コーヒーカップ
虹色マカロン Part14 コーヒーカップ
最初は思わず引いてしまったけれど、映画は結構面白かった。
怖い場面になると、彼女がぎゅっとしがみついてくるのが可愛くて、最後のほうには亡霊に感謝したくなったくらいだ。
雨はまだ止まない。
この天気では食事に出る気もしなくて、夕食は宅配ピザ。
ひとりでは食べ切れなくて、こっちに来てからから注文したことがなかった。ふたりでいる、って実感出来る、こういう何気ないことが、ちょっとうれしい。
さすが日本の宅配ピザは優秀で、この雨でも、時間通りにちゃんと届いた。
サービスで烏龍茶がついてきたけど、今日は雨のせいか肌寒い。久しぶりにコーヒー淹れようかな。
「コーヒー飲む?」
「あ、うん。あたし淹れようか?」
「いや、いいよ、次何にするか考えてて」
とは言ったものの・・・
コーヒーカップはひとつしかない。うーん、まあいいか、これで。
「お待たせ」
「ありがとう、えっ?」
彼女が目を丸くする。
「なんで橘くん、湯のみなの?」
「カップひとつしかないんだ、さっき買っておけばよかった、ってあとで思った」
「じゃあ今まで、お客さん来たときとかどうしてたの?」
「男にお茶なんか出さない。下に自販あるから、喉が渇いたら自分でなんとかしてもらう」
どこが面白いのか、俺の答えを聞いて彼女は笑い転げた。
「そんなにおかしいかな?」
「あははは・・・ごめん。でもちょっと安心した」
「なにが?」
「ほんとに彼女いなかったんだ、って思って。先輩から、女気ゼロの部屋だった、って聞いてはいたけど」
先輩かあ、本当を言うとまだちょっと気になる。友達の彼氏って言ってたけど、すごく仲がいいみたいだし。
そういえば、先輩は彼女を「ミクちゃん」って呼んでる。これじゃ、どっちが彼氏なんだかわからないよな。
そうだ、ここは思い切って・・・
「あ、あの、み・・・」
「なに?」
真正面から見つめられると、未だにドキドキする。うまく言葉がでてこない。
「いや、あの、み・・・ミルクないけど大丈夫だった」
「うん、平気。このままで十分おいしいよ」
「そうか、よかった・・・」
何が「よかった」だ、アホか・・・。
たったひとこと「美紅」って呼ぶだけなのに。その一言が限りなく難しい。
はあ・・・
俺ってつくづくヘタレだよなあ・・・。
ヘタレ王子ですみません。
さすがに殴りたくなってきた・・・。ええい、もう、しっかりせんかい!!
どうでもいいことですが、今日(昨日か)コーヒーメーカー買いました。ちょっとその影響が・・・。
私はグルメとは無縁の人間ですが、コーヒーだけはレギュラーじゃないとダメです、なんでかなあ・・・。




