28話 寒冷地の温度の冷蔵庫
家に着いた私たちは木箱の中に入れてある二つの結晶が壊れてないか確認した。
「壊れてなさそうだね、それで冷蔵庫にする部屋は出来てるの?」
「キッチンの奥に石造りの空き部屋があるからそこに運べばいいと思うね」
「ここからはスピード勝負だ、急いでこれを運ばないと部屋中凍り付くよ」
「そうなの?なら今すぐ運ばないと!」
私とヴァイスは急いで木箱を持って家に入った、すると急に木箱の口から白い冷気が出始めた。
「冷たい!」
「急いで置くぞぉおお!!!」
私とヴァイスは急いでキッチンに入り、そして冷蔵庫に木箱を置いたのだった。
「ふぅ、防寒着を着てたから木箱を持って運べたが防寒着なしだと手が捥げてたぞ」
「だよね……ここから出よう」
私とヴァイスは部屋を出てキッチンで防寒着を脱いだ。
「ふぅ~快適だなぁ」
「そうだな、それでこんな扉で大丈夫なのか?冷気洩れそうな気がするが」
「マーチャに頼んでドアを改築してもらおうかしら……」
「冷気がキッチンに入ってきてここだけ寒いってなると使われなくなるな。早急にドアを改築しよう」
私はマーチャを呼び、キッチン前に立たせた。
「ねぇマーチャ、ここって涼しい?」
「少しだけ肌寒いぐらいだね、そしてこの奥は何を置いてるのじゃ?」
「溶けない氷の結晶と溶けない雪の結晶だ」
「……冷蔵庫として使うのね。入ってみてもいいのじゃ?」
「いいぞ」
ヴァイスは何故かにっこりしながらマーチャを冷蔵庫に案内した。そしてマーチャが冷蔵庫に入るとすぐに出てきた。
「寒いのじゃ……寒いのじゃ」
「そうなのか?」
私も冷蔵庫に入った、すると体を襲ったのはとてつもない冷気だった。まるで液体窒素の中にいるような寒さだ。
「寒いぃィ!!!」
「そんなに寒いのか、なら調整してくる」
そう言ってヴァイスは再び防寒着に着替え、極寒の冷蔵庫の中に入っていった。
「どうしてこんなに寒いのじゃ?」
「冷気が凄いんだと思う、寒かったぁ」
「ファイアで体を温めるのじゃ」
マーチャに体を温めてもらっているとヴァイスが戻ってきた。
「調整してきた、結晶同士が重なりすぎていると異常な寒さになるから遠ざけてみた」
「ありがと、入ってもいいよね?」
「いいぞ」
「マーチャも行こうか」
「いいのじゃ~」
私とマーチャは再び冷蔵庫に入った、すると先ほどとは違い程よい寒さだった。
(程よい寒さだ、こんな感じだったら肉とか野菜を保存できるね)
「程よい涼しさなのじゃ~」
「魔族は寒さに耐性あるの?」
私は凍えながらマーチャに質問をした。
「あるのじゃ、じゃが微々たる耐性じゃから油断禁物なのじゃ」
「ひぃ~私はもう耐えられないから出るぞ~」
私は冷蔵庫から出てマーチャはしばらくして出てきた。
「肉を地面に直置きだと衛生的に悪いから棚を入れたいのじゃ~」
「確かに地面に置かれた肉をそのまま食べたいかと言われると嫌だね」
「なら棚を作ろうか。頼むヴァイス……作ってくれ」
「いいぞ」
こうして私たちの家に冷蔵庫が出来た。これで肉料理や野菜料理を出せるようになったのだ。そしてマーチャと私はシルヴィアスにこう頼んだ。
「シルヴィアス、今大丈夫か?」
「大丈夫だよぉ~」
「マーチャなのじゃ、仕事を押し付けていいのじゃ?」
「魔王様直々の仕事ですか……まさか王国に攻め込む?」
「違うのじゃ。全くお前ってやつは血気盛んなのじゃ」
「違うんですか!?」
「のじゃ、野生動物を狩って来てほしいのじゃ、じゃが街や放牧民の家畜には手を出すななのじゃ」
「つまり狩猟という仕事ですね!?」
「そうなのじゃ。家に弓矢があったじゃろ、それを使って狩りをしてきてなのじゃ」
