97話 いざ神殿
神殿への通行許可をもらった私たちは再び神殿の道の入り口に向かった。
「すいませんが長の許可を受けてない人は通せない決まりになっております、お帰りを」
「この紙で長の許可を受けてるって事だよね?」
私は長に渡された。紙を警備の人に見せた。
「分かった、通行を認めよう」
そして私たちは神殿の道を歩いて行った。
(警備が厳しかった神殿の道だ、さすがに道が舗装されていないな)
「道がしっかりしてないな……気をつけて歩いて」
「分かってるのじゃ、じゃが急な坂道で滑り落ちそうなのじゃ」
私たちは互いに滑り落ちないように気を付けて道を歩いて行った。そして数十分道と格闘すると白い石造りの床が見えた。
「これは神殿の一部なのか……?」
「多分そうなのじゃ、やっとしっかりした地面を踏めるのじゃ~」
私たちは神殿の一部である床に足をつけ、少し休憩したのだった。
「そういえばラック、聞いておきたいことがあるんだけど」
「どした瑞希、何か質問?」
「最初の勇者が紋章になったのって今から何年前なの?」
「多分数百年前だった気がするよ」
「そうなんだ……だとしたら数百年経ってこの白さを保ってるのだから人が訪れてないんだなぁ」
(もしリョウと同じように転生してきた先代勇者は仲間に出会えず、そしてこの情報に巡り合えずに死んでいったのかな……だとしたら不運だな)
そして白い石の階段を登っていくうちに雲を突き抜け、そして神殿が見えてきた。
「……ここが最初の勇者の神殿か」
「見事に白いのじゃ、ここ儂がいていいのじゃ?」
「マーチャ、多分居てもいい」
リョウは周りの風景を見ながら神殿の奥に歩いて行った。よく見ると神殿の奥には紋章が一つポツンと浮かんでいた。
「リョウ待って!」
「どうしたんだ?」
「何かおかしいんだ、この違和感……何だろうと思ってたんだ。だけど今わかった。今すぐこっちに帰ってこい!」
私が感じた違和感はすぐにリョウを呼び戻した。それと同時に紋章から何かが漏れてくると守護霊らしき奴が現れた。
「まさかだけどさ、ラックが言ってた奴がアイツなの?」
「そう、あいつが紋章を守るゴーレムみたいなやつ。強いよ」
ゴーレムは私たちを見つけると重たい足音を鳴らしながら向かってきていた。
「ちょっと向かってきてるんだけど!?」
「あー、そうだな……一旦攻撃をするのじゃ!」
マーチャはゴーレムに向かって攻撃をしたが全く聞いてる気配は無かった。
「あれぇ~儂の魔法じゃ無理なのじゃ?」
「いいから逃げるよ!」
私たちは神殿の奥に逃げていった、あいにくゴーレムの足は遅くて助かった。
「もしかして勇者の神殿だから勇者として召喚された人の攻撃しか通らないのか?」
「だとしたら俺があいつに攻撃をしないといけないのか!?」
「そう言うことになるのじゃ。大丈夫、儂はお主をサポートするのじゃ」
マーチャはそう言ってリョウに身体強化魔法や速度強化魔法をかけていった。
「ありがとう、なら行ってくるよ」
リョウは剣を強く握り、ゴーレムに向かって走り出した。
「ウオリャァアアア!!!」
ゴーレムの石が擦れる音が聞こえるとリョウは音が聞こえた場所に向かって剣を振った。
「ここぉ!!!!」
リョウが剣をゴーレムに叩きつけた、するとゴーレムの石にひびが入り始め、ヒビがどんどんと石に伝播していきゴーレムが粉々に壊れたのだった。
「……力が湧いてくる」
マーチャはふっとため息を吐いた。
「マーチャ、どうしたの?」
「儂な、リョウにかけた複数の強化魔法をゴーレムを倒す直前に解けるようにしたのじゃ」
「それってリョウの弱い力でゴーレムをやっつけたのか?」
「のじゃ、恐らくじゃがリョウの持っていた剣、倒した奴の強さを吸収するという能力があったから倒せたかもしれないのじゃ」
リョウがその場に立っていると紋章がリョウの前に飛んできた。
「……これは……もしかして最初の勇者の紋章か……?」
「そうなのじゃ……それはもうリョウの物なのじゃ」
リョウは少し戸惑いながら紋章に手を伸ばした。すると紋章は溶け、リョウの皮膚に染みついて行った。
「みんなありがとう……これで強くなったはず」
「とりあえずは良かったのじゃ」
ラックは私の服の外に出るとリョウに近づいた。
「とりあえずはおめでとうと言っておく、だけどこの結果は新たなスタートなのだよ」
「新たなスタートか……はぁ」
「それにリョウは勇者という力と共に責任を背負うことになる。その事を心にとどめておいてね」
リョウは胸に手を当てた。そして何かを覚悟したように目を開けた。
「分かった、勇者の責務を果たすかぁ……」
「そういうことだから私はもう仕事は果たしたから消えるね~」
そしてラックがどこかに消えていった。
「とりあえず瑞希さんの家に帰りましょうか、帰る時も徒歩ですか?」
「いいや、転移魔法でひとっとび、だよね?マーチャ」
「そうなのじゃ~行きは苦しくても帰りは楽なのじゃ~」
「と言う事だから帰るよ~」
「転移魔法……ってどうやって発動するんだ?」
「私にくっついたら相乗り転移できるよ」
「くっつく……うっ」
リョウは何故か私に触れるのをためらっていたが私は無理やりリョウの腕を握った。
「ほらこっちに来なよ」
「わっ」
(まだまだ子供だなぁ~)
そして私たちは転移魔法を使い、家に帰ったのだった。そしてリョウは勇者の責務とは一体何か考え始めるのだった。
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