18話 誠実さを欠いている
翌日、私たちはエルフの村にある宿泊場で一泊し、会合の時間の数十分前に会場入りしていたのだった。
(本当に王国の人たちは来るのだろうか?)
会合の時間になると王国側の人たちがやってきた、だがマーチャは普通を装っていた。
「わざわざ遠方からお越しいただきありがとうございますなのじゃ。儂はマーチャ、あなたの名前は一体誰ですか?」
マーチャは相手の名前を聞いた、だが王国側の人はあり得ない返しをしたのだった。
「それでムートは帰してくれるんでしょうかね?」
その一言で分かった、話の通じない野郎だと。
(明らかにこちら側をバカにするような態度に言動、マーチャはどう感じてるんだ?)
私はマーチャの顔を見た、だがマーチャは明らかにキレていたが顔を歪めて感づかれないようにしていた。
「それであなたの名前は?」
「だからムートを早くこっちに返してください」
マーチャの顔に明らかな殺意が浮かんできたが一瞬にして落ち着いた。
「名前を名乗る気にはならないと、でしたらもう話はいいでしょう」
マーチャは私たちに帰ると言うと王国側がこういった。
「私は第二王女、ファウルハイトだ!これでいいんだろ?」
マーチャは名前を聞くと椅子に座った。
「それで、どうして第一王女が来ないんだ?文書にはこう書かれていたはずだ、最高権威者である王様か王女のどちらかを招集すると」
「私は王女ですが何か?」
ファウルハイトは偉そうに言うがマーチャの顔から怒りが消えることは無かった。
(ファウルハイトはマーチャの事を煽ってる、こいつ死んだな)
だがファウルハイトの暴挙にキレていた人物は一人だけではなかった。
「あまり舐めた態度をとらないでください、私の命がかかってるので」
ムートが剣を持ってファウルハイトの首元に剣を当てていた。
「王女にそんなことをするんだ、これは謀反と言う事だな?」
「いえ、しっかり話してほしいからこうしてるだけです」
「……まぁいいわ、それでムートを渡すだけなの?」
「ああ、儂らからは以上なのじゃ」
マーチャは少しだけの怒りを乗せていたがファウルハイトは何か時間稼ぎをしていた。
「そうですか、ならもうあなたたちはいらないと言う事ですね」
すると建物の入り口やら窓から鎧の音を鳴らしながら王国の兵士が入ってきた。
「なるほどね、私たちを最初から殺すつもりで手紙を変身したってことなのじゃ……か」
マーチャは私たちにシールド魔法をかけて攻撃されてもシールドが守ってくれるようになった。
「とことん自身の欲にどん欲な種族なのじゃ……」
その時、マーチャの顔は憎悪の顔に染まった。
「人間はそうだ、自国の領土を広げようと他国と戦争を繰り返していた。その光景を儂は見ていた、そしていつからか人間に関わると面倒ごとに会うと考えていたのじゃが……この事を危惧していたのじゃ」
マーチャは周りの兵士に向かって紫色の魔法を繰り出そうとしていたがとある人物が声をあげた。
「ちょっと待たないかお前たち!」
その声はムートだった。
「どうして魔王を殺すんだ!?自身の胸に当てて考えろ!魔王はここ数年で悪事を働いたか!?」
「ムート……」
ムートはプレートアーマーで顔は見えないが声を聴けば明らかに泣きながら周りの兵士を問いただしていた。
「魔王からこう聞いた。人間は悪に対して正義を実行しないと安心しない生き物、そして悪がいないとなると悪ではない悪を作って正義を実行する生き物だと!」
「のじゃ……」
ムートの慟哭が場に木霊すると周りの声が聞こえなくなり、マーチャの怒りを鎮めていった。そして周りの兵士の士気がどんどんと下がっていき王女の指示を聞かなくなるとマーチャはこう言い始めた。
「人間は真実を話されると否定するか静かに受け止めるかの二択なのじゃ、おぬしはあまりにも魔族を下に見ておるから心の中であり得ないと呟く、のじゃ?」
マーチャは明らかにファウルハイトの心の中をのぞくような発言だった。そしてファウルハイトは汗をかき始めた。
「逃げな、儂らや王国の手が届かない場所へ」
そうマーチャは言うとファウルハイトは壊れた人形のように走り出して外に出ていった。
「それでじゃが……ムートはどうして儂らの擁護をしてくれたのじゃ?」
普通はムートは保護されればいいのだ、だがどうして私たちを助けたのか分からないのだ。
「私にも何故助けたのかは分からない、だがこれは兵士として当たり前と言う事を思い出してな……照れくさいが憧れを抱いた」
プレートアーマーで顔は見えないがムートの声色から何かが変わったような感じがしていた。
「そうか、これでムートは解放という形になった。だがついてくるのならついてこい、帰るのならそれなりの覚悟がいるのじゃ」
そう言って私たちはエルフの村を後にして帰路に着いたのだった。
「しかしあの王国は駄目じゃな。腐りきってるのじゃ」
「私も聞いてた限りだと行きたくない国ですね、でもファウルハイトはどうして魔族を嫌ってたんですかね?」
「恐らく魔族を蔑む本ばかり読んでいて私たちに偏見の目を持っていたんだろう」
「私もそう思うよ~」
「いやシルヴィアスは何もしてないでしょって」
「エヘッ」
私たちは家に向かって転移魔法を使って一瞬にして戻ることにしたのだった。だが後ろからは馬の足音が聞こえてきたのだった。
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