30話 信用
私たちが朝食を食べている時、王国の入り口では大騒ぎになっていたのだった。今日たまたま会談に訪れていた別の王国の外務大臣がマーチャが殺した暗殺者の遺体を見つけたのだった。
「これは一体何なのだ!」
「この王国の兵士の……死体ですね」
「失礼しました!」
最悪な始まり方の会談、当然話し相手は王様と第一王女だった。
「早速始める前に一言、そちらの王国は魔王の命を積極的に狙っているそうですね」
「そうです、魔王は我々を苦しめてきた、その責念を晴らすまでだ」
「なるほど。私たちの王国では魔王とは触らぬ神に祟りなし、そう思っておりますが。それに王国の前に息絶えた兵士がいた。それについてどう思われますか?」
その話を聞いた王様は苦虫を嚙み潰したような顔をし、そして答え始めた。
「それは魔王の仕業です、魔王の領地に踏み入った兵士を仕留めたのでしょう」
外務大臣は王様の目を見て確信をした。
「なるほど、どうやら私たちの国がこの野蛮な王国と国交を結ぼうとしたのが間違いでしたな」
「何て言いました?」
王様の圧が一段と強くなり、外務大臣を睨みつけた。
「野蛮な王国と国交を結ぼうとしたのが間違いでしたとしっかりと言いました。あなた方の王国はいい噂は聴こえない。魔族を悪とし、捕まえてはギロチンで公開処刑。野蛮としか言えない所業の数々。今言い渡す。お前たちはクズだ」
「そうですか、相当この王国をバカにしてくれましたな」
その時周りの兵士の空気がひりつき始め、そして中から一人出てきた。それは薙刀を持った軽装の男、名はライヒヴァイテ。
「なるほど、この私を生かさないつもりですか。戦争となりますが?その場合婿の民がかなり命を落としますが?」
「いいでしょう、こちらには最強戦力がそろっているので」
そして外務大臣の首が吹き飛んだのだ。後ろからライヒヴァイテが薙刀を振り降ろしたのだった。
「よくやったライヒヴァイテ」
「ええ、すべてはあなた様のために行ったのです」
「それでファウルハイトはどうしたんだ?」
「ファウルハイト第二王女様は現在寝室にて寝込んでいます」
「そうか、助かる」
こうして王国は別の王国と戦争することになり、明らかに攻めるのにはかなりのチャンスだと言うことが分かった。
そんな事を知らない私たちは小麦の実を製粉している最中だった。
「白い粉がたくさん出てきてるね~」
「白い粉って……これをふるいにかけて皮と小麦粉に分けると」
私とシルヴィアス、あとマーチャは小麦を製粉する作業を会話しながら行っていた、ヴァイスが買って来てくれたふるいで小麦粉と皮を分けていき、少しだけだが小麦粉が出来上がったのだ。
「これで小麦粉の完成っと、でも少ないなぁ~」
「大丈夫なのじゃ、小麦はどんどんと伸びていくから大丈夫なのじゃ」
こんなことを話していると一匹のオオカミが森から出てきたのだった。
「オオカミがこっちにやってくるけど……どうしたのかな?」
「ご飯が欲しいのかな?でも動物を狩って来てないしどうしようかな」
オオカミはシルヴィアスの腕に甘噛みをして森の中に持っていこうとしていた。
「ちょっとオオカミについて行くね」
「何だか心配が勝つからついて行くよ、何があるのか分からないし。マーチャは小麦粉を冷蔵庫に運んで」
「分かったのじゃ、行ってらっしゃいなのじゃ~」
(もしかしたらシルヴィアスが食べられてしまうかもしれないしついて行った方がいいよね)
私とシルヴィアスは森の中に入っていき、オオカミが止まった場所には横たわるオオカミが居たのだった。
「もしかして仲間を助けてほしいからシルヴィアスを連れてきたのか?」
「……いや違うね、これは出産の手伝いをしてほしいから連れてきたんだ」
明らかに周りのオオカミが倒れてるオオカミを心配そうに見ていて倒れているオオカミはお腹が膨れているのが分かった。
「ちょっと待って」
シルヴィアスは母オオカミのお腹を撫でて落ち着かせようとしていた、そしてオオカミの赤ちゃんが生まれようとしている時、周りのオオカミが心配する鳴き声を発する中でシルヴィアスは自身が出来る事を全うした。
「こうしてオオカミは生まれるんだな……」
「よーしよしよし、元気な子だよ~」
(一応シルヴィアスはサキュバスなんだよな……?)
そしてオオカミの赤ちゃんがすべて出てくると母オオカミはオオカミの赤ちゃんを舐め始めた。
「とりあえずは一安心かな。帰ろうか、ここに居ても迷惑だし」
「オオカミの赤ちゃんとても可愛かったな……」
「普通だとオオカミは人間と交わることは無いんだけどな……何があったんだろうね」
(多分シルヴィアスがボスオオカミの脳天にメイスをぶち込んだことが原因だと思うんだけどね……)
こうして私とシルヴィアスは新たな生命の誕生に微笑みを隠せなかったのだった。そして数時間後、ウンエントリヒ王国の人ではない何者かが訪れるのだった。




