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第47話 風呂

「ただいまー」


「ハヤテ様!! おかえりなさいませ!!」


「かなり距離を取ったけど、見えた?」


「はい、隊の皆には望遠鏡を持たせておりました。

 最優先事項として戦闘を見させました」


「どうでしたか?」


「……あのような凶悪な魔物は自分の目では見たことはありませんが、禍憑と呼ばれる個体の特徴に似ています」


 どうやらこの世界の人間にもあの邪なる者は認識されているようだった。

 詳しい話をする前に、とりあえずお風呂に入ることにする。

 ククノチのお陰で浄化されても、気持ち的にも温かいお風呂にゆっくりと浸かりたい……

 それは皆の共通認識だ。


「はぁーーーー、気持ちいいニャ~」


「ククノチに記憶も浄化してほしいわ……」


「タマモ、忘れよう。……腐乱死体は流石にきついなぁ……」


 その昔、保護団体と一緒に多重飼育崩壊の現場に入ったことがあったけど、扉を開けた瞬間に嘔吐してしまって、物凄く迷惑をかけたことを思い出した。あのときの景色は二度と忘れない……


「あの熊は北の方から来たみたいね、あの雪山も邪なる者の支配下なのかしらね?」


「そのつもりでいたほうが良いね、あの熊の力から見るに、森よりも強い個体が多いかも」


「毎回こんな様子だとキツイにゃー……」


「なんだかスサノオが考えがあるって言ってたけど」


「巨大な魔石も得たし、きっとスサノオならなんとかしてくれるわね」


「そうだニャー……」


 ツクヨミがこてんと頭をこちらの肩に乗せてくる。


「ツクヨミ、湯船で寝ると危ないよ?」


「ニャー……気持ちいいんだニャー……」


「あ、ずるい。私も」


 逆の肩にタマモも頭を乗せてくる。

 この距離で見ると、二人は本当に美人さんだなぁ……

 なんかドキドキしちゃう。


「にゃ? なんかハヤテ顔が赤いにゃ! のぼせる前に上がるにゃ!」


「あら、ごめんねハヤテ」


 ザバーっと立ち上がった二人のスタイルも、まるでモデルだ……

 ふ、ふつくしい。

 ぼ、僕だって以前の身体よりはかなーり女性らしい身体を手に入れているんだけど、この二人は、もう、すごい。ぼいーんきゅっばーん! って感じだ。悔しさも出ないほどの完敗です。

 思わず手を伸ばしてしまう。


「にゃにゃっ! な、何をするにゃ!」


「ちょ、やめてよハヤテくすぐったい!」


 凄かった……


「き、鍛えてるなーって思って」


「それならハヤテも凄いのにゃ! ばっきばきニャ!」


 そう、僕は……どっちかというと……そっち側に……鍛えすぎたのです。


「いいなぁハヤテ、細くて」


「いやいやいや、タマモやツクヨミのほうが女性らしくていいじゃない!」


「邪魔よ、こんなの」


「戦闘のあととかすごく痛いにゃー……」


「大きいなら大きいで苦労があるんだね、それでも、羨ましいけど……」


「そういえばアマテラスもスサノオの胸の大きさが羨ましいと言っていたわね」


「へ?」


「腕周りから、肩、そして胸筋の厚みが羨ましいって言ってたニャー」


「そんなこと気にするんだ……」


「あの二人は暑苦しいのよ」


「ホントだにゃーいつも見せあってあーだこーだ言ってるニャ!」


 まぁ、たしかに全体の大きさはスサノオが圧倒的だけど、アマテラスもすごく鍛え上げられてて、街の女性人気も凄い。スサノオはたしかに一部の女性と、男性たちからアニキって慕われているなぁ……男性はああいう身体に憧れるんだねぇ……


「さてガーレウスさん、禍憑についてお話を聞きたいです」


「(湯上がりのハヤテ様のなんと神々しくも美しいお姿……)はい、都市部などではまず見かけることはないのですが、特に冒険者が人の生存範囲から大きく離れた場所で遭遇することが多いと聞いています。が、正直情報はかなり少ないのです」


「なんで?」


「出会ってしまうと……死ぬからです」


「なるほど……」


「運良く助かっても恐怖によって正確な情報を得ることが難しい場合も多いです。死の森には禍憑が多く存在するので、それゆえに死の森と呼ばれているという実態もあります」


「もしかして、北の方にも目撃情報あったりする?」


「おっしゃるとおりです」


「戦闘を見て、皆で対応はできそう?」


「無理ですね。特に、そう、お伺いしたいのですが、どのように瘴気に対して対策をなさったのですか!?」


「あー、瘴気は、浄化して魔力にー」


「瘴気を浄化!? ハヤテ様は神継の血族なのですか!!??」


 僕の発言にレオルさんが驚いたように発言した。


「かみ、つぎ?」


「落ち着けレオル、神継の血族とは、古代より神の血を引くと言われている人々で、教会の最上位にいらっしゃる方々のことで、その方たちのみが扱える神聖魔法によってのみ瘴気の浄化が行えるのです。しかし、あんなにも大規模な、濃厚な瘴気の浄化なんて、聞いたこともありません」


 ガーレウスは真剣な表情で言葉を選びながら説明してくれた。


「ちょっとまってね……」


 僕は一度みんなと話し合うことにした。


「魔道具で瘴気の浄化出来ないか試さなきゃって思ったんだけど、実現できそう?

 なんか、やっちゃ不味そうな気配がしてきたよね」


「結界のシステムが上手く行ったから、あれを基礎に作れば再現できると思うにゃー」


「ハヤテの協力は絶対に必要だと思うけど、出来ると思うブー」


「でも、作ったらヤバそうだよね……?」


「恐らく……ただ、必要ですな」


「応用した武器とかも考えてるからなぁ」


「今更この街でならやりたいようにやれば良いんじゃにゃいかな?」


「いまさらだブー」


「それもそうか……」


 それから、ガーレウスさんたちに僕たちの創ろうとしているものを話して、とにかく実物を見なければ……という話に落ち着いた。

 深々と雪が降り積もる冬の季節は、魔道具工房にこもりっきりになるのでありました。






 






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