103話 交渉の褒美
数十分後、華鈴さんは一通の手紙を渡してきた。
「とりあえず瑞希にこの手紙を渡しておく、古代エルフの長に手渡してくれないか?」
「了解、とりあえずもうこれで用件は無いね」
「ああ、とにかく助けてくれてありがとうな」
こうして私は転移魔法を使って古代エルフの長の住居に戻ろうとしていた。
「それじゃ、頑張ってね」
「ああ、そっちも頑張れ」
転移魔法で古代エルフの長の住居に戻ったのだった。
「あらお帰り瑞希」
「ちょうど俺とリーベは勇者について話していたんだ」
「なるほど、勇者ってどう思ったの?」
「ただの人間だなって思ったよ」
私は華鈴さんから受け取った手紙をリーベに渡した。
「これが転生者がギルドマスターをしているギルドからなのか?」
「そうだ、ちょっといざこざがあってね……ちょっと疲れたよ」
するとリーベは私の手のひらに気が付いた。
「手がめくれてるけど何があったんだ?」
「そのギルドに強盗が襲撃してきてね、私がたまたま転移してきて最初はギルドマスターが変わったのかなって思ったけどその強盗を水蒸気爆発で爆散させたんだ」
「爆散……もしかして手のひらで爆発魔法を……?」
「そうだね」
するとリーベは私の手のひらを見ると草の包帯を巻き始めた。
「これぐらい回復魔法でなんとかできるんだけどなぁ」
「回復魔法で治るのは分かってる、だけどそれは細胞の再生を無理やり早めているだけだ。見た目では治ったことになっているがその奥の筋肉組織は治っていない。ハイルングのような超一流のヒーラーでもなければ全て治すという事は出来ないんだ」
「そうなんだ……」
(怪我したら回復魔法をかけたらいいかと考えてた……)
リーベは私の手に柔らかい感触の魔法をかけた。
「この葉は殺菌作用のあるコルベナの葉。そして今、手にかけたのは治癒魔法だ。回復魔法とは一味違う」
「何が違うの?」
「回復魔法はさっきも言った通り細胞の再生を無理やり早めているだけ、治癒魔法は細胞の治癒力を活性化させて傷の治りを早くするという魔法なのだ」
「詳しいんだねリーベは」
「別にあなたのためにやったことじゃないから……ただ痛そうだったからしただけなんだ」
リーベは顔を赤らめた。ツンデレなのかなと私は思い始めた。
「それでこの手紙を届けてくれた褒美としてハイルングがどうして勇者とどのようにして出会ったのか教えてやろう」
「いいんですか?」
「ああ、椅子に座ってゆっくり話そうか」
私は椅子に座り、リーベはハイルングが勇者とどのようにして巡り合えたのか話し始めたのだった。
「エルフの村からハイルング以外のエルフが居なくなったところから続けるのじゃ。私はハイルングを慰めていたが今現状の惨状は解決しないと私は感じた。そして一旦この住居に住まわせることにしたのだ」
「だからベッドの近くに小さな服があるのか……」
私は気が付いていた、住居の中に明らかにリーベの背丈に似合わない服が落ちていたことを。
「ああ、あれはハイルングと一緒に過ごしていたという思い出の品だ。そして住まわせている間に私はハイルングにすべての回復魔法、治癒魔法を教え込んだ。どうやらハイルングは回復魔法や治癒魔法が体に合っているらしく、効果が増幅されていたんだ」
「小さい頃から回復魔法や治癒魔法に触れてたんだ……だから勇者のパーティーのヒーラーとして活躍してたのかな」
「そうかもな。そして数日が経ってこの村の入り口に一人の偉丈夫が訪れた。その人物を迎え撃とうと守衛の仲間が戦おうとしたがその男は戦う意思は無かった。そして許可を貰い私と話をしたんだ」
リョウは脳内に居る最初の勇者に聞いているようだった。
「そしてその人物こそが勇者だったんだ。そしてその勇者はハイルングを連れて旅をしたいと言っていたが私は最初は断っていた。だが何日も何日も訪れるうちに私はどうしてもハイルングを連れて旅をしたいと思っているのだなと感じていた。そしてとある条件を出したんだ」
「条件……?」
「その条件、それはハイルングの村に居たエルフを連れ去った国を断罪してほしいと」
「戦えないハイルングのために勇者に頼んだんですか?」
「ああ。他人は復讐は何も生まないと言うが、ハイルングからしてみれば親や仲間を連れ去られた因縁の国だから何かが晴れるだろうと思っていたんだ」
リーベは少しだけ厳しい表情をしたが何かを決意したようだ。
「そしてハイルングが勇者と一緒に旅に出たんだ。その数日後にある風の噂で聞いたのだがハイルングの村の人たちを連れ去った国の国王や兵士たちが正体不明の剣士に殺されたという事を聞いたんだ。その時私の中での勇者の立ち位置はまぁ高い所だった。その勇者は今受け継がれてリョウの中に居る……」
リーベはリョウの方向を見た。
「なんすか……?」
「その力、むやみに他人に魅せつけたり傷つけたりしたら私はリョウを勇者と認めないから」
「分かってます」
そして私たちは次の場所に転移するため外に出た。
「それじゃ、また困りごとがあったら来ていいぞ。もちろんこの村には顔パスで入っていいぞ。皆に知らせておく」
「ありがとう、それじゃ行ってくるよ」
「楽しい話ありがとうな」
「ええ、では行ってらっしゃい瑞希、リョウ」
こうして私とリョウは次の地に転移魔法で転移したのだった。そして次の地、それは最初の勇者の神殿がある街なのだ。そこで私とリョウはハイルングを探すために四方八方に走り回るのだった。
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