White Day
虹色マカロン Part20 White Day
「ああ、そういえば・・・」
トーストを食べ終わって、コーヒーを飲んでいると、美紅が話しかけてきた。
「ん、なに?」
「冷蔵庫の中に箱が入ってたけど」
あ、そうだ。忘れるところだった。
「ちょっと待って」
冷蔵庫から取り出した箱を美紅に渡す。
「はい、これ・・・」
「え、なに?」
「今日ホワイトデーだろ、バレンタインのお返し」
「憶えててくれたの?」
意外だったらしく、美紅は目を見開いた。
「もちろん。美紅、バレンタインのとき言ってただろ、ほんとに好きな人には当日渡すって」
「うん、どうもありがとう」
はにかんだように微笑む美紅がたまらなく可愛い。
「開けていい?」
「どうぞ」
白のラッピングペーパーに、ピンクのリボンのかかった六角形の箱、その中には花の形に並んだ、七色のマカロン。美紅が歓声をあげる。
「わあ、きれい。ちょうど七色で、虹みたい・・・」
「ほんとだ。全然意識してなかったけど、確かに七色だ」
空に架かった虹の橋はもう消えてしまったけれど、ここにも虹があった。食べられる、お菓子の虹、美紅が嬉しそうに頷く。
「ええと・・・ヴァニーユ・ピスターシュ・シトロン・カシス・フレーズ・フランボワーズ・ロゼ、どれにしようかな、うーん、迷っちゃう・・」
「なに、それ。何かの呪文?」
「え、やだ。なんの味かってこと」
「読めるの?でもって意味もわかる?」
マカロンの上には透明なシートがのっていて、アルファベットが書いてあるけど、どうみても英語じゃないから全く読めなかった。
「うん・・・フランス文学勉強したいから、フランス語やってるの。原書読めたらいいなあって」
「へえ・・・」
初めて知った。友達だったときからいろんなことを話してきたと思ってきたけど、美紅がどんな勉強をしていて、将来何をしたいかとか、今まで全然知らなかった。
「蒼くんは?教育学部だからやっぱり先生になるの?」
「うん。子供と一緒に走り回りたくて、小学校の教師志望・・・。今のバイトも将来のためかな、教え方の勉強に」
「小学校の先生かあ。うん、すごく似合いそう。あ、そうだ、バイトっていえば、あたしも春休みからバイト始めるの」
バイトか。自宅通学だから生活費とか要らないと思うけど、女の子は服とか化粧品とかいろいろ物入りなんだろうな。
でも、そうなるとますます会える時間が少なくなりそうで、ちょっとさびしい。




