14話 人間と魔族の溝
翌日、起き上がるとすでにシルヴィアスが起きているようでベッドに居なかった。
(もう朝か……窓から朝日が差し込んでるよ)
寝室の外に出るとヴァイスがもうすでに働いていた。
「おはようヴァイス」
「おう」
ヴァイスはいつもの仕事人モードに入っていて塩対応だった。
(さてと、私も何か作業に取り掛からないとね)
私は家の外に出て思いっきり外の空気を吸った。
「ふぅ。ヴァイス、何か私に手伝えることある?」
ヴァイスに何か手伝えることがないかと質問した、ヴァイスは手で持てるサイズの桶を差し出してきた。
「この桶に水を入れてくれないか?石と石をくっつける泥を作るのに必要だ」
「分かった、水を入れたらいいのね」
私は先日マーチャが持ってきた魔導書に書いてあったことを思い出していった。
(あの魔導書には火の魔法のほかに水の魔法も載っていたはず、あの本に書いてあったことをそのまま唱えたらいいんだね)
私はウォーターを唱え、少しずつだが桶に水を貯めていった。
「それで昨日の騒ぎは一体何だったんだ?」
ヴァイスが昨日起こったことを質問してきた。
「山の下に住んでる街の人たちが焼き討ちをしに来たんだ。だけど話し合った結果帰っていったんだ」
「焼き討ちか、人間と魔族の間では溝があるから仕方ないか」
(どうして人間と魔族の間で溝が発生してるんだろう?平和に過ごせないのかな?)
私はどうして種族間の溝があるのか聞いた。
「今忙しい?」
「今は忙しくないな、なんだ?」
「どうして人間と魔族みたいに種族間の溝があるの?」
「そりゃ簡単だ、一つは昔から語り継がれてきた話で魔族が悪いとか人間が悪いとか言われてるからその関係で溝が深いんだ。もう一つは虫を嫌うみたいに人間じゃないと嫌悪感が出るっていう感じ」
「そんな嫌悪感無いんだけどなぁ……どうして?」
「普通の人間の街に角が生えた魔族が居たらどう?」
「平和に過ごしてくれたらいいなって思うね」
するとヴァイスは頭を抱えた。
「そう言えば転生者だと言う事を忘れていた……周りは人間で自身が違った様相だと浮くだろう?それと同じなんだ」
(確かに浮くけどそんなに排他的に動くのかな?)
「だから溝が深まっていくばかりだ。互いに何をやっているのか分からずに」
「つまり偏見だけで溝が深まっていっているというわけね」
「そうだな」
私が溜めた水が入った桶を粘土にぶちまけ、こね始めた。
「それで何かいう事はあるか?」
「いや、どうして種族間の溝があるのか聞きに来ただけ」
そして私はヴァイスの元を離れ、街の方を見た。
(街の人たちは無事に帰れたのだろうか?)
遠目で見ると人が街中を歩いているように見えた。だがなぜか広場に人が少し集まっているのが気になった。
(何か催し事があるのかな?でも昨日あんなことがあったんだし行かない方がいいか)
その時マーチャが家の扉を開け、私に向かって歩いてきた。
「瑞希、街の方を見てどうかしたのじゃ?」
「なんだか街の方で催し事があるらしいですよ」
「行かない方がいいのじゃ、どうせ昨日の件を引きずっているのじゃ」
「だよね、私たちはここで高みの見物をしようか」
私たちはこの時の状況を楽観視しすぎていた。街の広場がやけに賑わっていた理由、それは私たち関連の事だとはまだ知る由は無かった。




