表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/55

第43話 急襲

「ミーグ君やるじゃん!!」


「ハヤテさん! いつから?」


「一騎打ちが始まった頃かな? アマテラス、皆もお疲れ!」


「主、運良く結構な量の食料も確保できました」


「そうだね、……多いね……」


 しばらくはちょっと味気ない一本角肉になると思うと手放しでは喜べない……


「大丈夫だぶー、このお肉も美味しく食べる方法を見つけたブー」


「ほ、本当に!?」


「試しに今晩は前に取ったものを使って作るブー、お楽しみに!」


「さすがスサノオ!! 大好き!!」


 スサノオの頭をよしよししてあげる。

 これが間違いだった……


「主様!! 魚をこれだけ取ってきました!!」


「ハヤテ、大好きな鳥を獲ってきたニャー!!」


「ハヤテ! 果実にきのこ、香辛料も集めてきたよ!!」


 それから毎日代わる代わる危険も顧みずにナデナデをせがまれるようになってしまったために、なでなでのご褒美を禁止する事態になった……


「は、ハヤテさん……今日一本取ったら、その、頭をなでてください……」


 こんなことまで言わせてしまった。

 かわいい男の子にこんな事言わせて僕は罪な女だ……

 そう、発端だったスサノオの調理方法は、旨味成分を肉の表面に塗りつけて、数日熟成させてから燻製や乾燥など保存処置を行うと、旨味が肉の内部に取り込まれ、さらに水分が抜かれることで味わい深い肉になるというもので、味気ないお肉も素晴らしい味わいに変化して、本当に素晴らしかった。これで冬の間の食糧事情もずいぶんと向上した。


「今日も降ってるねー……」


 冬真っ只中になると雪の日も多くなる。

 街の道には排水溝を整備して日々の雪かきで交通の妨げにはならないように維持管理しているけど、街から少し出れば一面雪景色だ。

 堀の位置を示す木柵が埋もれてしまわないように定期的に除雪を行っていく必要があり、雪の下を潜んで襲ってくる魔物もいるので、ある程度周囲の雪は部隊を組んで除雪作業を行っている。

 トレーニングにもちょうどいい、除雪を終えると皆汗だくになっている。


「今日もお疲れさまー!」


「段々と雪の量も増えていますね、もう3日に一度では間に合わないかもしれませんね」


「熱管の設置ができたから、その効果に期待だブー」


「街の中はうまく行ってるけど、外は距離が心配だニャー」


 単純な方法で、凍らない油を管の中に通して熱して循環させて雪を溶かす設備を少しづつ広げていっている。熱源に燃料を使用するので、余裕がなければ難しいんだけど、とにかく除雪の作業量が多すぎる……少しでもその作業量を減らしたい。

 街なかは生活排熱を有効利用して今のところうまく行っている。

 問題は街の周囲だ。

 四方に炉を設置して、熱対流を利用して循環させて雪を溶かす……溶かせるはず。


「とにかく、数日動かして、改善させていこう!」


「これでだめなら魔石法をまた考えるブー」


「またコストがってガーレウスに怒られてしまうニャー」


「そろそろ彼らも死の森に連れていきましょうか?」


「そうだねぇ、何人かは大丈夫かもね……」


 タマモが温かいお茶を入れてくれたので、皆で味わう。

 香草を乾燥させていぶした物だが、研究の甲斐あって香織も味も格段に良くなっている。


「はぁ、美味しい……」


「ホッとするニャァ……」


「少し果実の香りがするブー」


「さすがスサノオ、少しだけ果実の皮を混ぜたのよ」


「ふむ、これはひと心地付けますな」


 皆が絶品のお茶を堪能していると、バタバタと騒がしい足音が近づいてきた。


「失礼します! 北に大型の魔物が現れました!

 それに追われた魔物が堀に到達しそうです!!」


「皆、いくよ!!」


 魔物はこちらの都合なんてお構いなしに襲ってくる……



 見張り台には自警団が集まっていた。

 薄暗い街を篝火が照らしている。

 

「ハヤテ様!!」


「状況は?」


「大型の魔物と他の魔物が争いながら少しづつ近づいてきています。

 すでに堀に何体かの魔物が捕らわれていますが、どうやら雪のせいで越えてくる魔物も多いです。

 壁に取り付く前に弓で対応しておりますが、あの大型魔物がこちらに興味を持つと……」


「どれどれ、うおっ、本当にでかい!!」


「魔熊……ですかね……」


「カタカタカタカタカタカカタ(ククノチがあの魔物は穢をまとっていると話している)」


「まずいな……こんな近くに邪なる物が出てきたの?

 瘴気は、雪のせいかひどくはないけど……」


 大型の熊に殺された死体が周囲で蠢いている、放っておけば汚れて邪なる物になっていってしまうだろう。


「アマテラス、あれ、倒すよ!!」


「承知いたしました!」


「ハヤテ様、我らも!!」


「ガーランドさんたちは街を守って、それと、僕たちの目的……

 あの熊みたいな汚れた存在を倒すことが目的、つまり、あれが敵。

 僕たちの敵がどんな存在か、ここからよく見ておいて!」


「かしこまりました」


「ハヤテさん……」


「大丈夫だよミーグ君、僕たちが揃っていれば、無敵だから!!」


 不安そうな皆に笑顔を見せる。

 久しぶりだな……

 改めて熊を見るとその体長は5mは超えるだろう、僕が知っている熊とは明らかに異なる。

 ビリビリと大気を揺らす強大な力を持っている。

 

「皆の装備、最新版だブー。

 耐寒使用だから、思いっきり暴れるブー!」


 久しぶりのフル装備……

 そして、久しぶりの全開戦闘の予感がしていた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