105話 必要な革命
私を先頭にギルドの人たちやリョウ、そしてハイルングがこの革命に参加するのだった。
「瑞希、本当に革命を起こすのか?」
「ああ、この街の本当のトップはハイルングとわかったからね。利益だけど吸い続けるトップなんて要らないんだ」
「私のために……ありがとう」
「いいや、私は私が思った事に行動するだけだから」
そして私たちは長がいる建物の前に向かった。
「ここだよな」
「ああ、行くぞ」
リョウが先にドアを開け、それに続いて私たちも入っていった。そして明らかに敵対意識を持っていると判断した長の護衛たちは当然私たちを止めようとしていた。
「ここは俺らに任せろ!」
「ここはギルドの人が食い止めるらしいです、だから私たちは長に会いましょうか」
「分かった。ギルドの皆さん頼みました!」
私たちは長の護衛をギルドの人たちに任せ、私たちは長がいる部屋に走っていった。だが私たちに立ちはだかる人がいた。それはあの街の長の秘書だった。
「……クシュハイトさん、そこを退いてください」
「瑞希さん、どうしてここに居るんですか?」
「革命を起こすためにここに居るんだ。クシュハイトさんを傷つけたくないからそこを退いて」
私はそう言うとクシュハイトさんは戦闘態勢に入った。
「なるほど、あなたを倒さないと長に合えないのね」
「来なさい」
私は二人に来るなとハンドサインを出し、スタートを切った。
「先に私から行かせてもらう!」
私は水蒸気爆発を手のひらで起こしながら速度を加速させていった。そして私はそのままの勢いのまま裏拳でクシュハイトを一発で落とそうとした。
「これは無問題です」
クシュハイトは腕を出して私の裏拳を防いできた。
(恐らくあの速度で攻撃を受けたのなら無傷じゃすまないな)
だがクシュハイトの真骨頂は違った。
「かかと落としです」
「チィ!一旦回避!!」
(クシュハイトさんは恐らく足技が得意だろう、間合いに入らない攻撃となると魔法か……マーチャの戦い方を私なりに咀嚼してみるか)
私は横に飛んでクシュハイトのかかと落としを避けた。そして一対一だと時間がかかりそうだと判断した私は卑怯な手を使おうとした。
「ウォーター!」
私はウォーターで地面を濡らした。
「廊下を水でぬらさないでください」
「そこに踏み入れたな?ならこの技が効くはずだな」
私はウォータをクシュハイトに打った。もちろんクシュハイトは両手を使ってガードしてきたが当然私には狙いがあった。
「お前はもう負けている」
「何?」
私の足元からつながる水を私は触れた。すると水は急速に冷えていき氷塊が生み出されたのだった。
「なっ……」
「私は魔王に魔法を習ってるんだ!だったらこんな事も出来るだろ!」
氷塊はどんどんとクシュハイトを包み、ついに身動きが出来なくなった。
「クッ……動けないか。完敗だ」
「上半身は動けるようにしているから低体温にならないように頑張って」
そして私は待たせている二人の元に向かった。
「それじゃ長の元に向かおうか」
「ああ……魔法凄いな」
「マーチャに習ったらいいんじゃないの?」
こうして私たちは長の居る部屋の前に訪れ、私たちはドアを開けた。すると街の長は私たちが部屋に入ってきた瞬間に右手で引き出しに何かをしまった素振を見せた。
「何だね急に!?」
「勇者の紋章の件では助かった、だがその後に分かったことだがあんたらの先祖がこの街を乗っ取ったのを知っているんだ」
「それはその薄汚れたエルフが何か知ってるのか?俺は何も知らないぞ?」
街の長はハイルングに向かって歩き出した、そして数メートルの距離になるとリョウは街の長の首に剣を向けた。
「これ以上ハイルング近寄らないでください。さすがに街の長でも許せないです」
「……恩義を忘れたのかこの下郎……そもそもあの紋章は俺の物なのだ」
その時ハイルングが重心を揺らしながら街の長に近寄っていった。
「ほら体力が無くてよろけてきたぞ?」
「ハイルング、大丈夫……!?」
その時ハイルングは硬く拳を握りこみ、街の長の頬に拳を撃ち込んだ。
「ブフォァ」
「ハイルング……!?」
「何が紋章は俺の物だ……何を言ってるんだ?」
ハイルングから滲むのは勝手に奪われて自身の物と主張された怒りだった。
「あの紋章は私の旦那様が自身の命を使って作り出した紋章なんですよ……それをどこの馬の骨なんかに勝手に自身の物にされたら……もう殺すしかなくなっちゃったよ」
「……ハイルング、この男はどうするんだ?」
「リョウ……この男は断罪にするか街を追放するかどうする?」
(なんだかハイルングの口調が荒くなってる……それだけ怒っているのか!!)
