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無限問題  作者: 城宮 美玲
恋心編
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第十九話 迷探偵?冬音 冬音side

つい…最近の事だ。春香の夏騎君に対する態度がどことなく変わった。いつもは秋、秋言っているのに最近は夏騎、夏騎だ。


話題でも夏騎君がよく出るようになった。そして秋にも向けた事がない視線を春香は夏騎君に向けていた。もしかして私の料理を誤って食べてしまったのかと思ったけれど私は料理をしていなかった。


ここまで来て…春香の気持ちが分からないほど私は鈍感ではない。春香に何かがあって秋から夏騎君を好きになったとしかいいようがない。


でもその何かがイマイチよく分からなかった。分からないまま今に至る。そして私は秋にムカツクし今も対抗心むき出しだけど…春香の変化について分かる事があるならば、嫌いな奴でも意見を聞いてみせるさ!


「それで心当たりは?」


「全く無いな」


何故か秋は断言する。もうちょっと考えろよ!春香の変化の原因知りたくないのか?まあ、知りたいから私の話題につきあってくれてる訳だけど…。


「季野君、使えない…ハッキリ言って使えない…」


「なんでわざわざ二回言った」


「全く…こうなったらアレしかないよ」


「アレ?って何の事だ」


私の発言に首を傾げる秋。それはこれからの行動ですぐに分かる事なので、私はついて来るようにだけ言った。


「おい…これはストーカーじゃないのか?」


「変な言い方しないでよ、これは尾行と言うのです」


物陰に隠れながら私達は春香をスト…オホンッ…尾行しているのです。こうするのが人に聞いたり考えたりするより簡単だと思ったからね。


そんな訳でずっと春香を観察しているのですが…一時(いっとき)も夏騎君から目を離さないのです…勿論、授業中は見られないけど…。


春香…秋に対してだってこんなに熱狂的にならなかったのに…。どうして?


どうして?春香…。





椅子に崩れるように座り込み、疲れたように秋は溜息を吐いた。さすがに一日丸ごと尾行していたので私も疲れていた。


元々体力は無い方だし…でも私の方が体力があったらしい。私は立っているが秋は座ってる…フフフ…これは私の勝ちだな。


「特に原因の手がかりは無かったな」


「おやおや?季野君も一応気にしてたんだ?」


「体力で…勝ったからって…威張るなよ…」


まだ言葉を、息を切らしながら話しているんだし…これは完全の私の勝ちだと確証して内心、秋に対して腰に手を当て仁王立ちをしていた。


「でも手がかりが無かったのは事実だよね。ただ春香が夏騎君を見てるだけ…」


「…ん?そういえば昨日、春香が変な事を聞いてきたな。ほら、自動販売機の所で…」


「それは三日前の事だし覚えてるけど…変な事?」


三日前、私の紅茶などの飲み物を買いに春香が自動販売機へと向かっていた。そしてあまりにも遅いので私が様子を見に行くと春香が泣きそうな顔で俯いていた。秋のせいかと思ったけど確か冤罪だったんだっけ?


「ああ、一年くらい前の始業式で誰か転んだ人に絆創膏あげたりしなかったか…そう春香が聞いてきたんだ」


「始業式…転んだ人…絆創膏?それ…たぶん春香自身の事だ」


「どういう事だ?」


興味津々でこの話に食いついてくる秋を見て私は、ああ…こいつも春香が好きなのかと…なんとなく思いながら秋に春香から聞いた始業式での事を話した。


「そうだったのか…実はその日、俺の眼鏡を夏騎に取られたんだ…だから夏騎と俺を間違えたのかもな?顔同じだし」


「でも…でもそれじゃあ、春香がその事を知っただけで季野君から夏騎君に乗り換えた尻軽女になっちゃうじゃない…」


「一応今の状況を否定したいみたいだけど頗る(すこぶ)口が悪いな…」


「そんな事、今どうでもいいでしょ?」


はい…今自分の事、棚に上げました。だって口が悪いのはしょうがないじゃないか!口が滑ってペラペラと喋ってしまい何組ものカップルを破局に追いやってしまった私はもう手のつけようが自分でもないのです。


「それよりずっと気になってたんだが…どうして夏騎は夏騎君で俺は季野君なんだ?」


「えー?だって季野君が二人じゃ紛らわしいでしょ?」


「なら別に両方共名前呼びでいいだろ?いくら俺が嫌いでも」


「うーん…季野君が嫌いと言うより…名前が嫌いの方が正しいな」


私は“しゅう”と言う名前が嫌いだ…大嫌いだ。でも理由は今度話そうと思う…なんて言ったって今は春香の変化の方が正直気になる!


「季野君から夏騎君にこんな早く心変わりするなんて…あまりにも早過ぎる…もしかして前から気があったとか?」


「ない事もないな」


なんでこの人、冷静なんだろう…春香が好きなんじゃないの?いや、とりあえず春香本人にも話を聞いてみた方が早いんじゃ…。


そんな事を考えていると誰かが後ろから私の肩を叩いた。本井さんか冠凪さんだと思い、振り返ってみると…。


「二人が喧嘩もせずに一緒にいるなんて珍しいね?」


「はっ…春香!?」


「なんでそんなに驚いてるの?」


首を傾げながら春香はそう言った。どうやら近くに夏騎君がいないようなので動揺しながらも私は春香に直球で聞いてみる事にした。


「春香って…もしかして夏騎君の事好き?季野君じゃなくて…」


「季野く…ああ、秋の事?好きだったんだけど…改めて考えてみたらあたしが好きなのは夏騎だったみたい」


「そ…そう?」


あまりにもアッサリと春香が言うので私は安心していいんだか心配した方がいいんだかで困ってしまった。


「だからあたし、これから夏騎君が振り向いてくれるように頑張るの」


「そんな事し……ううん、私も応援するよ。頑張って」


「ありがとう」


春香は満面の笑みでお礼を言うと、図書室の方へと歩いて行った。今…私、そんな事しなくても夏騎君はとっくに振り向いてるよって、言いそうだった。


それはこれから春香が気づいていく事で夏騎君が築いていくものだから…私が言っていい事じゃない。ただ、それでも春香の気持ちが嘘であったならと…




私は心のどこかで期待していたのかもしれない…。







                              続く*

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