7話 言霊
翌日、私は一人で魔王城に向かった。
(一人で魔王城に入ればどうなるんだろ)
私は魔王城に入った、すると仕事をしている人の目が私に集中した。
「……失礼しまぁす」
すると魔王城で仕事をしている人たちが私に向かって攻撃を仕掛けてきた。
「ウギャー!!!失礼しましたぁああ!!!」
私は急いで魔王城のドアを閉めた。すると私の後ろにはマーチャが気が付かないうちに立っていた。
「ギャーーー!!!化け物ぉおお!!」
「儂じゃ、単独でここに入ろうとしたら部下に襲われるのは当たり前なのじゃ」
「そうなんだ……」
「それで今日はどうして来たのじゃ?」
「あっ、あの女の子に会いたいなって」
「なら儂を呼べばいいのじゃ。なら行くのじゃ~」
私はマーチャに案内されて女の子の檻の前に着いた。
(まだ警戒してるね、一日二日で警戒が解けるわけないか)
私は檻に背を向けて座った。
「ねぇ、あなたの年齢を教えてくれる?」
だけど女の子は首を横に振ったのだった。
(簡単には教えたくないよね、仕方ないな)
「マーチャ、紙とペン持ってきてくれる?」
「いいけど、どうしたのじゃ?」
「もしかしてだけど声を出したくないのかなって、ただ怖がってるだけなのかもしれないけど」
「分かった、持ってくるのじゃ」
マーチャは部屋の鍵を閉め紙とペンを取りに行った。
(もし声が発せないとなるとのどの調子が悪い、もしくは恥ずかしがり屋か。あと考えられる理由は声がトリガーになる魔法を使ってしまうか……か)
部屋の鍵が開くとマーチャが紙とペンを持ってきた。
「一応何か攻撃を受けないために檻から離れておいた方がいいかもなのじゃ」
「そうか?私はそう思わないんだけど」
私は檻の中に紙とペンを置いた、すると女の子は紙とペンを持って奥に持っていった。
(何か書き始めてるな、何を書いてるんだろうか)
そして女の子が何かを描いた紙を私に渡してきた。
「瑞希、何が書かれてるのじゃ?」
「14歳って書かれている。マーチャちょっと待って」
私は再び女の子に質問を投げた。
「ねぇ、あなたの名前を教えてくれるかな?」
そう言って私は紙を女の子に渡し、必死に何かを書いて行った。
(恐らく読み書きは大丈夫だろう。この子との会話は筆談がキーかな)
女の子は私に紙を渡してきて私はマーチャに女の子の名前を言った。
「この子の名前はグリュックって書いてある」
「グリュックちゃんで読んだらいいのじゃ?」
マーチャはグリュックちゃんに優しく声をかけた、だが返事はしなかった。
(警戒は一応解けてるようだ、だが声を頑なに話さないとなるとのどの調子が悪いのか声がトリガーの魔法か……)
「マーチャ、ノート無いの?」
「ノートは確かあったのじゃ、持ってくるのじゃ」
マーチャは部屋の鍵を閉めて白紙のノートを取りに行った。
(一応魔王をこき使ってるけど後で粛清されないよね?)
私は少しの不安を感じながら部屋で待った。そして数分後にマーチャが帰ってきてノートをグリュックちゃんに渡した。
「今から私が言う質問の答えをそのノートに書いて行ってくれる?」
私は今聞きたい質問を丁寧に言った。
「あなたがどうして村で魔女って言われたのか知りたいんだ、それにあなたの魔法は声がトリガーの魔法なの?」
グリュックちゃんは私の質問をよく聞き、紙に答えをすらすらと書いて私に渡してきてマーチャに話した。
「ふとした瞬間に声を出して同じ年の子を殺めてしまった事、そして言った言葉に言霊が宿る魔法って書いてあるね」
「言葉に言霊が宿る魔法、聞いたことは無い魔法なのじゃ」
「多分だけどこの子がみんな死ねと言ったらこの世界の人々が全員死ぬっていう魔法かなって」
「何それ怖いのじゃ」
グリュックちゃんの魔法は一歩間違えれば私たちが死んでしまうのが分かり、ガクブルしだした。
「恐ろしい子だぁ……」
マーチャはもはや腰を抜かすレベルで怯えていたが私はそう言った素振を見せなかった。
「ねぇ、あなたって自身が他人を傷つけてしまうっていう事を恐れてるのでしょ?」
グリュックちゃんは首を縦に振った。どうやら簡単な意思疎通は出来るようだ。
「なら私と一緒に住まない?自然でいっぱいの土地でゆっくりしたいでしょ?」
私はそう言うとグリュックちゃんは目を輝かせながら首を全力で縦に振った。
(魔女って言われてるけどまだ中身は子供だなぁ)
「言葉一つ話せば周りの人間に影響を与えるのじゃぞ?」
「別にいいよ。それに住んでる場所って人があまり来ないでしょ?ならこの子にはぴったりの環境だと思うね」
マーチャは少し呆れながらも私の意見を尊重してくれていた。
「じゃ、この鍵を開けてくれないか?」
「分かったのじゃ、でもどうなっても知らないのじゃ!」
マーチャは牢屋の鍵を開け、グリュックちゃんはゆっくりと牢屋の外に出た。
(長らく体を動かしてなかったのだろうか、足が震えているな)
私はグリュックちゃんの体を支え、倒れないようにした。
「さて、家に帰ろうかな。出口まで案内してくれるよね?マーチャ」
「案内するのじゃ、しかしどうしてそこまで勘がいいのじゃ?」
「たまたま質問するときの運が良かっただけなのかもね」
そして私とグリュックちゃん、あとマーチャは魔王城を後にして家まで転移魔法ですっ飛んでいった。
「到着っと、ここが私の家だよ」
グリュックちゃんは私の家に目をくれずに崖から見える景色に目を輝かせていた。
(グリュックちゃんって外の景色は見た事が無かったのかな)
そしてグリュックちゃんはノートに何かを書いていた。
「何を書いてるのかな?」
私は横からノートを見た、するとそこに書かれていたのは{グリュックちゃんって呼ばないで}だった。
「マーチャ、この子がグリュックちゃんで呼ばないでって書いてる」
「なら呼び捨てでいいのじゃ?」
グリュックは両手で大きな丸を作った、どうやら呼び捨てで呼んでほしいようだ。
「ならこれからよろしくなのじゃ、グリュック!」
グリュックは右腕を上にあげたのだった。そしてグリュックは家に走って入ったのだった。
「そう言えば瑞希のスキルはなんじゃったかの?」
「LUCKっていうスキルだね、幸運なことを引き寄せたり事の最後は幸運で終わるっていう感じの」
「きっとグリュックも瑞希の幸運に導かれたのじゃな」
「なんだよその言い方っ、回りくどいんだから」
私はマーチャの腹に肘をグリグリと押し付けた。
「一応魔王じゃがな……まぁこういう日常もいいじゃの~」
こうして家には無口だけど可愛いグリュックが私の幸運に導かれて仲間に加わったのだった。
最後まで見てくれてありがとうございます。
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