85話 対を成す存在
転生者を空き部屋に運び込んで私が看病をすること2時間、転生者は飛び跳ねるように起き上がった。
「っは!?」
「あ、やっと目が覚めたんだ。単純な魔法で気絶しちゃうなんて弱すぎるよ」
「うるさい……って何だこれ!?」
「暴れると思ったから縄でぐるぐる巻きにしちゃった。それであなたはいったいどういう人なの?」
「知らないのか?勇者だ勇者!」
私はファンタジーでよくある勇者と言う名前がこの転生者の口から出たことに驚いてなかった。
「へぇ~それって自他ともに認めてるの?」
「そうだ、だからお前と魔王を討伐しなければならないんだ!」
私は呆れるとマーチャが部屋に入ってきた。
「さっきまでの話は聞いてたのじゃ」
「魔王!てめコラッ!この縄を解けっ!」
「儂らを倒すために暴れるだろう、やめるのじゃ」
「このっ!」
「ガチガチに絞めつけてるから暴れても無駄なのじゃ」
そして勇者が落ち着くとマーチャがさっそく勇者のメンタルを折りに来た。
「それで言わせてもらうのじゃ。勇者って言っていたのじゃ?」
「ああ……言っていた。だが事実だ」
「勇者にしては弱すぎるのじゃ!まだ水着で魔王城に単独で来た変態格闘家の方が強かったのじゃ!」
「何その人、気になるんだけど」
「瑞希、世界ってのは広いのじゃ」
「弱い……か、なら俺がどれだけ強いのか分かるのか!」
「儂のウォーターキャノンに撃たれただけなのに気絶するからなぁ……そこら中に居るスライムより弱いかもなのじゃ」
マーチャは笑いながら勇者に告げた。
「俺が弱い?ならそこら中に居る兵士を捕まえてきて戦わせろ!」
「兵士って言ったのじゃ?」
「ああ、兵士だ」
マーチャは不敵な笑みを浮かべ、部屋の外に出た。
(もしかして兵士だからムートを?)
そして再びマーチャが戻ってくると勇者を脇に抱えた。
「それじゃこいつと戦ってみ?あなたの実力が分かるから」
「こいつは……戦った謎の剣士」
「呼ばれたかと思ったらこいつと戦えってか?」
「ムートに勝てたのなら実力者と認めるのじゃ」
「あのぉ……怪我は治してくれるんですか?」
「ムートなら怪我せずにこいつを叩きのめしてくれると考えているのじゃ」
マーチャが勇者の縄をほどくと勇者は剣を持った。
「実力を証明するためにやられてくれ……うおおお!!」
「へーい」
勇者は剣を持ってムートに突撃したのだが一度見た剣を見たムートは剣でフルスイングした。
「ぐおぉぉお」
「弱い」
「一発でやっちゃうとは……やっぱりムートは強いな」
「それでお前の力分かったのじゃ?」
「ああ……ちなみにその人は一体何者なんですか……?」
「とある王国の元聖騎士団団長」
「おっふ……」
そう言って奴は気絶したのだった。
「また気絶しちゃったのじゃ……どうする?このスライム以下の処遇は?」
「マーチャに任せる、私がいた世界では勇者と魔王は戦いあうってのは基本だけどなぁ」
「こいつを殺しても新たな勇者が現れそうなのじゃ……そうじゃ! 儂の誤解を解いて人の役に立てるような勇者に育て上げるってのはどうなのじゃ?」
「まぁありじゃない?」
「よしっ、こいつは儂が育てる!じゃからムートと瑞希も手伝ってなのじゃ!」
「手伝うのか……?」
「私は手伝うよ、どうせ私もこいつに狙われてたからね」
こうしてこのへっぽこ勇者を私たちは育てることにしたのだった。そしてこれからこいつが何故勇者と言われたのか分かっていくのだった。
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