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第39話 帰還

「主、申し訳ありません……」


「いやいや、気にしなくていいよ。

 わざとそういうデザインにしてくれているんだし」


 タマモやツクヨミは隠しきれないけど、僕の防具はなんというか、男女共有と言うか女性っぽさを廃したデザインにしてもらっている。どっちかというとかっこいいデザインのほうが好きだし、今の作りを非常に気に入っている。


「それにしても、声と顔でわかりそうなものだニャー」


「中性的とは言われたことあるけども、この世界髪の毛短い女の人少ないもんね」


 そう、森に行くのに邪魔だからちょうど切ったばかりなんだよね。この世界の女性は伸ばして後ろで結ぶ人がほとんどだから、多分そういうことだろう。そうしておこう。

 いや、別にショックじゃないんだよ、うん。


「ほんっとうに申し訳ない!!」


「いやいや、そんなに謝らないでください……」


「そのご自身を僕とおっしゃられていたので、髪も、いや、とんでもない整った顔つきの御仁だとは思ったのですが……」


「いや、ほんとに、たしかに僕って言うのも、男の人っぽいですよね……気になさらないでください」


「お姿もお若く見えて、声の高さも……本当に……なんと言っていいか……」


「そこまで謝らなくて、本当に大丈夫ですから!」


 どうやら、それなりに立場がある(設定になっているので)女性へのかなりの不敬に当たるらしく、ガーレウスさんもレオルさんも謝罪しっぱなしだ。


「本当にもういいですってば! もうこれ以上その話をするのは禁止です!」


 ここまで言ってようやく止めてくれた。

 現在僕たちの車に僕とガーレウスさんレオルさん、そしてミーグ君が乗っている。

 後ろで牽引してる馬車にはもともとガーレウスさんたちが持ち出してきた荷物や犠牲になった方々のご遺体を積んでいる。


「堀……これほど巨大な……?」


「ガーレウス様見てください! 馬返しに……ただの木柵にみせて複雑な形状……そうか、強度が……」


 この二人、なかなか切れ者なのかもしれないなぁ。

 周囲への気の張り方がうまいし、物事の仕組みを一目で把握する。

 こういうタイプは優秀なことが多い。

 うちの村の偽装防御の質の高さを一瞬でわかるぐらいの能力はあることは間違いない。

 

「ハヤテ様が戻ったぞー!」


 監視の者から声をかけられる。

 対応はアマテラスたちがしてくれている。すでにツクヨミとスサノオが先に村への説明へと行っている。おかげでスムースに話は進む。

 まずはミーグ君が安静に過ごせる場所の確保、それとご遺体の埋葬、それから騎士二人がゆっくりできる部屋を用意する。

 外環と内部の快適さの違いに目を見開いていたのは少ししてやったりって気持ちになった。

 流民の村だって凄いんだぞ!


「というわけで、とにかく治療が終わるまでは僕の庇護下にあると思ってください。

 思うことがある人もいるかも知れませんが、よろしくお願いします」


 貴族という存在を恨んでいる人間もいる。

 力で押さえつけて納得させることもできるけど、僕は、個人をしっかりと見なければ判断しない。

 貼られたレッテルで物事を見ることは嫌いだ。

 

「とにかく僕は彼を助けたい。今はそれ以上でもそれ以下でもないから、その邪魔はしないで欲しい」


 この世界の命は軽い。

 これくらい強く言って置かなければ、どのような行動を取るのかはわからない。

 力による支配というのも大きいので、強者である僕たちにはそうそう逆らわない……

 元日本人として、こういったやり方は、どうにも好きになれないけど、必要なことはしなければ後悔する。

 この世界で僕が生き抜くためには、甘えを捨てなければいけないことが多い……

 だからこそ、救える命は救いたい……


「見たこともない道具がたくさんありますね」


「はい、自作したり、いろいろと魔獣の素材やらを利用したり、使えるものは何でも使ってますよ」


 白衣から一部はこの診療所にストックしている。

 少しづつ自分以外の人間にも医療的なことを教えていって、治療行為が行えるようにしていきたい。そのためにも白衣にしまい込んでおかないで、ストックに余裕がある物は普通にここで管理している。

 本当に技術もいらない、ただ貼るだけとかの簡単な薬は皆がいつでも使えるようにしている。

 そして、現地で採取可能な薬草類もククノチの協力の下いくつもの薬として使用できるレベルになっている。薬草や魔獣の素材やらをククノチに質問して効能を絞っていく作業にも慣れたものです。

 獣医師のときにしようしていた消炎剤や整腸剤に負けるとも劣らないような効能を持つファンタジー植物を見つけたときには興奮が隠せない。

 今では軽症の症例であればここにあるものだけで治療することが可能なレベルまで来ている。


 騎士の二人もお客様待遇でのんびりしてもらうわけではない、怪我も癒えたら村の人々に戦い方の指導をしてもらったり、狩りに付き合ってもらったりこきつか、協力してもらっている。

 別に人質を盾にやらせたわけではない。誤解しないで欲しい。


 ミーグ君は安定していた。

 にも関わらず、意識は一週間以上戻らなかった。

 脳内に深刻な問題が起きているのではないかと不安になったが、とうとう目を覚ましてくれた。


 



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