26話 銀白色
街に向かう際、私はふと思った。
(そう言えばグリュックは運動不足でかなりストレスに感じてるかもな……連れて行ってもいいかヴァイスに聞いてみるか)
「ねぇヴァイス、グリュックも連れて行っていいかい?運動不足で動き足りないから雪原で疲れてもらおう」
「確かに家で変なダンスを踊りながら運動不足の紙を首から提げているのを見た記憶がある。連れて行ってもいいだろう」
そして私はグリュックを家から連れてくると転移魔法で街に飛んだ。
「さてと、仕立て屋で防寒着を仕立ててもらおう」
「そうだな、必要ならこれを使ってもらおう」
ヴァイスが持ってきた袋からは何かが擦れる音が聞こえた。
「ヴァイス、それって何なの?」
「ホワイトドラゴンの鱗、つまり私の鱗だ」
「こんなにたくさん鱗を捥いでたの!?」
「そうだ、防御の必要が無い腰回りから鱗を捥いでいる。一日経てば再び生えてくるから安心してくれ」
「良かった……」
そして仕立て屋に入ると作業している人がいた。
「すいません、防寒着を3着仕立ててほしいです」
「あいよ、さっそく採寸しようか……って高原の奴らかよ!?!?」
店員のおっさんは驚き、鉛筆を握力で折った。
「別にできなければ殺すわけでもないんだし、いいでしょ?」
「そうだな……」
そして私とヴァイス、あとグリュックは採寸を受け、腕周りや脚周り、腰周り、その他の箇所を計測していき、型紙を店員が作っていった。
「それでどこに行くんだ?」
「北の雪原です」
「北の雪原か、なら保温性能や防寒性能を高めなければいけないな」
「そう言うことでこれを使ってください」
「どれどれ?ってこれは……!?ホワイトドラゴンの鱗!!もしかしてお前は!?」
「ホワイトドラゴニアンですがなにか?」
「そうか、だからこんなにホワイトドラゴンの鱗が……これをありがたく使わせてもらう。保温性能に防寒性能、それに加えて攻撃耐性性能……とんでもない仕事だぞ」
店員のおっさんは布を切っていき、手縫いをしながら中に綿を入れ、服の外側にホワイトドラゴンの鱗を貼り付けていった。
「これでホワイトドラゴニアンの防寒着は完成だ、着心地はどうだ?」
「確かに保温性能と防寒性能に優れている、これでいいです」
「分かった、残り二人の防寒着も作っていくぞ」
そして同じ工程を2回繰り返し、私とグリュックの防寒着を作ってくれた。
「それで代金はこのホワイトドラゴンの鱗でいいな」
「ええ、いいです。ありがとう」
こうして私たちは防寒着を手に入れ、家に戻った。
「さてと、今から取りに行く溶けない氷の結晶はとても寒い地域にある。素手で持つと崩壊するかもしれない。だからこの木箱を持っていく」
「この木箱は……昨日散々採寸を間違った木材で作ったの?」
「そうだ、資材は無駄にできないからな。釘を使って頑丈に仕上げた」
「これに溶けない氷の結晶を淹れていくのね」
「そうだ、大量に詰めるからな、覚悟しておけよ」
そしてヴァイスはホワイトドラゴンの姿になり、私とグリュックは防寒着に着替えて背中に乗り込んだ。
{ホワイトドラゴンの背中に乗るの初めて」
「そりゃ初めてだろうな、落ちないように抑えてあげる」
ドラゴンが飛び始めると北の方向に向かって羽ばたいていった。
(しかし相変わず凄いスピードだ、時速に換算すると軽く100km/hは出ているかもしれない)
「ほぉぉぉ」
あまりの速さにグリュックが言葉じゃない声を出していた。
(さすがにグリュックもこれには声が出るか!でも魔法が発動しない言葉だ!!!)
どんどんと冷たい雪が降り始め、頬に雪が当たると速度が落ちていった。
(そろそろ地面に降り立つか、防寒着越しでも少し寒いって感じるぞ)
{雪食べたい}
地面に降り立つとグリュックは飛び降りた。
「グリュック!?」
私はグリュックを心配して降りると私の体が雪に50cmぐらい埋まった。グリュックは雪に埋もれて遊んでいるようだった。そしてヴァイスが人間の姿になるとすぐに防寒着を着た。
「何をしてるんだか……ここは誰も来ない場所だ。人間が雪を踏み固めていたらこんなに柔らかくなかったぞ」
「それでこんな場所に溶けない氷の結晶があるの?」
「あの洞穴にあるかもしれない」
ヴァイスが指を刺した箇所、そこは洞穴があった、だが洞穴の上には立派なつららが伸びていた。
「あれに貫かれたら私たちは綺麗に死ねるね」
「そうだな、攻撃して落ちてこない事を確認したら入ろうか」
私たちは雪をかき分けて洞穴の元に向かったのだった。そして雪だらけの場所から洞穴に入ることで相当綺麗な場所を見ることが出来るのだった。
最後まで見てくれてありがとうございます。
少しでも続きが気になる、それか面白ければブックマーク・評価・いいね・感想・レビューをお願いします!




