1 二年
この作品は中盤から始まっています。
深い暗闇の中に一抹の風景が広がる、そこに映るのは世界が暗闇に覆われていた。
その世界に居たのはガタイがよく屈強そうな男一人のみ、後ろには無数の屍がある。
彼はそれを乗り越え立ち向かおうとするも悪意の濁流に呑まれ消えていった。
「おね……ちゃん! おねぇ……ゃん! お姉ちゃん!!」
深く眠りにい着いていると、暗闇の中から男の子の声が響く。
「ん──はっ!?」
その声をきっかけにあの世界から自分が今居る場所がベットだと気づいた、
「お姉ちゃん大丈夫? すごくうなされていたよ?」
「大丈夫よ、セイ心配させてごめんね」
彼女は額に手を当てながら空いてる手でセイという男の子の頭を撫でる。
「おばさんがご飯だってさ、早く降りてこいってさ」
セイはそう言うと急いで振り向いて部屋から出ようとすると、
「あっそれと、ちゃんと顔は洗うんだよ!! そのままだと幸薄そうに見えるから」
おせっかいと言わんばかりにセイは下に降りていった、
「そこまで言うほどに?」
彼女はベッドから降りて部屋にある鏡を覗いた、
「あぁ、確かに酷い顔だわ」
そこに映っていた女性は白い髪でほんのり褐色の肌をしており、先程の悪夢のせいか表情が死んでいた、
「こんな顔をおばさまには魅せられないわ──」
そう言うと彼女は、昨日の内、桶に汲んでいた水を手に取りとり顔を洗うと、
「さっきよりはいいかな……」
そう言うと部屋の収納箱に直しているタオルを取り顔に着いた水気を取り下の階に彼女は降りた、
「カルナおば様おはようございます」
「おはようフォウ、朝は目覚めが悪かったようだねセイに聞いたよ」
「え……はい、毎度申し訳ありません朝は忙しいのに」
フォウと呼ばれた彼女は朝食を待っていたセイの隣に座った、
「はい、今日の朝食はスープだよ」
カルナは机に三人分のスープを並べて席に座った、
「じゃあ、食べようかね」
その合図でそれぞれスープをスプーンでとりながら口に運び出した、
「それにしても、もう二年か……二人を森の中で拾って」
おもむろにカルナはそう呟いた、
「それは本当に感謝しても感謝しきれません」
フォウはそう言うとカルナは続けた、
「あの時見つけた時は驚いたさ、少女と子供が一緒に彷徨ってた所を見つけた時は何事かと思ったけど……あの日の数日前にヤマタ王国が滅んでって聞いてその逃げてきた子達だと保護したけど……その時は記憶がないって言った時はさぞ驚いたさ」
カルナは二年前に彼女達を見つけた事を逐一思い出しながらそう語った、
「はい……」
フォウは沈んだ気持ちになるとそれを察したカルナは、
「ごめんごめん、気を落とさないでくれ、生きてれば色んな事があるさ、たまたま記憶を失った、ただそれだけじゃないか」
カルナはそう励ますとフォウは少し軽くなりスープを口に進め始めた、
「私は今日、町のギルドに行くよ」
カルナは話題を変えた、
「何かあるんですか?」
「もうすぐ、この辺に前線基地を置くって話が上がってきてね、私達じゃどうしようもない敵だから避難しなければいけないってさ、で、その手筈をギルドを主体に行うから町民は集まれって事さ」
『敵……』
フォウはその言葉に何か引っ掛かりを感じた、
「二人はその間に避難の準備をしておいてくれ」
カルナはそう言うとセイが、
「わかったよ、カルナおばさん!!」
セイは元気よく応えると暗い顔をしているフォウをセイは手をフォウの袖を引っ張った、
「あっ、はいわかりました」
と、応えた。
三人はスープを食べ終えると話していたとおりすぐにカルナはギルドに向かうため家から出ていった、
「お姉ちゃん僕たちは食料を買いにいこう!!」
セイがそう言うととフォウは視線を落として、
「うん」
と、優しく頷いた。
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