「分かりました!とびきり美味しい肉を狩ってきます!」
シルヴィアスはひとまず山頂にある家に弓矢を取りに行ったのだった。そしてその間にヴァイスは棚を作り終えて冷蔵庫に設置してくれた。数時間が経つとシルヴィアスはシカを持って帰ってきた。
「野生で居たので仕留めてきました!」
「きちんと頭に矢を一本突き立ててる……」
「シルヴィアスは見た目はポンコツに見えても実力は確かなのじゃ……」
「ちょっとポンコツって言わないでくださいよ~」
シルヴィアスがシカを内蔵取りと血抜きし、次に解体していって皮と肉と内臓、あと骨に分けていった。
「食べれない内臓と骨はどうするの?」
「内臓を食べてくれる連中がいるじゃないのよ。森にね」
「森……なるほど」
シルヴィアスは内臓が入った籠を持って外に行き森に入っていった。私はこっそりついて行き様子を見た。すると血の臭いにつられたのかオオカミがぞろぞろとやってきた。そこには前にシルヴィアスがメイスで頭をかち割ったボスオオカミも居た。
「この前はごめんね~お詫びのシカの内臓あげるね~」
そうシルヴィアスは言うとオオカミたちは内臓に群がって食べ始めた。
(凄い、オオカミを手なずけている……最初はあんなに私を食い殺すって言う希薄だったのに今となっては犬だ……とことん犬だ)
「瑞希、オオカミも手なずければ犬だよ」
「犬なのか……?」
そして家に帰ってくるとシルヴィアスは骨も外に持っていった。そして家から持ってきたたわしを持って私に魔法を出してほしいと言ってきた。
「ねぇ、この骨に向かってウォーターを打ってくれない?」
「いいけどもしかして堆肥にするのか?」
「畑に撒く肥料にするんだ、それで今は汚れを落とすための工程だね」
「それでこの骨を砕いて畑に撒くって事か」
シルヴィアスは全ての骨を洗い終え、砕いて畑に撒いたのだった。
「これで食べれない部位は皮だけになったね。皮は洗って売ればいい」
「どんな値段になるんだろうね」
「シカ1匹だと銀貨5枚ぐらいかもね」
「まぁまぁ稼げるのか」
そしてシルヴィアスは慣れた手つきで肉を捌き、見事なブロック肉にした。
「これを籠に入れて後ろの冷蔵庫に置くって感じなのね」
「冷蔵庫初めて使うぞ……うまく行ってくれればいいな」
シルヴィアスは棚に籠を置いて帰ってきた。
「冷蔵にはもってこいの場所だね、冷凍はまだ遠いけど」
「多分溶けない氷の結晶を合わせれば寒くなるはず」
こうして私たちの家は冷蔵庫が完成し、肉料理が作れるようになったのだった。
そして同じ時刻、家の前でマーチャが動きもせずに目をつむっていた。家の周りだけが明るく、その他は暗闇。静かで冷たい風がマーチャの心音を大きく聞こえさせていた。何故外に居る理由、それは……
「来たのじゃ」
マーチャは右に防御魔法を展開した。その刹那、矢が飛んできて防御魔法に当たった。
「どうして儂が一人でここに居るか、わかるのじゃ?」
暗殺者は音もなく影から出てきた。
「分かるも何も、お前を倒せば第二王女様が第一王女に上り詰められるんだぞ!!」
「なるほどなのじゃ、貴様もまたファウルハイトのわがままで儂を殺せと命令された可哀そうな人間なのじゃな」
マーチャはそう言うと一つの魔導書と体ほどのスタッフを持った。
「かかってくるのじゃ、ここからはお前の死地になるのじゃ」
こうしてマーチャと第二王女のファウルハイトが雇った殺し屋の圧倒的な戦力差の戦いが始まるのだった。
最後まで見てくれてありがとうございます。
少しでも続きが気になる、それか面白ければブックマーク・評価・いいね・感想・レビューをお願いします!




