109話 静かな恋心・続
とにかく私たちは机に座って話すことにした、当然安全策としてフェルボーゲンは椅子に括り付けてある。
「椅子に縛り付けるのはどうかと思うけど勇者様がそうするなら受け入れます」
「何だかなぁ……」
「ハイルング、私の背中の傷を癒してくれてありがと」
「それでどうして勇者様の事が好きに?」
ハイルングはフェルボーゲンがどうしてリョウが好きなのか聞いた。フェルボーゲンは真実を語ろうとしていた。
「あのね……私、あの時負けたの。それが人生で最初の敗北。親から教えられてたけど負けたら殺されると思えって。でも勇者様は殺さなかった……」
フェルボーゲンは頬を撫で、顔を赤らめた。
「そこから私は勇者様を好きになっちゃった……他の女はいらない」
「暴論だな」
「だね」
「殺さなかった理由はわかるか?」
「どうして……?」
「殺しても互いにメリットが無いんだ。こういう場で損得勘定は無意味だと思うが俺からしてみれば無駄だと分かったんだ」
リョウはそう言ったがフェルボーゲンはどこ吹く風のようだ。
「そう言えばフェルボーゲンの過去って一体何なの?」
「どうして勇者様以外に聞かせないといけないの?」
フェルボーゲンは私とハイルングを死んだ目でそう言った。
「まぁまぁ、教えてあげてよ」
「はい分かりました勇者様」
リョウの一声でフェルボーゲンは過去を話し始めた。
「まず私は学び舎に通っていたんだ、でも勇者様みたいな力もないしそこの虫けらみたいな魔法も使えない。劣等生だったんだ」
「劣等生だったのか……」
「ああ、だけど学び舎の中で私はとあるスキルに長けていたんだ。それは罠設置、見た目は地味だけど私の弱点を補うのに十分だったんだ」
その時私たちはこのフェルボーゲンに襲撃された時、見事に罠を踏み抜いていた事を思い出した。
「それで……?」
「それで……罠を踏み抜かれた後の対処法が私でも対処できない方法だった。いい学びになった」
「それは良かった」
「それと同時に勇者様の事が好きになった。好き好き」
どっちみちどういう会話をしてもリョウが好きと言う方向にもっていくため話にならなかった。
「とりあえずフェルボーゲンはリョウと一緒に居たいのね……」
「うん、虫けらはどこかにいって」
「あの~ここリョウの家じゃないんだけどね……」
その時ハーフエルフの男の人が帰ってきた。
「やっと仕事が終わった~ってなんか増えてる!?」
「あっ、おかえり~何か増えちゃった」
「増えたって明らかに地雷の感じがするんだが!?」
「ちょっといい?この子をここに泊めておくことって出来る?」
「出来るが……さすがにやりすぎだと思うぞお母さん」
とりあえずハーフエルフの男にフェルボーゲンをここに泊まらせてくれることになり、明日に備えて眠るのだった。
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