サプライズ
虹色マカロン Part21 サプライズ
「どこでバイトするの?」
出来ればコンビニとかファミレスは避けてほしい、コンビニは危険そうだし、ファミレスは誘惑が多そうだし・・・。
「うーん、実はね」
美紅はなぜか言い澱んでいる。まさかキャバクラとか、ダメだ。そういうのは絶対反対。
焦っている俺の気持ちを知ってか知らずか、美紅は気まずそうにこっちを見て言った。
「英光ゼミナールなの」
「え、あの、それ・・・」
俺のバイト先・・・。
「相談もせずにごめんね。だって先月から蒼くんずっと忙しくて、サークルにも顔出さなくなってすごくさびしかったの。そしたら構内の掲示板で春休みの補習のヘルパー募集してたから、つい。でも、バイト先でまで一緒だとうっとうしいかなあ、って思って言いづらかったの。やっぱ、いや?」
びっくりした。でも・・・
「いやなはずないだろ。バイト終ったあとも送っていけるし、最高」
「よかったあ・・・」
美紅はほおっと大きく息をつくと、安心したように微笑んだ。
「実は昨日、面接だったの。教育学部のほうが偏差値高いから不安だったけど、なんとかパスしてほっとした。でも事前に相談せずに決めたから蒼くんに早く言わなくちゃって思いながら、きっかけが掴めなくて」
ああ、それで昨日待ち合わせより早く来ていたのか。
「思いがけずうれしいサプライズだったな。それなら春休みもずっと会える」
「うん!」
「ところで、どれ食べるか決めた?」
「あ、そうだった。フランボワーズにしよう」
そう言って美紅は赤いマカロンをつまんで一口齧った。
「おいしい!」
女の子って、お菓子食べるときほんとに幸せそうな顔するよなあ・・・。その顔を見ていたら、ちょっと悪戯心が湧いた。
「フランボワーズってどんな味?」
「あ、半分食べる?食べかけだけど」
「いや・・・」
俺は身を乗り出して、美紅の唇にキスした。甘酸っぱい味がする。
「ふうん、フランボワーズってラズベリーのことか」
「蒼くん!そういう味見の仕方やめて!」
ぱあっと頬を染めて抗議する。そういう反応がまた可愛いから、ついからかいたくなるんだけど。
「でも、ほんとに嬉しい。あたし、ちょっと不安だったの。バレンタインのとき、蒼くん、あたしのこと好きって言ってくれたけど、それからずっと会えなかったから。忙しいのはわかる、でも、もしかして避けられてるんじゃないのかな、って」
胸が締め付けられるような気がした。このひと月、自分の忙しさにかまけて悪いと思いながらも美紅のことを放っておいてしまった。それがこんなにも美紅を不安にさせていたなんて。
美紅ちゃんのブルーの理由、その1。
その2は、また次のお話で。
相手の気持ちって見えるわけではないので、ちゃんと意思表示しないと。
電話で恥ずかしがらずに「愛してる」って言っておけばよかったんですけどね。




