106話 勇者の末裔
私とリョウはハイルングと共にこの街に住んでいる勇者の末裔に会いに行くのだった。
「そういえばハイルングってエルフだよね?」
「そうだけど……?」
「人間と子を成してもその子供はエルフなの?それとも別の種族になるの?」
「人間とエルフの子供だからハーフエルフになるね、それでハーフエルフが人間になったりエルフになったりはしないらしい」
「ハーフエルフなのね、少し気になるな」
そしてハイルングはとある一軒家に案内してもらった。
「ここだね、ちょっと待ってて」
ハイルングは家のドアをノックした。そして人物は男のハーフエルフで後ろに幼いハーフエルフが立っていた。
「お母さん、どうしたの?」
「急に来てごめんね、やっと事が落ち着いたから来てみたの」
「80年だっけ。あの人間が来てから」
「ええ、家に上がってもいいかしら?」
「いいけど後ろの人たちは一体誰なんだ?」
「最初の勇者の紋章を受け継いだ勇者だよ~」
ハイルングの子供はリョウの方を見ていた。
「全く勇者っていう感じないけどね」
「何が勇者ではないんだ?」
「いや……もっと筋肉モリモリかと思ったら……」
「こらやめなさい。ほら二人とも家に上がって」
こうしてハイルングの子供の家に入り込んだ私とリョウは椅子に座った。
「そう言えばあの人にこの光景を見せないと……」
リョウの後ろには霧が現れており、勇者の霧が現れた。
「……これが俺の子なのか?」
「俺の子……と言うことはこの霧が親父なのか!?」
「ええ、この霧の声の主は私の旦那様なんです」
ハーフエルフの男は霧に手を伸ばしたが当然掴むことは出来なかった。
「実体はないんだ。体は紋章を作る最中に消えてしまったんだ」
「親父、俺は親父を恨んでる事は無いんだ。だけど俺と兄弟を育てるために母さんは親父が残してくれたお金を使って必死に育児をしていたんだ」
「すまない、俺が傍に居てやれなかったな」
その時私は最初の勇者が最期、紋章になる前に心残りの事を思っていたことを思い出した。
(そう言えば最初の勇者は紋章になる前に子供の顔を見ずに死ぬなんてと言っていた……もしかしてそれをかなえるためにハイルングがここに?)
私は最初の勇者の霧に目を向けた。動きはそれほどまでになかったがなんだか声が湿っぽかった。
「そう言えば言ってましたよね、子供の顔を見ずに死ぬなんてって」
「ああ……そうだ。こうして叶えてくれたことに感謝をしたい……」
そしてハイルングはハーフエルフの男にこういった。
「私は再び勇者……もといリョウ様と旅に出るので家の事、そして街の事をよろしく頼めますか?」
「家の事は任された、だが街の事まで……?」
「一人で街を支えるのは難しいと思う。だから秘書をつけようと思うんだ」
ハイルングは私に向かってこう言った。
「瑞希さん、クシュハイトは生きてますよね?」
「ああ、動きを止めていたら凍えてるかもな」
「……今すぐ行きましょうか」
私とハイルングはリョウを置いて長がいた建物に入っていった。
「ここから放してください」
「いいよ、だけどここからどこに向かうんだ?」
「……隠れて過ごす。それしかないですよね」
「ハイルング、私あなたの思ってることに感づいたんだけど」
「察してもらえて助かる」
ハイルングは氷漬けになっているクシュハイトに近づいて凍り付いた下半身をなぞった。
「多分足は凍り付いて使い物にならない、もしくは使い物になっても弱くなっている。ここで提案をしようか」
「提案?」
「このまま解放してホームレスになるか、それとも私の部下になるか……」
「それって……奴隷?」
「いや奴隷ではないんだ。私は次の長を子供にしたいんだ、そこであなたに秘書をしてほしいんだ。もちろん護衛としても動いてもらいたい」
「……わかった。その子供の秘書になると誓う」
「分かった、瑞希さん頼みます」
「はいはい」
私は手のひらにファイアを出し、氷を溶かした。
「うっ、力が入らない」
「ほらね」
ハイルングは回復魔法である程度まで回復させ、治癒魔法で完治まで向かわせるようにしているようだ。
「これで数日経てば足は完璧に治ってる。安心して」
「ありがとう……ですが元々の長は何処に」
「勇者が断罪をして左腕を飛ばした。そして今は何処に居るか分からない」
「そうですか……」
クシュハイトは何処か解放されたような顔をしていた。
「とりあえずそれだけ伝えに来ただけだから。後のかたずけは頼んだよ」
私とハイルングは後片づけをクシュハイトに任せ、私たちは家に戻った。
「リョウ、帰って来たよ」
「おかえり、このハーフエルフの男の話はとても面白いぞ」
「それは良かったね。それはそうとあなたに話があるんだ。いいかい?」
「いいけどどうしたんだ母さん」
ハイルングはハーフエルフの男にとある話をしていた。
「私が帰ってくるまではこの街を統治してくれない?」
「いいけど……」
「きちんと秘書は居る、だから安心してね」
「……わかった。その人に仕事を学んでくるよ」
そして私たちは革命の後始末をしていき、事が収まり始めた時に事件は起きたのだった。それは前の長の方が良かったという奴らがとんでもない事件を起こすのだった。
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