101話 茶でもシバキながら
古代エルフの長が飲み物を部屋の外に居た給仕の古代エルフに伝えていた。
(お茶は自身で出さないんだ……)
数分後、高価そうなティーカップを給仕の古代エルフが運んできた。
「お飲物です」
「ありがとう、下がっていいぞ」
「あの~名前って教えてくれますか?」
「何故よそ者に話さなければならないんだ?」
「何だかお互いの名前を知ってたら何となく話しやすい雰囲気になるかなって」
「……いいだろう、私の名前はリーベ、そなたの名前はなんだ?」
「小鳥遊瑞希、瑞希って呼んでくれたらいい」
「俺はリョウだ」
「リョウに瑞希か」
私はティーカップに入っている飲み物を少し口にした。
(この味何だかフルーティーだな、何か果実のような葉をお茶にしているのか?)
「このお茶なんだかフルーティーですね」
「ああ、この近辺で採れる赤い果実の葉を茶葉にしているんだ」
「赤い果実か……だからフルーティーな香りがしたんだね」
「ああ、茶を飲むのはこの辺りにしておいてハイルングを尋ねていたのだな」
「そうです」
「あいつに関する面白話をしてやろう。とんでもなくおてんばだった記憶は頭の中にあるぞ」
そうリーベが頭の中にあるとジェスチャーしていた。
「おてんば娘だったんですか?」
「子供の頃はそうだったな、元々ハイルングは外にあったエルフの村に住んでいた、時々私たちの村に遊びに来ていた。向こうのエルフの子供の誘いを断ってまでな」
「それほどこの村の事が好きだったんだ」
「ああ、だがハイルングは私たちの間では可愛い来訪者という扱いだったがあの日を境に評価が変わったんだよな」
リーベは何かを思い出しながら外を見た。
「ある日、いつも通りに村に遊びに来ていたハイルングはこの村と隣のエルフの村以外の世界の事について気になっていた。私はおっかない連中の集まりと言いつけたんだ。それと同じ日にハイルングの村ではどこからか来た国の軍勢が居てな……」
「リーベ、涙が出てるけど……」
「その村のエルフを全て連れ去ったんだ」
そうリーベは声に何も感じさせないような声色で言った。
「もちろんその事を知らないハイルングはたくさんこの村で遊んでから帰ることにした。だがもうその時間は夜遅く、私がその村までついて行った。その時の誰もいなくなって活力がなくなった街を見てハイルングを慰めるだけで私は精一杯だった」
「……どうして国の軍はエルフを連れ去ったんだ?」
「エルフを素材にすると有能な薬を作れることに人間は気が付いた、それに性奴隷や奴隷にしたり美しすぎるがあまりにはく製にする奴まで現れて……な」
リーベの声からは純粋な怒りだけが感じられた。
(人間たちの愚行からこの村は排他的な立場をとってたのか……)
「分かっただろう、ハイルングの過去と私たち、古代エルフが排他的の理由は」
「ああ、いやと言うほどわかった」
その時私とリョウは何を思ったのか立ち上がり、リーベに頭を下げた。
「その国の軍と今まで食い物にしてきた人たちに変わって謝る、本当に申し訳ない……!」
「そいつらが行ってきた行動は全て許されるべきではない所業だ……本当に……心から謝罪する」
「瑞希とリョウは謝らなくていい、いいんだ別に」
「いや、謝らなくては気が済まなかった」
「日本人としての礼儀が沁みついていたんんだ」
「日本人……?と言うのは?」
「私とリョウは転生者でね、同じ国から転生してきたんだ」
「ああ、同郷の仲間と言う事だ」
「……ふっ、日本人というのはとても面白いな。気に入った」
リーベは少し笑い、少しおかしいと私に言った。
「少しおかしくて面白いな。人間ってのは」
「そうかなぁ……?」
「少し人間と関りを持ってみようかなと思ってしまったほどだ。それでだが転生者が仕切っているギルドは無いか?」
「ある、連絡してみようか?」
「頼んだぞ、瑞希」
そう言うリーベの顔には今までの疑いの眼差しではなく信頼の眼差しだった。こうして私とリョウはリーベの信頼を勝ち取り、今までの偏見の眼差しを無くすことに成功したのだった。そしてハイルングの過去に触れ、どうして勇者と巡り会えたのかまだ分からないままだった。
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