど先生が来て、あたし達は、それぞれの席に戻っていった。
続く!