リョウは剣を強く握った。
「お前は勇者の歴史、ましてや未亡人のハイルングの思いに泥を塗った。そして国民から利益を吸い取る……お前は断罪すべき対象だ」
「断罪……!?俺はただこの街が存続するために必要なことをしていた!!だから断罪されるべきではないのだ!!!」
「言語道断!」
リョウは街の長に向けて剣を振り降ろした。その剣は長の体を真っ二つにしたと思った。だがリョウは長の左腕を斬り落としたのだった。
「ウオアァァァアア!!!!」
「断罪すべき人物だ、だが死ぬほどまでに罪を犯していないと判断した。今すぐここから消えるのならば左腕一本だけで見逃してやる」
リョウは剣に付いた血を布で拭きとり、長の首のそば目掛けて突き刺した。
「だがこのままの地位に居続け、民から金を吸い取ろうとするならば……お前の首を刎ねよう」
リョウの圧で長は壊れた人形のように首を縦に振った。そしてさらっとハイルングが長の腕に治癒魔法をかけ、そして長は何かに怯えるように逃げていったのだった。
「リョウ、殺さなかったのね」
「ああ、ハイルングも殺さないでと思っていただろう?」
「……うん、あの人は誰も殺しては無いから……でもこんなことをさせてごめんなさい」
ハイルングはリョウに頭を下げた。
「いいやいいさ。これが勇者としての責務だと思ってる。それはハイルングの夫から受け継いだオリジンってやつだな」
「……旦那様と一緒の事を言ってる」
ハイルングはリョウの腕を掴み、自身の胸に押さえた。
「やっぱり、あなたには優しいような感じがある。その気持ちは本当なのね」
「……ああ」
リョウはハイルングを腕の中で包んだ。そして数分が経ち気分が落ち着いたところでこの後はどうするか話をした。
「これからハイルングはこの街を再び治めるのよね?」
「ええ、もちろんこの街を一からでもいいので立て直したいです」
するとハイルングはリョウに向けてお願いをした。
「もしよければリョウ様にお仕えしてもよろしいでしょうか……?」
「別にいいが……今な、俺がお世話になってる家に魔王が居るんだが……いいか?一緒に暮らしても」
「ええ、別に大丈夫ですよ。その魔王が優しければ」
「いやその家の家主私なんだけど……まぁ別にいいか」
「なら今からでいいので私の孫に会いに行きませんか?この街に居るので顔だけ見ていきませんか?」
「勇者の子孫か……顔は見ておきたいかもな」
「私も」
「ふふっ、なら革命成功記念として顔を見せましょうか」
こうして革命は成功し、ハイルングに街の権利が戻ったのだった。そしてリョウはハイルングという旅の相棒を手に入れたのだった。
そしてこの後ハイルングが言う最初の勇者の末裔の元を訪れるのだった。
最後まで見てくれてありがとうございます。
少しでも続きが気になる、それか面白ければブックマーク・評価・いいね・感想・レビューをお願いします!




