6話 成長速度と魔女
翌日、畑の様子を見に行くとそこに居たのはマーチャだった。
「マーチャ、どうしてそこに居るの?」
「畑から作物の芽が出てたから見に来ただけなのじゃ」
畑をよく見ると強そうな芽が生えてきていた。
「確かに生えてるね、何なら屈強そうな芽だね……」
明らかに茎が太く、これには魔力が影響しているという。
「魔力によって植物が屈強に育つんだね、ならたくさん魔力を流したら成長が早くなって屈強に育つ?」
「魔力の流しすぎもよくないのじゃ、魔力が大量に含まれてると魔力中毒になってポーション等の効能が全く無くなるのじゃ」
「ポーションの効能が無くなるって例えば回復効果のあるポーションを飲んでも回復しないって事だよね」
「そう、だから魔力を与えすぎずの所で育ってくれたらいいのじゃ」
(一応マーチャは魔王なのよね……にしても平和をあまりにも楽しんでる。もしかして平和な日常を過ごしたいのは人間も魔族も一緒なのかな)
とあることが気になり私はマーチャに質問をした。
「マーチャ、植物を急速に成長させれる魔法ってないの?」
「あるのじゃ、じゃがそれはエルフ族だけが習得できる魔法だけなのじゃ」
「その種族だけにしか習得できない魔法もあるんですね」
「そうなのじゃ、例えばセイレーンやサキュバス専用の魔法だとチャームだね。シルヴィアスは覚えてるはずなのじゃが……まだ寝てるのかあやつは」
「そうみたいですね」
マーチャは家に入り、中から物音が鳴り響きシルヴィアスを連れ出してきた。
「全く、ポンコツサキュバスなのじゃ」
「うへへぇん」
(そういえばマーチャは魔王でシルヴィアスはサキュバス、上司と部下の関係なのか)
私はマーチャが魔王だと言う事を忘れそうになるが度々思い返していたのだった。
「凄いですね~私がいない間にこんな立派な家や畑を……」
「シルヴィアス、お仕置きは大丈夫だったの?」
「はい!……」
シルヴィアスは心地よい返事をした後黙り込み顔を青白くさせた。
「瑞希……こやつは今お仕置きされた時の事を思い出して悶絶してるのじゃ」
「どれだけむごたらしい事をしたのよ」
「確か両手両足を拘束して遊んだのじゃ」
「うわぁ」
私の体が無意識にこわばり、マーチャがシルヴィアスをお仕置きの内容を話している時に笑っている顔がとても恐ろしく感じた。
「でも予定すっぽかして儂に楯突いたからよかったものの、もし反逆してたのなら斬首だったのじゃ」
「ヒッ……」
シルヴィアスも体がこわばった、やっぱりマーチャは権力が強いのだろうか。
「私はこれでお暇させてもらうよ……」
私は家に入ろうとした、だがマーチャが私の肩を掴んだ。
「ねぇ、何処に行くのじゃ?」
「……私の部屋だよ、どうしたのかなぁ……?」
私は面倒なことに巻き込まれたくないので逃げようとした、だが肩を掴むマーチャの手が離れなかった。
「ちょっと手伝ってほしい事があるのじゃ。来てくれるのじゃ……?のじゃ?」
マーチャの怖い圧に私は壊れた人形のように首を縦に振った。
「よし、なら魔王城に行くのじゃ」
そう言って私を抱きしめて転移魔法をかけた。
「どうしてこうなるの?」
そして一瞬で魔王城にたどり着くとそこは緑が無く土が死んでいるような色をしていた。
「ここが魔王城なのじゃ。どうにかして緑地化したいのじゃ」
「そうなんですか……」
「連れてきた目的は緑地化じゃないのじゃ、ついてきてなのじゃ」
私はマーチャの案内で魔王城の内部を歩いて行った。中はほどほどに明るく、魔族が歩いているのが見え必死に仕事をしているようだった。その中には人間がいなかった。
(この人たちは一体どんな種族なんだろう、シルヴィアスみたいにしっぽが生えてる人もいれば生えてない人もいるなぁ)
廊下の匂いは場違い感が半端ないほどにフローラルな匂い、そしてカーペットが敷いてあった。
「ここが目的の部屋なのじゃ」
マーチャが部屋のドアを開けるとそこには牢屋があった。
「牢屋……やっぱり私を閉じ込めるのか!?」
「いや勘違いにも程度があるのじゃ。じゃなくてこの子を見てほしいのじゃ」
牢屋の中には一人の女の子が私とマーチャを睨んでいた。
「この子はいったい誰の子?もしかして誘拐してきたの?」
「いいや、この子は本当に訳ありなのじゃ……この子は村で魔女として追放されて何もない場所で路頭に彷徨ってたのじゃ、それを部下のインキュバスが見つけて連れてきたのじゃ」
「全然魔女っぽくないけど村では魔女って呼ばれてたのね」
私は女の子に声をかけた。
「私は瑞希、あなたの名前は?」
だがその返答は無かった。
「こんな風にずっと無口なのじゃ、それにこの檻は魔法を出さないようにするマジックシールドを貼っていない。魔法を使って脱走したりしないのじゃ」
「私をわざわざここに連れてきた意味が今わかった。この子を安心させるためだよね?」
「そうなのじゃ、どうしたらいいのかなとおもってるのじゃ」
(彼女は恐らく私たちを敵だと思っているのかもしれない、それだけ村で行われたことがトラウマに残ってるのかも)
私はあまり女の子のプライベートな事を聞くことを止めるとマーチャにこう告げた。
「多分だけどこの子の警戒を今日中に説くのは不可能に近いと思う」
「どうしてなのじゃ?」
「まず女の子からしてみれば初対面の人が話しかけてる、あなたがそんな場面だったらどうする?」
「その人が良い人なのか疑ってしまうのじゃ」
「だから日をかけつつどんどんと会話をしていく事がいいのかなって思ったの。それで安心してもらえるようになったら魔女の事について聞いてみようかなって」
「日を重ねていく事によって信頼関係を得るのじゃ?」
「そう、今日はこれぐらいにしようか」
私とマーチャは部屋を離れ、帰りの廊下で気になることを言った。
「あの女の子にご飯は配給してるの?」
「配給してるのじゃ、人間は食べないと死ぬのじゃ。それに子供は食べ盛りなのじゃ」
「ご飯を食べれてるのならよかった」
「じゃ、家まで転送するのじゃ」
マーチャは再び私に抱き着いて転移魔法を使い家に帰り、そして一瞬で家の前にたどり着いた。
「転移魔法便利だね~」
「儂はいつもこの魔法を使って移動してるのじゃ、便利なのじゃ~」
「私も覚えたいなぁ~」
「教えてやってもいいのじゃぞ?」
「教えて~」
私はマーチャに転移魔法を教わることにしたのだった。そして同時にあの女の子はどうして魔女と呼ばれたのか考える必要があるのだった。
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