表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
XX-7(ダブルエクスセブン)  作者: 水渕成分


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

17

 「当たり前だ。(てめえ)みたいな引きこもりが汚い手を使わずに、XX(ダブルエクス)ナンバーズメンバーになんかなるわけがねえっ!」


 「……分かった。そこまで言うなら」


 「なっ、なんだっ?」


 「僕が使った『汚い手』とやらを丈志(たけし)にも使わせてやるよ」

 (ひらく)はそう言うが早いか、丈志(たけし)を右腕に抱え込んだ。


 「てっ、てめえっ、何しやがるっ! 放せっ!」

 丈志(たけし)は暴れたが、今の(ひらく)の行動には何の影響ももたらさなかった。


 「どうやってXX(ダブルエクス)ナンバーズメンバーになったか、これから教えてやるよ」


 「まっ、待てっ! おまえ、何する気だっ?」


 (ひらく)はその質問には答えず、丈志(たけし)を抱え込んだまま飛翔した。


 ◇◇◇


 「この辺だな」

 丈志(たけし)を抱え、中空に浮かびながら(ひらく)は呟いた。


 「この辺って、何がだっ!」

 丈志(たけし)は怒鳴るが、やはり(ひらく)は動じない。


 「病院から飛翔して出撃する時の高さだ。ここから更に上空に飛翔したら、XX(ダブルエクス)ナンバーズメンバーに入ることになった」


 「ばっ、馬鹿っ! 何言ってやがる。そんなこと出来る訳がねえっ!」


 「XX(ダブルエクス)ナンバーズメンバーは全員が一度は出来た。丈志(たけし)の望み通りの『汚い手』だ」


 「……何を言ってるんだ。地上に下ろ……」


 次の瞬間、(ひらく)丈志(たけし)を抱え込んでいた手を放した。


 丈志(たけし)は一瞬だけ宙に浮いたが、直ぐに落下した。


 何秒後かに地上との激突音がしたが、(ひらく)は今更振り返ることはしなかった。


 (亜里沙(ありさ)が心配だ。すぐに戻らなくては)

 (ひらく)の頭の中はもうそのことでいっぱいだった。


 ◇◇◇


 亜里沙(ありさ)の状態は酷いままだった。


 着衣は大きくはだけていた。(ひらく)は一瞬目を逸らしたが、そんなことを考えている場合ではないと自分に言い聞かせ、もう一度、亜里沙(ありさ)の方を向き直した。


 白目を剥き、口を大きく開け、ヒューヒューと呼吸している。


 生きてはいるようだが、明らかに意識はない。


 首の周りに絞められたような形跡がある。性的に異常な志向を持つ者は相手の首を絞めて、より一層の興奮を求める者もいる。(ひらく)も知識としては持っていた。もはや生きてはいないだろう丈志(たけし)への憎悪は更に募った。


 (どうする?)

 (ひらく)は焦燥した。


 進化(エヴォリューション)したとはいえ、医療知識が全くと言っていいほどない(自分)には何も出来ない。


 (……病院に連れて行こう)

 病院に連れ帰ってもマリアが回復している見込みは薄い。でも、何か助言が得られる可能性はゼロではない。その僅かな可能性に(すが)って……


 (ひらく)亜里沙(ありさ)をその両腕に大事に抱え、飛翔した。


 ◇◇◇


 XX拠点(まち)も酷い状態だった。


 丈志(たけし)は食料品店から略奪する者を「大馬鹿野郎」と呼んだが、もっと酷いことに貴金属店を襲っている者たちもいた。


 (今、貴金属を手にして何になると言うのだ)


 だが、それはまだいい方だった。


 促進者(プロモーター)は従来通り「進化(エヴォリューション)への促進(プロモート)」という名の実質「現行人類への殺戮行為」を淡々と遂行している。


 ただ、促進者(プロモーター)の行為は「測量」を伴うこともあり、速度的にはそう速くもない。


 それより遥かに速く行われたのは「事態に絶望した現行人類が同じ現行人類に対して行う殺戮行為」であった。


 「近代市民社会」が高度に組織化、効率化するに伴い、定着していった「規範」。


 何らかの形で「近代市民社会」が崩壊すれば、「規範」も歪な形で消えてなくなる。


 そうなれば「人」は飢えた時に共喰いする、生命の危機を感じた時、強引な性行為に走る獣と変わらなくなる。


 「現行人類は君が思っている以上に愚かだ。すぐにそのことを思い知るだろう」


 ドクトル・ディートヘルムは別れ際に言った言葉が(ひらく)の脳内を何度もこだました。


 ◇◇◇


 絶望的な光景を嫌と言う程見せつけられて、戻って来た病院。


 そこではマリアが荒い息をしたまま、横たわっていた。


 意識を失ったままらしい。


 (ひらく)亜里沙(ありさ)をマリアの横たわる、隣の寝台に寝せると、ボサボサの髪の毛をかきむしった。

 


 

 




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回で完結します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 人類ほど同じ種族同士で殺し合ってる動物も珍しいといいますよね( ˘ω˘ ) 皮肉なことに、だからこそここまで進化したのでしょうが( ˘ω˘ )
[一言] 凄く心に来るお話ですね。 最終回が楽しみです!
[一言] なんと次回で終わってしまうのですか このあとどうなるのかとても気になります 更新待ちしております
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