第一話 あたしと親友と双子と‥‥
突然ですが、すばり!あたしの好きな人は、双子です。
だからって二人共好きな訳ではないですよ?って言うか‥‥見た目は別として、性格が二人共違うのです。
まず双子・兄の季野 秋は、クールでいかにも出来る奴って感じで若干ヘタレ気味‥そして眼鏡を掛けています。でも短気で怒りっぽくて‥‥しかも淡々と怒るので迫力倍増です‥‥ううっ思い出しただけで‥‥。そして、なんとなくですが秋は、あたしの親友が好きなのではないかと思います‥‥よく見つめてるし‥‥。なんだかんだで、あたしが好きなのは、この秋なんだけどね‥‥。。制服は、ネクタイもちゃんと締めてワイシャツの第一ボタンまで締めて‥‥ブレザーの前も締めて‥‥真面目な優等生。制服をちゃんと着るだけで優等生になれるなら、あたしも着るんだけどなー。
次は、双子・弟の季野 夏騎は、いつでも笑顔で誰にでも優しくてマイペース!心が広いので怒る事は、あまりありません。仕草が紳士と言うか‥‥レディーファーストが分かってると言うか‥‥。でも時々悲しそうな顔をするのは何故だろう?そして秋とは逆に冷静なのですが‥‥頭の方があまり良くないので‥‥補習仲間でもあります。制服のネクタイは付けては、いるのですが緩めていてワイシャツの第一ボタンとブレザーの前も締めていないのです。親しみやすいから良いとあたしは、思う。
そしてあたし、節中 春香は、明るく活発!勉強は苦手だけど運動・スポーツなら負け知らずで補習の先生にはお世話になってます。そして秋が好き!もう四六時中見ていたいくらいLOVE、これには親友も呆れる程。制服のリボンは付けてワイシャツの第一ボタンは外し、セーターを冬には着ます!スカートは、もちろんミニですよ‥‥フフフ。よく変わっていると言われるあたしですが‥‥このあたし達が通っている学校自体が少し変わってます。
‥‥‥‥‥おっと!忘れる所だった‥‥。あたしの親友を紹介しないと!
あたしの親友、松永冬音は、常に冷静沈着でクールな毒舌。憧れる女子も少なくない。まさに異性より同性にモテるタイプ?そして他人の恋愛事情に頗る詳しい。なんでそんな事まで!?と言うような情報まで‥‥一番敵に回してはいけない人だと感じている。男子より男前です。まあ、そんな冬音と何であたしみたいなのが仲いいのかって聞かれると‥‥何でだろう?ってなるんだけどね。制服は、リボンじゃなくてネクタイでセーター(灰色)は、指先が少し出る位の大きさ。スカートは膝よりやや上?ミニまでは行かない感じです。
「あれ?どうしたの?」
噂をすればで、冬音が首を傾げながらあたしに向かって歩いて来る。あたしは、冬音に顔だけ向けた。
「別にどうもしないよ?」
「いや、周りがゴキ●●で騒いでるのにあんただけ上の空だから」
「ゴキ●●ごときで騒がないよ」
溜め息を吐いた後、冬音は呆れたように言った。
「聞いてなかったんだ。サイエンス部の部員が誤って近くにいたゴキ●●に危険な実験前の薬品をかけちゃったんだよ」
「それでゴキ●●は?」
「かなりの大きさになって校内を駆け巡っております」
「それかなりの大事だよね。冬音が冷静だからそうでもないと思ったら大事だよね」
そう言った直後に秋が急ぎ足であたし達の方へ駆けてきた。
「春香、無事か?」
「あっうん!」
「なんで春香だけなの?私も居るのに」
横から冬音がジロリと秋を睨んだ。秋は、眼鏡の縁を指で押す。
「いや、見た目無事だから」
「それ言ったら春香も無事でしょうが‥‥」
「春香は、か弱いんだ!松永と一緒にするな」
「お前は春香の保護者か」
