84話 その血の因縁
数日後、私は家の畑で農作業をしているとムートが出てきた。
「あらムート、どうしたんだ?」
「マーチャにニート聖騎士と言われたから渋々外に出てきたんだ……ニートだと思う?」
「まぁニートって言われたらニートだね」
「そんな……私はどうしたらニートじゃなくなるんだ?」
私はムートの服装を見てこう言った。
「まず背中に背負ってる剣を置いて農作業だね」
「これの手伝いをしたらいいのか?」
「うん、今は胡椒とニンニク、あと大豆を育ててる」
「なるほど、ニンニクはどうしてだ?」
「疲れた体に効くと聞いたことがあるんだよね」
私とムートは畑に胡椒とニンニク、あと大豆を植えた。作業終わりに一対一で話し合った。
「ムート、少し聞いておきたいんだ」
「何を聞いておきたいんだ?」
「ウンエントリヒ王国が戦争に負けた今、元々ウンエントリヒ王国の聖騎士団一番隊隊長のあなたはどう思ってるのかなって」
「そう言う事か、まぁ正直に言えば悔しい気持ちだ。元仲間は酷い扱いを受けていないか心配だ」
「一番隊っていったいどんな人で固められてたの?」
「ウンエントリヒ王国の兵士の中で優秀な人材が集められるんだ。基本的に隊は6人で構成され数字が若い順に優秀とわかるんだ」
「つまりムートは1番隊だから一番優秀の隊で隊長……」
私はムートがエリート中のエリートだと分かり言葉が出なくなった。
「こんな軽く話している相手がエリートとわかって声が出なくなっているんだな」
「ああ……とてもエリートだな」
「まぁ知らなくても知らないか」
その時高原の下から駆け上ってくる音がすると私に影が覆いかぶさった。
「なんだ?」
「危ない!」
ムートは剣を持つと私の頭上にかざした。その刹那、私の上で火花が散った。
「どうして魔王の手下にこいつが!!」
「誰だか知らないがどなただ?」
ムートは何者かを弾き飛ばすと私を逃がした。
「一体何なの?」
「分からない、だがマーチャの事を嫌っている連中のようだ」
土煙の中から現れたのは片手剣を持った軽装の男だった。
「お前は誰だ、名乗れ」
「俺か?お前に名乗る名前などない!」
そう言って奴は突っ込んできた。もちろんムートは剣で攻撃をはじき返した。
(速い、私じゃ目で追えない速さだ)
お互い戦い慣れをしているようで火花が散るような動きで剣を動かしていた。すると家からマーチャが出てきた。
「一体何なのじゃ?カンカンカンカンって」
「居た!魔王!覚悟しろ!」
奴はマーチャに向かって剣を振り降ろそうと突撃していった。だがマーチャは奴の弱さを見抜いてなのかウォーターキャノンで軽く奴をあしらった。
「ブボォ」
ウォーターキャノンに当たった奴は地面に倒れそのまま動かなくなった。
「あれ?もしかして死んじゃった?」
「いや死んでは無いと思う……だけどこいつは一体何者なんだ?」
(もしかして私とマーチャの命を狙う転生者……なのか?だとしても弱すぎる……)
マーチャはウォーターで奴の顔面を濡らしていたが起き上がる気配はない。
「これは困ったのじゃ、一旦ぐるぐる巻きにして家に連れ込むのじゃ?」
「このまま解放してもまた襲ってくるかもしれないしマーチャの案には同意かな」
「ああ、それに奴の攻撃は大したものだった。後は防御面って言うところだな……」
こうしてその場にいる私たちの総意で奴を縄でぐるぐる巻きにして家に連れ込んだのだった。そしてこいつがベフェールが言っていた転生者だということが分かるのだった。
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