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第八話「奴隷の王女はついに覚醒!」

かなりの距離を飛ばされて河原に打ち付けられた。


衝撃で呼吸ができず、意識が飛びそうになる。


まさか・・・また魔獣か?


信じられないが、今は考える余裕が無い。


必死で目を開ける。


なんだ、こいつは!


挿絵(By みてみん)


それは巨大な泥人形のように見える。


そいつが脚を上げて俺を踏みつぶそうとしている。


泥巨人の動きが遅いのが幸いして、なんとか横に避けた。


急いで立ち上がって背中の剣を抜く。


グハッ!


胸に激痛が走って、口から血を吹き出した。


どうやら肋骨を何本か折られたらしい。


魔導力無しでかなりの重傷を負ったのはマズイ!


これでは攻撃どころではない。


攻撃を避けるのに精いっぱいだ。


再び泥巨人が拳を振り上げた。


避けようとしたが岸辺の石に足をとられた。


しまった!


今度は左側からのパンチをもろに受けた。


ガードした左腕に強烈な衝撃。


腕を持ち上げようとしたがだらりとしたまま、全く動かない。


クソッ!


これはいかん!


もはや勝つ術が無い。


やられる前に、せめてサイリから引き離さないと。


サイリはちゃんと逃げているか?


しかしサイリは目立つところに立ったままだ。


両手を胸の前で合わせてなにか祈っている。


またか!


バカ! さっさと逃げろ!


叫ぼうとしたが声が出ない。


泥巨人が迫ってくる。


終わりか・・・


そう思った時、空間が歪むような感覚に襲われた。


な、なんだこれは?


泥巨人も戸惑ったように一瞬動きを止めた。


その時、サイリの肩の上に奇妙なものが出現した。


四角い箱から四本の筒が突き出した金属製のもの。


直線と幾何学的な曲線が複雑に組み合わさった明らかに人工物だ。


一見重そうだが、サイリはそれを肩に担いでいる。


泥巨人はなにかそれに危険を感じたらしい。


俺へのとどめを刺さず、サイリの方へ向きを変えた。


サイリ、逃げろ!


叫んだつもりだったが口から出たのは大量の血反吐だけだ。


泥巨人は重々しい足取りでサイリに向かって行く。


その時、サイリがその妙なものを泥巨人に向けた。


途端にその筒状の突起物からなにかが火を噴いて飛び出した。


そして猛烈なスピードで泥巨人の胸のあたりに吸い込まれる。


爆発が起こった。


立て続けに二回、三回!


サイリの担いでいるものから火を噴く何かが飛び出す。


挿絵(By みてみん)


泥巨人は全身から閃光を発しながら粉々に飛び散った。


蘇ってくる気配はない・・・


何だ! 今のは・・・


向かいの川岸を見るとサイリが一人、立ちつくしている。


肩の上の妙なものは既に消え失せていた。


サイリが俺に向かって駆け寄ってくるのが見えたところで意識が途切れた。


・・・


・・





・・


・・・


意識が戻った。


目を開けると心配そうに覗き込んでいるサイリの顔があった。


「クロン様! 気が付かれましたね!」


サイリが安堵の表情を浮かべた。


「クロン様、ああ、良かった!」


目に一杯涙を浮かべている。


こいつはこんなに泣き虫だったか?


辺りは真昼になっているようだ。


体を起こそうとする。


うぐっ!


右の胸と左腕に激痛が走った。


「ああっ! クロン様 無理なさらないで!」


そうは言ってもずっとここに寝転がっているわけにもいかない。


二匹のグルガンもまだその辺にいるのかも知れないし。


この状態で襲われたら万事窮すだ。


無理やり力を振り絞る。


なんとか岩を背にして座ることはできた。。


しかし、これでは長距離を移動するのは無理だ。


それにサイリは裸足のままだ。


それどころか俺のマント以外は何も着ていない。


いくらこいつが頑丈でもこんな格好で長旅などできるわけがない。


そういえば二人とも昨日からなにも喰っていない。


これでは魔導力が回復する前に二人とも行き倒れになりかねない。


一難去ってまた一難か・・・


為すすべなく空を見ていると、なにかキラリと光る点が見えた。


ん? なんだ?


鳥か?


星の見間違いか?


いや、そうじゃない。


光る点は次第に大きくなってこちらに近づいてくる。


・・・あれは!




--以下、第九話に続く--











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