22話 鉱山とエンカウント
翌日、早朝に私とヴァイスは外にいた。
「じゃ、これを持っていくぞ」
ヴァイスが家の裏から持ってきたもの、それは手押し車だった。
「いつの間に作ってたんだ!?」
「昨夜隠れて作っていた」
「襲われなかったのか?」
「大丈夫だった、恐らく奴はムートとマーチャを狙っているようだな」
そう言ってヴァイスは広場に向かって歩いて行った。
「私はドラゴンになるから背中に乗せてくれ」
その時私はこう思った、ムートを連れていけないかと。
「まってヴァイス、ムートを連れて行ってもいいかな?」
「連れていける、人では多ければ多いほどいいぞ」
私は家に入りムートを起こした。
「ムート、起きてる?」
「起きている、だがこんな時間にどうしたんだ?」
「一緒に鉱山に行かない?」
「……肩慣らしで行ってみてもいいかもな」
「ならプレートアーマーを着て家の前集合ね」
「分かった、1分で支度する」
ムートは急いでプレートアーマーを着こみ外に出てきた。
「では行こうか」
「なら背中に乗せてくれ」
ヴァイスが白い光と共に白いドラゴンの姿になり私とムートは手押し車を背中に乗せて私たちも背中に乗った。
「それじゃヴァイス、鉱山まで頼むよ」
するとドラゴンが飛び立った、揺れはそこまで気にするほどではなかった。だがムートは何かを気にしている様子だった。
(揺れは全く感じないな、ムートはドラゴンに乗ったことが無いのかしがみついてるけど私は大丈夫だよね)
はるか上空を飛ぶドラゴン、素早い移動で鉱山に着くのが一瞬だった。そしてドラゴンは白い光と共にヴァイスに変わった。
「速すぎる……」
「凄く速くて快適だったぞ」
「なら銅と雷の石を掘るぞー」
そう言ってツルハシを渡してきた。
「ムートは周りの警護を頼むよ」
「分かった、だがダンジョンは久しぶりに訪れるものだ」
私たちは手押し車を押して鉱山に入っていった。中は暗く、ヴァイスが持ってきていた松明で何とか灯りが確保できた。
「ここは入るたびに内装が変わるから地図なんて役に立たないんだよな」
「だから壁に他の人が来た形跡が無いんだね」
「ダンジョンで倒れると回収困難になるぞ」
ムートがいきなり怖いことを言ってきた。
「何それ怖くない!?」
「ああ、自力で出口に向かうかそのまま魔物に食べられるかそのまま死ぬかの三択だ」
「いや生きるか死ぬかの二択だと思うだけど……」
「違うな……生きるか性奴隷として生きるか食べられて死ぬかそのまま死ぬかの四択だ」
「怖すぎるんですけど!?と言うか性奴隷って何なの!?ゴブリンとかいるの?」
「さぁな、そこから命からがら生き残る奴は大抵人格が壊れてるから全く情報が無いんだよな」
(私はとんでもない所に来ちゃったのか……?)
そんな事を話していると目の前に鉱脈らしき壁があった。
「おっ、これは銅の鉱脈だ、銅は電気をよく通すから目的の鉱物なんだよな。ムートは周りを警戒していて」
「分かった、目を凝らしておく」
私とヴァイスは銅の鉱脈を必死に掘っていきムートが背後の警戒をするという完璧の布陣が出来ていたのだった。
(ムートがついてきてくれて本当によかったよ、なんなら私が呼ばなかったら私一人で掘ってることになってたのだろうか?)
その時ムートが急に来た方向を警戒し始めた。
「……同じ殺気」
するとムートが昨日展開した技を再び展開した。
「守護の盾!私たちを守れ!」
シールドを展開したと同時に矢が飛んできた。
「やっぱりな、王国の刺客か。ついてきていると思っていたんだ」
(もしかしてドラゴンに乗ってるときに落ち着きが無かったのって追ってきていると思っていたのか!?)
ヴァイスがツルハシと松明を置いて矢が飛んできた方向に走った。
「ヴァイス!ファイア!」
私は暗闇に向かってファイアを放った、ファイアは火の玉となり奥に飛んでいった。
「瑞希ありがとう!おかげで見えた!」
ヴァイスは手を手刀のように固め、暗い空間に向かって切りつけた、だが空を切る音が聞こえただけだった。
「とても身の軽い奴だな」
ヴァイスがこっちに戻ってくると再び鉱脈を掘り始めた。
「恐らく奴は私を狙わない、矢を放っても弾かれるだけだと分かっているからな。他の二人には容赦なく放ってくるだろうな」
「女々しい奴だ、銅鉱はどれだけ掘れたんだ?」
「これだけあれば十分に永久電池を作れる、あとは雷の石だけだ」
そう言ってヴァイスはムートを手押し車に乗せ、移動していった。
「これならシールドを展開しながら移動できるでしょ?」
「そうだな、普通なら移動できないはずだがこいつがあるから移動できるぞ」
ヴァイスは雷の石が掘れそうな場所を探し、黄色の鉱脈を見つけると雷魔法を少しだけ放った。
「うん、雷に共鳴したな。これが雷の石の鉱脈だ。しかし幸運すぎるぞ……普通なら1時間かかってもおかしくないのに」
(もしかしてこの幸運って私のLUCKが関係しているのかな?だったらすごくラッキーだな)
急いで私とヴァイスが雷の石の鉱脈をお掘り始め、ムートが敵が来ないか警戒していた。
「大量に居るからな、しっかり掘れよ!」
「分かった!」
私は黄色で半透明のクリスタルを手押し車に入れていった。
「この黄色で半透明のクリスタルが雷の石なの?」
「そうだ、ここから四角に削って電気を取り出す、だからたくさん必要なんだ」
矢がどんどんと飛んでくる中ムートは気が付いた。
「これ王国の奴以外に弓を引いてる奴いるぞ」
「つまり魔物に狙われてるって事?」
「そうだ、攻撃が来るかもしれないが耐えてくれ」
私とヴァイスは必死に鉱脈を掘っていき、手押し車一杯になるとヴァイスと私が手押し車を押し、ムートが手押し車の上に立った。
「いっせのせで動くぞ」
「わかったヴァイス」
「いっせのせ!」
私とヴァイスは同時に手押し車を押し真正面から来る矢の雨をシールドで防ぎ、そのまま突撃していった。
「どけどけどけ!!!!」
真正面に居るのはスケルトンで弓と矢筒を持っていた。
「轢かれたい奴は前に出な!!!」
スケルトンが何匹手押し車に轢かれて骨がバラバラになったのだ。
「あと少しで出口だぞ!いっけぇえ!!!」
出口が見えてくると私とヴァイスがラストスパートをかけ、勢いよくダンジョンから飛び出したのだった。
「ひぃ……ひぃ……疲れた」
「確かに重い荷物を一気に運んだから疲れるのは当然だ、だが王国軍の奴がここまで来るとは予想外だね」
「ああ、執念深い奴だ」
こうしてヴァイスは再びドラゴンの姿になり、手押し車を背中に乗せたのだった。
「じゃ、ムート先にどうぞ」
「ありがとう」
ムートはシールドを解除し、ドラゴンに乗ったのだった。
「じゃ、出発するよ~」
こうして私たちは銅と雷の石を無事にゲットし、文明の足踏みが鳴り始めたのだった。
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