第33話 基盤
「と、いうわけで。主様この村を治めましょう」
「……色々と僕も言いたいことはあるけど、まぁ、落ち着ける場所ってのは僕も欲しいってのは事実。
ただなぁ……市町村の村長は選挙などの民主的な手段で選ぶべきで」
「そんな事したら余計に逃げ道がなくなるニャ」
「全会一致で決定になるブー」
「主様以外に適任者はおりますまい」
「諦めるのねハヤテ」
「やるからには皆にも働きまくってもらって快適な場作りを目指すからね」
「今までと変わらないニャ!」
「カタカタカタカタカタ(ククノチはその通りと言っている)」
こうしてアマテラスの献策に従って、少し村の発展に協力することにした。
村の人達はとても好意的に迎えてくれて、(井戸と狩りの成果が大きかった)僕も一生懸命に頑張ることにする。
「快適な水回りは人間にとって最も大事、衛生環境を整える意味でも最重要課題です」
手伝ってくれると言質は取っているのでもうこき使っちゃうことにする。
村の人達に一番近い川へと案内してもらう。
森の中、村の人達にとっては危険な場所の少し奥まで進むと小川が流れている。
森に面した山から湧き出た水が流れている貴重な水源だ。
「お、思ったより流れが強い! だったら水車だね! じゃあここまでの森、開拓しちゃいましょう! 頼んだよツクヨミ、スサノオ!」
水の流れる力を利用してエネルギーを得る水車を利用し動力を得る。
間伐もされていない鬱蒼とした森は切り開いて、この川までの道を作る。
村側の森を範囲をしていしてきちんと間伐して管理して、その間伐材を利用して村を発展させる。
動力は高台に存在する村の地理的なことを考えると、ここの水力に合わせて風力でも確保したい。
「なんだか、ワクワクしてきたよ」
自ら考えて形にしていく、しかも村という規模で……いや、これ最高に楽しいな!
「木材にはスライムの体液をかけて一日日陰干しするよー」
「魔法で乾燥させないの?」
「熱を与えると弱くなっちゃうんだよねー、日陰干しでじっくり乾かすとめっちゃ耐水性のあるコーティングになるから、ここは手を抜かずにしっかりやろう!」
そこにファンタジー要素が加わるんだから、この自由に動ける身体で汗をかきながら村人たちと力を合わせる作業はさいっこうに生きてるって感じる。
僕が欲しくてたまらなかった時間を満喫できている。
僕が現代知識を元に説明するとアマテラスとスサノオが図面に起こしてくれて、ツクヨミとタマモが切り出しして、村人とスサノオが仕上げ、アマテラスと村人で組み立てていく。
僕は時間が空いたら狩りや採取でお手伝いをしている。
毎日が飛ぶように過ぎていくが、生きていることを目一杯に感じて、幸せを感じる。
時々魔物が訪れるイベントもあるが、村人たちも揃えた武具を使って一緒に戦ってくれて、一体感が生まれている。
「はぁぁぁ……今日もよく働いた……」
村にも大浴槽を作った。
動力を利用し、高い位置の貯水塔から各家庭への上水道。
下水道を整備し、一箇所に集め簡単な下水処理を行って川へ排水する下水道。
とにかく急いでこの2つは作り上げた。
それだけでも村の生活は一変している。
間伐材を利用した木炭なども各家庭に潤沢に配給できている。
抱負な水分があれば農業も格段に拡充できる。
一部の動物を家畜化し、排泄物による有機肥料作成など、いろいろな組み合わせを考えるのが楽しくて仕方がない。
防壁は気がつけば丘部分の外側に移動している。
村は、間違いなく発展している。
もちろん、問題が無いわけではない。
「完全に人手不足だね」
「設備は用意できても動かす人間がいないブー」
「ハッジさん、あてはありますか?」
「そうですね……正直いくらでもあるような、ないような。
ここはすでに王都よりある意味快適で、移り住みたい人間はいくらでもいると思います。
ただ……」
「信用がおけない、もしくはそういった輩がこの村を自分のものにしようと考える。といったところですかな?」
「アマテラス様の仰る通り、そもそも地方の村なんて言葉を選ばずに言えば出来損ないの集まり。
そこが運よく発展すれば、うまい汁を吸おうとする輩が群がってきます」
「それは……美味しくないねぇ」
「叩きのめすとかはだめかニャ?」
「もしも貴族の息のかかったものであれば、国との対立になってしまいます……」
「流石にまだ早いですな」
「……まだ?」
アマテラスが不穏なことを言っている。
「この村の発展は隠しつつ、ゆっくりと人集めをするのが今のところは得策かな?」
「そうしたら防壁は堀に変えた方がいいブー、目立ちすぎるブー」
「カモフラージュの木柵と見張り台に変えるか……」
「ちょっと住居も集まりすぎてるから、適度に距離を離してのどかな雰囲気にするニャ!」
「有機肥料置き場も移動しよう、風向きによっては匂いが家の方に来るみたい」
「明日も忙しくなりそうだブー」
こうして、僕たちはまるでゲームのように村を使ってシミュレーションゲーム気分で開発を進めていく。そして、其処に暮らす人々は、ゲームのキャラではないことを、思い知らされるのであった。




