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第42話 試作

「人数が増えた分色々なものの確保が必要になったニャン」


「食料、燃料、水。とにかくこの3つは絶対に必要量確保しないとね」


「冬季の落下事故対策をまとめておきました」


「こっちがそれに必要な資材だブー」


「なんとか用意が間に合ったね……、職人さんたちにはゆっくり休んでもらおう」


「ハヤテ、ちょっと肉類の在庫が危ないかも……」


「アマテラス、悪いんだけど……」


「お任せください。ちょうどいいのでミーグ殿を連れて訓練がてら行ってきます」


「ああ、いいね。そっちは任せるよ。僕も手術がなければ行きたかったなぁ」


「主には主にしか出来ないことがありますから」


「うん、そうだね。こっちは僕たちに任せて」


 きちんと村の運営もやっている。

 沢山の人の協力のお陰で、なんとか日々安寧な暮らしができている。


「ハヤテ様!! 一本角の群れが迫ってきてます!!」


 会議場に見張りからの急報が飛び込んできた。


「お、ナイスタイミング! アマテラス!」


「承知!!」


 時折魔物が襲ってくる生活を平穏と言っていいかはわからないけども……

 そして、僕には大事な仕事がある。


 村人や家畜の診療と治療だ。


「大丈夫、メキサさん落ち着いて、眠って起きたら綺麗になっているから……」


 今日の手術は村人の大腿部の皮膚欠損を伴う外傷と、家畜の尿道結石の摘出手術だ。

 

「欠損部はそこまで大きくないから有形皮膚皮弁形成術で行きます」


 今では助手を村人の何名かが勤められるようになっている。

 医療知識はどうしても高度で広大な基礎が必要で時間はかかるけど、絶対に確立して広めていきたいので、空いた時間で様々な知識を書き留めている。

 様々な人種、動物種に対してできる限り応用のし易い形でまとめていく作業は自分の中でも知識を整理することにも役に立つ。

 

「スライム糸も作れるようになったし、在庫を使わない治療も増えてきたね」


 スライムの体液を細ーく乾燥させて作った糸はどんな種族の身体にも反応を起こさず、ひと月ほどで溶けて水になるというとんでもなく凄い吸収糸だ。

 

「スライムがこんなに便利だとはね~……」


 森とかにどこにでも住んでいるスライム。

 動物の死体とか苔とかを食べたり、多分光合成をしたりとかして生きているほぼ無害なモンスター。この世界では排泄物の処理とかゴミの処理とかに利用されたりする。

 そして、このスライムの粘液は乾かすと固くなる。

 細ーく伸ばして乾かすと固くなっていく、それからほぐしていくと強度を持った糸になる。

 なぜか一度乾かすと水にもそれなりに強くなるし、身体の中に入れてもゆっくりと吸収されていく。雨具の素材の加工にもぴったりだ。

 さらに核を破壊すると液体に変化するんだけど、これが点滴代わりに使用できる。

 ククノチから教えてもらったんだけど、ほぼ生理食塩水と同等に静脈からの投与が可能になる。

 

「奇跡の魔物だね」


 乾燥具合で今使っている創傷被覆材にも使用できる。

 余分な水分や老廃物を吸収してくれつつ、創傷を乾燥からも守ってくれて治癒促進。

 今ではスライム牧場を作ってスライムの確保体勢を構築している。


「さて、次なんだけど……ちょっと試したいことあるから麻酔導入はまってね~」


 レントゲンで石の大まかな位置を把握し、探知魔法で正確に位置を捉える。

 

「タマモ、ツクヨミ、ここに対象物が存在するから、僕と同時に衝撃波を一点で交差させるよ」


「わかったニャ」


「了解!」


 背骨と重要な臓器を避けて、結石を囲うように三方向からの衝撃波によって破壊することを目的とする。体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を魔法によって再現する。

 

「いくよ、3・2・1・0!」


 それぞれの衝撃波は内蔵などを損傷しない弱いもの、それが一点で交わることで、水分を多く含まない結石を……


「粉砕!! うまくいったよ!!」


「はぁー凄いニャァ……」


「波が合わさると大きくなるってことよね」


「そうそう、これなら麻酔もいらないし、手術で尿管が腫れたりしないで済むよ!

 選択肢がまた増えた! 魔法って凄い!」


 2時間程を予定していた手術が15分で終わってくれるし、患畜は立っていたらなんだか終わって楽になるし、良いことづくめだ。


 すべての症例の治療を終えて、後は皆に任せられるようになった。


「予定よりずいぶんと早く終わったからアマテラスたちを見に行こう!」


「もう終わってると思うにゃ」


「それだったら荷運びを手伝えばいいじゃない」


「そうそう、いこういこう」


 試作3号機に乗って街を出る。

 報告のあった地点に行くとまだ戦闘は続いていた。


「大勢は決しているにゃ」


「あら、ミーグが戦っているわね」


「どれどれ、おお、1対1で大丈夫なのかな?」


「そこらへんはアマテラスとかが気を配ってるニャ」


 一本角は名前の通り一本の立派な角を持つ……大きなネズミ? に、近い魔物。

 群れで活動するし、その角で獲物を突き刺し群れで喰らうから結構危険だ。

 狩れば肉にもなるし毛皮にもなる、角は武具の素材としても利用できる。

 結構大きな群れだったらしく、肉問題は解決だね。


「ミーグ君、翼を使った立体的な動きを上手に使って、一本角には対応できないだろうね」


「そうね、はじめは危なっかしかったけど、魔法と併用して高速飛行もできるし」


「長距離移動ができればよかったんだけどニャ」


「魔力量はそこまで多くないから、ポイントで風を受ける使い方も完全に身に着けてるね」


 実際は、魔力量、多いんですって。あの眠りから覚醒してから、眠っていた才能が目を覚ましたように魔力も開花していった。


「おお、お見事!」


 ミーグ君の上空からの一撃が一本角の首をはねた。

 その後群れは完全に駆逐された。



 

 

 



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