37話 大掛かりな採掘
翌日、私たちはシルヴィアスとフェアシュタントを留守番させて鉱山に向う準備をしていった。
「しかしこんな大人数で行くものなのじゃ?」
「仕方ないんだ、帰りの重量は馬鹿にならないんだ。人手が必要なんだってヴァイスが言ってた」
「まぁそういう言い方はしてないがおおむね合ってる」
ヴァイスはドラゴンの姿になり、私はヴァイスが昨日改造してくれた手押し車を押してドラゴンの背中に乗せた。
「じゃ、みんな乗って」
「分かったのじゃ~」
みんなが乗ったことを確認したヴァイスは飛び立ち、鉱山のある方向に向かって飛んでいった。
「すごいはやーい!」
「そうだな、相変わらずの速さだ」
「さすがホワイトドラゴンなのじゃ、飛ぶ力が強いのじゃ」
久しぶりの遠出でマーチャは気分が上がっていたのだった。
(この間までマーチャは命を狙われてたんだっけ、気分が上がるのは自然か)
そんな事を思っていると鉱山にたどり着いたようだ。
「さてと、みんな降りて~降りないと手押し車が降ろせないよ~」
「行きはその手押し車で移動するのじゃ?」
「手押し車を押す人はいったい誰がやるんですか?って言う話なんだよね。だから乗らないでね~あっ、グリュックはいつでも乗っていいから」
グリュックは手押し車の荷台に乗り、座り込んだ。
「どうしてグリュックは良くて儂は駄目なのじゃ!?」
「だってグリュックはまだ子供だから歩きなれてないでしょ?だから乗せるんだ」
ヴァイスが人間の姿になると無言で鉱山に入っていった。
「ちょっとヴァイス待ってよ~」
「あっ、話はまだ終わってないのじゃ~!」
鉱山に入って数秒、ヴァイスは荷台からランタンを取り出すとあたりを照らし始めた。どうやら周りが暗かったようだ。
「しかし騒がしいパーティーになったな。まぁ騒がしい方が楽しんだけどな」
「そんな事を言うヴァイスってなんだか珍しいなぁ~」
「そうか?私はそう思わないけどね」
ヴァイスの口角が少しだけ上がり、若干嬉しそうにしていた。そして何かの鉱脈を見つけると私とマーチャは鉱脈を掘り始めた。
「そう言えばどうして鉱山に来てるんだっけ?」
私はヴァイスにどうして鉱山に来たのか質問を投げた。
「電気が作れた、次にすることは産業革命だ。つまり材料を加工できる機械を作る……のだがあいにく私の頭だけだと作れない。だけど材料を加工する機械を作る転生者なら知っている」
「材料を加工できる機械……それでエーテルを削るのね?」
「そもそも鉄でエーテルは削れるのじゃ?」
「鉄でエーテルは削れない、そこで目当ての材料があるんだ。それはタングステン、とてつもなく硬い金属って聞いたことはある。だけど目にしたことが無いんだ」
「なるほど……最悪そのタングステンさえ掘れればいいって事ね」
「そうだ、だからがんばってくれ!」
私とマーチャは必死に鉱脈を掘っていき出てきた鉱石を手押し車に入れていった。
(これは一体何の鉱脈だろう?目当ての鉱石以外が出ても家の近くにある資材置き場に置いておけばいいか)
「ここの鉱脈は取りつくしたかな。次の場所に行くぞ~」
「分かったよ、それでグリュックは今何をしてるんだ?」
「綺麗な鉱石と汚れてる鉱石を勝手に分けてるね。まぁありがたいなって思うよ」
そして私たちは手押し車を押しながら鉱脈を見つけては掘っていき見つけては掘っていきの繰り返しだ、そんなことをしている内に私とマーチャに疲労の色が見え始めた。
「大丈夫か?」
「ヴァイス、ちょっと休憩したいかも」
「ああ、さすがにツルハシを連続で振り続けてたら疲れるのじゃ……」
「仕方ない、ここにキャンプを設営しようか」
ヴァイスは薪を用意しており焚火を設置した。
「とりあえずここで休んでから別の鉱脈に行こうか。私は鉱石の種類を分けていくからね」
私たちは休憩をしていき、ヴァイスは今まで掘った鉱石の種類を見分けていった。するとヴァイスは大声を出した。
「おおっ!?」
「ヴァイス何があったんだ?」
「これはプラチナ……珍しいな。そしてこれがタングステン……」
「もしかしてお目当てのタングステンがあったの?」
「ああ、そのもしかしてがあったんだよ!!幸運すぎるぞ!!!」
ヴァイスはテンションが上がってタングステンを持ち上げようとした、だがあまりにも重いために持ち上げられなかった。
「重すぎるだろ……これ帰り運ぶのか……?」
「辛かったら地上から帰るのもアリだよ?」
「……そうだな、地上から帰ろうか。どうしても通行が難しい場所があれば載せていくけど」
「地上を歩いて帰るのじゃ?なら転移魔法を使えばいいじゃろ」
マーチャがふと転移魔法を使えばいいだろうと言う声が出てくると私とヴァイスは無言でマーチャに指さした。
「何なのじゃ……?急にどうしたのじゃ?」
「私たちには転移魔法があるじゃんか!よく言ったマーチャ!」
「おおう?これって褒められてるのじゃ?」
マーチャはさも当然のことを言ったつもりだったが何故褒められるのか分からない様子だった。
「それじゃ帰りの事は気にしなくてもよくなったか。なら大量に持ち帰るぞ!」
こうして私たちの鉱山でのキャンプはとても盛り上がり、メンバーの士気がみるみるうちに上がっていったのだった。
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