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無限問題  作者: 城宮 美玲
恋心編
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第三十九話 勉強問題 冬音side

私は今日、不機嫌です。なんでって?だって夏騎君が春香に優しくするからさ!優しくしないでとは言わないよ?でも…だって…ねえ?


納得がいかないまま、仏頂面で秋の隣に座る。なんでだろう、イライラする時に秋の隣にいると少しだけ春香が好きなのに夏騎君が優しくしてるから出来ないんでしょー?と勝ったような気持ちになる。


「お前、顔すごいぞ。鏡で見てみろ」


「そんなにすごい?」


「鬼のようだ」


「なんでだろう、いつものように言われてるのに今日は疲れて相手する気にもなれない」


私はハハハと乾いた笑いをしてから春香に優しくしている夏騎君に視線を移した。春香が勉強が分からない!授業聞いてなかったから!と誰が聞いても自業自得だとしか思えないことを言って焦っていた。


勉強なら教えてあげようと私が言ったのだけれど春香は在ろう事か夏騎君を指名した。きっと私の不機嫌もそこから来てるんだね、春香が親友じゃなくて好きな人に頼むから。


「別にいいもん、春香が私じゃなくて夏騎君を選んだとしても…別に()ねたりしてないもん」


「完全に拗ねてるだろ」


「もう…親友と好きな人のせいで私の不機嫌メーターが上がりまくってるよ」


「夏騎が他の人に優しくしてるのが嫌なら早く告白すればいいんじゃないのか?」


秋に向けていた視線を私は夏騎君たちに戻した。そして机に顎を乗せて、わざとらしく溜息を吐いてみせる。


「ハァー…分かってない、分かってないねー?それが出来れば苦労はしない」


「それもそうだな」


私と同じように秋も夏騎君たちに視線を向ける。仲良し…二人共仲良く教科書じゃなくて動物図鑑を開いてるよ。勉強、はかどってるみた……ん?


「あれ…おかしくない!?動物図鑑?どっから持って来たの!」


春香が持っていた動物図鑑を指差して私は言った。動物図鑑ずあって教科書がないよ?どこにも見当たらないよ?私は溜息を吐いて図鑑を没収した。


「勉強の事で焦ってる人がサボってどうする…」


「だって全然はかどらないし…」


「だって勉強分からないし…」


「春香はいつも通りだとして、夏騎君は…アホだよね!分からないのに教えようとするとか!」


夏騎君の隣で春香がそれもそうだ!と納得していた。なんで分かってなかったの!?前から、夏騎君が勉強ダメなの知ってるんだから気づこうよ!思い出そうよ!


「仕方が無い…もう諦めろ」


もう手遅れだとでも言うように秋が二人に言った。春香は“まだ間に合うよね?”と言う不安そうな視線を私に向けた。


「大丈夫!まだ手遅れじゃないよ!苦労はするだろうけど、手遅れじゃ…あれ?なんか不安になってきた…」


「冬音までそんな事言ったら、あたしは誰を信用すればいいの!?」


「だ…大丈夫だよ!ほら、桜さんとか…」


「もう手遅れよ」


いつの間にか私の隣に来ていた桜さんが腕を組んで近くの机に座りながら言った。シュンとする春香を見て私は慌てて言う。


「か、冠凪さんとか!」


「すみません、私も同意見です」


これまた桜さん同様いつの間にか隣にいた冠凪さんが顔を逸らして申し訳なさそうにしている。春香はと言うと、もう俯いて泣きそうになっている。


「……私が教えてあげるよ…九九から…」


「あたしそこまでバカじゃないよ!?」


「そんなに焦らなくても、ちゃんと勉強すれば手遅れなんて事はないのよ」


「桜…さっきと言ってる事が違うんだけど…」


顔を上げて春香は顔を引きつらせながら言った。それに対して桜さんはフンッと鼻を鳴らして足を組み替えた。


「あれはサボったりするから冗談で言ったのよ。本気で焦ってるなら真面目にしなさいよ」


「うう…」


さすがの春香もこれには言葉が出ないらしい。そういえば、夏騎君をずっと放置してたけど、どうしたのかと視線を移してみると私が春香から没収した動物図鑑を読んでいた。


「ついでに夏騎君も桜にお願いしたら?」


「いや、スパルタの秋にお願いするよ。本井さんよりはマシ」


「賢い判断だよ、夏騎君」


「それ…どう言う意味よ?」


後ろから凄みの利いた桜さんの声が聞こえた。振り向くのを躊躇われる。だってこれ、振り返ったら絶対一番最初に鬼の顔があるよ?鬼のように怖い桜さんの顔があるよ?


「ついでに冬音ちゃんも教えてあげましょうか?」


「わっ私は遠慮しておくよ!ほら、勉強は大の得意だし!」


「復習のつもりで勉強すればいいじゃない?」


この人は何としてでも私を逃がさないつもりらしい。微笑んでいる顔がなんだか今は…いつもだけど怖く感じるよ…。私は桜さんの顔から目を逸らす。


「お…お手柔らかに…」


そう言った私の言葉は、果たして桜さんに聞こえていたのだろうか?勉強が終わった後、私と春香はもう二度と桜さんに教えてもらうのは止そうと心に決めた。



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