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無限問題  作者: 城宮 美玲
恋心編
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第三十七話 ソワソワ?

なんだか、今日は一段と桜がソワソワしている。なんで?どこからどうみても挙動不審な怪しい人なんだけど…。


距離を取りつつ、気になるのであたしは桜に聞く事にした。恐る恐る肩を叩くと桜が振り返って首を傾げる。


「何かしら?」


「なんで、そんなに挙動不審なの?」


「どこが挙動不審だって言うのよ!」


そう言いながら桜は前後左右を気にしている。いえ、どこからどう見ても挙動不審です!そんな事言ったら後が怖いので言わないけど。


すると、パンを大量に買って冬音が教室へと戻って来た。安上がりだし、いつも通り食堂で食べれば?と言ったけれどパンが食べたいと冬音が言って買って来たのです。それにしても…一個や二個かと思えばあんなに大量に……。


「あれ?挙動不審の桜さん、春香と話してたの?」


「挙動不審は余計よ!それにしても…一人で食べるの?」


大量のパンを見て、苦笑いを浮かべながら桜が冬音に聞く。それに対して冬音はパンの袋を開けながら驚いた表情をした。


「え…私以外に誰が食べるの?」


「驚きたいのはこっちよ!」


「いただきまーす」


両手を合わせてからパンを持つと冬音は食べ始めた。話が逸れてしまったので、あたしはまた桜が挙動不審な事についての話へ戻した。


「なんか…怪しい…」


「恋愛もそれくらい鋭かったらいいのに…」


「桜が言う程あたしは鈍くないよ!」


「鈍いわよ」


だ…断言された…、自分ではそんなに鈍いとは思わないんだけど…(むし)ろ鋭い方だと思うんだけどなー。すると、パンを五個くらい食べた所で冬音が言った。


「好きな人でも出来た?」


「そんな訳なんでしょ?」


「じゃあ、何か待ち焦がれるような事があるんだ?」


そう言った後、冬音は六個目のパンの袋を開けた。残りのパンは二…四…六…九個もある…どれだけ食べるんだろう?きっと、この後にデザートもあるんだろう…。


「待ち焦がれる…と言うか…待ち焦がれる事なのよね」


「えっ?えっ!本当に!?何それ、どんな事!」


「なんでテンション上がってるのよ!落ち着きなさい」


あたしは何とか逸る気持ちを落ち着かせる。気持ちを落ち着かせる為の深呼吸が終わると桜は溜息を吐いて腕を組んだ。


「ブローチよ」


「ブローチ…って兄からの?」


「そうよ!悪い?」


「いや、悪くは無いよ。なんで切れ気味なの?」


それにしても意外…まさか桜が兄のブローチを楽しみに待っていたなんて!でも意外に兄はセンスがいいから…意外って失礼かな?


「私はね、惚れたのよ」


「はへ?え?何…へ?」


突然の惚れた発言にあたしは動揺して最初、変な声が出た。はへ?って何!自分でボケて突っ込んでも仕方ないよね…。でも今の話の流れからして惚れたって…兄?


「えーと…一応聞くけど惚れたって?」


「そんなの決まってるじゃない、春香のお兄さん……」


やっぱり…。あたしは思わず目を瞑った。なんで桜とも在ろうお方が家のバカ兄なんかを!?さっぱり分からない…もしかして冠凪さんに変な物でも食べされられたか冬音のアレを食べたの?だよねーそれしか考えられないよねー。


「そうだよね…桜はチャレンジャ「…の作るブローチに、よ!」


「ん?え?」


あたしの言葉を遮って桜が言ったのは、あたしが思ったのとは違う事だった。兄じゃなくて…兄の作るブローチ?自分の推測が崩されて暫くの間、呆然としていた。


「どうしたのよ?」


「桜は兄に惚れたのかと思って…まさかのブローチ?」


「好きになるなんてありえないわよ、お友達にはなれるでしょうけど…」


「友達でもミラクルだよ、あの人お友達もいないもん」


「ごちそう様でした!」


両手をパンっと合わせて丁度会話が落着したところで冬音は言った。どうやったら、パン+…たぶんこの後デザート…が入るんだろう?あたしでもパン三個いけるかどうかなのに…。


「それにしても少し遅いと思うわ、聞いてみてくれない?」


「えー?桜が自分で聞けばいいじゃん?」


「………」


「冗談だよ!聞くからそんな冷たい目であたしを見ないで!」


早速、兄に聞きに行こうと教室を出ようとした。すると、桜があたしに聞いてみてくれない?と頼んで来たのに自分で行くと言い出した。


…それなら最初から自分で行けば良かったじゃん…言ったら睨まれるから言わないけど…。冬音を見てみると、デザートのココアプリンを美味しそうに食べていた。


教室のドアの近くを見てみると、桜が「放課後に行くから」と言って廊下へと出て行った。大方、自分の教室に戻ったんだろう。それにしても…やっぱり意外だよ、意外以外の何者でもないよ…意外以外ってなんかややこしいけど。


あたしは鞄に入れてあったブローチを手に取って、よく見てみた。細かい所まで丁寧に作られていて、いい加減そうな兄からは想像が出来なかった。


手先は器用なんだなー知らなかった…。少し前から違和感があった、なんで今まで気づかなかったのか疑いたくなる程の違和感…。いい加減そうないつもの兄は……その性格の兄はなんだか無理をしているように感じた。


これはあたしの気のせい?それとも―――――――――――。



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