49話 天秤
私たちがつぶあんこしあん論争を繰り広げている間、オルドヌング王国では大きな出来事が起こっていた。
「ヴェルメ王、ご報告があります」
「そんな顔、もしかしてだが我が国が支援している街が攻撃されたのか?」
「いえ、ウンエントリヒ王国が我が国に対して手紙を送りつけてきたのです」
「何が書いてあるんだ?」
「おおよその事をかみ砕いて言います、和平交渉をしたいから場所を用意しろと」
「生意気だ、だがどうして急に和平交渉をしたいと言い出したんだ?」
ヴェルメ王はそう言いながら部下の元に近づいて行った。
「恐らく商人ギルドがウンエントリヒ王国を危険視したことによる物資不足、そして先日行われた魔族との国交樹立。この事が重なり和平交渉を仕掛けてきたと」
「なるほど、つまりこの戦争は我々の勝ちと言う事だな」
「ええ、奴らに和平の意思があればですけど」
こうしてウンエントリヒ王国は実質的に白旗を上げ、戦争はオルドヌング王国の勝利で終わるのだった。
その事は露知らず、私たちは小豆を育てていた。
「育て」
「凄いなこの小娘、言葉だけで小豆が生え始めた」
「言霊って言うんだ、だよねグリュック」
{うぃ}
小豆はグリュックの言霊で急速成長させ、小豆は収穫できるぐらいまで伸びた。
「凄い魔法だ、悪魔でも覚えてる奴はいないだろうな」
「こんなの覚えてたらもう既に魔族は滅びてるのじゃ」
そしてこの小豆を蒸そうとしたが蒸し器が無いのだった。
「……自家製饅頭はまだ先だね」
「そんなぁ~」
「つぶあん派には言われたくないのじゃ」
その時この醜い争いを見ていたヴァイスが優しい一言をかけてきた。
「饅頭を街に買ってこようか?」
「ありがとうなのじゃ、こしあんを買ってくるのじゃ!」
「つぶあんだ、つぶあんこそが正義なのだ!」
ヴァイスはマーチャとフェルヴィルトに呆れ、街に饅頭を買いに行ったのだった。
「絶対こしあんが一番うまいのじゃ!」
「いいや、つぶあんが正義なのだ!」
「こしあん!」
「つぶあん!」
「まぁまぁ、ここは落ち着いてヴァイスが帰ってくるのを待とうよ」
私はつぶあんこしあん論争を一旦沈め、ヴァイスが帰ってくるのを待った。
(しかし異世界でもつぶあんこしあん論争を見るとは思わなかったな)
数十分後、ヴァイスが饅頭を持って帰ってきた、だが明らかに多すぎるように見えた。
「明らかに多く持って帰ってきてるのじゃ!?」
「全部つぶあんがいいのだ!!!」
ヴァイスが地面に降り立つとマーチャとフェルヴィルトに饅頭の箱を2つ渡した。
「これはこしあんなのじゃ……!?!?」
「つぶあんやったのだー!!」
「もう、二人ったら」
ヴァイスはこの論争に呆れていて私に饅頭の箱を渡してきた。
「はい、グリュック」
{ありがと}
「瑞希、これから私たちは家にいるメンバーに饅頭ボックス配ってくる」
ヴァイスはきちんと家の人の分の饅頭を買っていたようだ。
「饅頭は人と並んで食べるのが一番いいのじゃ~」
「そうなのだ~」
「あなたたちまんじゅうを食べるときはとても平和なのね……」
こうしてつぶあんこしあん論争は一時終戦したがまだまだ火花が散りそうな予感がしていたのだった。そしてオルドヌング王国とウンエントリヒ王国の和平交渉を伝えにオルドヌング王国の使者が家を訪れるのだった。
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