腕を組んで冬音は、壁にもたれ掛かった。そして少し俯く。
「これからどうするんだろう?」
「サイエンス部が元に戻す薬品を開発中らしい。出来るまで辛抱するしかないな」
今更ですが、こんな事件は日常茶飯事です。主にサイエンス部と何らかの事がキッカケで起こります。
「そう言えば、季野君は?」
「夏騎の事か?それなら、さっき購買にパンを買いに行ったぞ」
「どこまでもマイペースな‥‥」
冬音は、いつもの事なので諦めているのか溜め息を吐いただけで後は何も言わなかった。
本日二回目の噂をすれば、夏騎がパンを持ちながらこちらに歩いてきた。秋以外歩いて来るな‥‥あたしの所に。
「三人、固まってどうかした?」
「騒ぎについて話してたんだ。ゴキ●●が校内にいるって言うのによく食えるな?」
「腹が減ってはなんとやら‥‥だからね」
そう言って夏騎は、パンを食べ始める。そして秋も夏騎からパンを受け取り食べる。ハァ‥‥かっこいいなー。イケメンは、何をしても絵になるよ。
「何、うっとり見てんの?」
あたしにしか聞こえない声で冬音が言う。慌ててあたしは顔を逸らした。
「み‥‥見てないもん」
「秋を見てたでしょ」
なんで分かるんだろう‥‥夏騎と秋は隣合わせだからどっちを見てるかなんて分からないはず…。
「まあ、どっち見ててもいいけどね?私は」
そう言ってから冬音は、夏騎と秋に近づいて行った。あたしは、冬音の後ろから付いていく。
「二人だけずるいなーパン」
「ごめん、二つしか無くて」
夏騎は、申し訳なさそうに苦笑した。すると、横から秋が言った。
「それなら、少し分けてやるよ」
「上から目線ムカツクな!でも分けてほしい」
突っかかりつつも冬音は、パンがほしいらしい。そんな冬音に対して秋が溜め息を吐いた。
「誰が松永に分けると言った?これは、春香に分けるんだ」
「ええっ!あたし?」
「えこひいきだ!えこひいきー」
納得がいかないようで冬音が不機嫌になる。あたしは、冬音をなだめてから秋の差し出すパンを見た。思わず唾を飲む。
だってこれって……間接キスと言う奴ではないですか!
「顔が赤いけど大丈夫か?」
「だっ大丈夫!あたし…あんまりお腹空いてないから秋が食べて良いよ?」
今のあたしに間接キスは、無理でした……せっかくのチャンスをーーーー!と後で後悔する。
「春香がいらないなら私が!」
「お前にやるパンはない……と言うか本当にない。俺が食べたからな」
「とことん嫌味だ……」
秋は勝ち誇った笑みでパンの入っていた袋を冬音に見せ付けた。さっきの今でもう食べたんだ……と言うか今の秋かっこ悪っ。
「季野くんは、くれるよね?」
冬音が半泣きだ…そんなに食べたかったんだ…パンを。ただのパンだよ?冬音って食べ物に関してだけは、変な執着を持ってるんだよね。
「可哀想だから全部あげるよ」
「わーい!フッ……双子なのにこんなに優しさに違いがあるなんてねー?」
パンを得たと同時に冬音の弱気は、なくなった。すごいなパンっ!
《……サイエンス部が元に戻る薬品を完成させ、出来事は解決しました。まだ小さくなったゴキ●●がいるかもしれないので見つけた方は後を宜しくお願いします》
「解決したんだねー?」
「まだいるかもしれないんだって。春香、足元には気をつけなよ?」
「冬音、心配しなくて大丈夫だよ!あたしがそんなへま、する訳」
グシャ……
あたしの足元から嫌の音がした……。足を上げて見るのは……かなり怖い……。
「イヤーーーー!」
「落ち着けっまず救急車をだな…」
「季野君が落ち着け……」
後日、上靴を買い換えたのは、言うまでもない事でしょう。
続くのでした。