普通になりたい少女のお話
普通になりたかった
1
かわりばえのしない、同じような日々が淡々と流れ続ける。
少し期待して過ごした今日も、やっぱりなにも変わらなかった。
明日に期待して眠っても、目が覚めたらきっと馬鹿馬鹿しくなるくらい昨日と同じな明日なのだろう。
高校に入学したらなにか変わるだろうかと思えた2年前も、その2年後も、変わっている気はまったくしない。
この入り慣れた屋上も、そろそろ飽きてきてしまった。
「また勝手に入ってんの?」
聞きなれた声と台詞が後ろからやってくる。
「開いてるのが悪いでしょ?」
何回言ったかわからない台詞だ。
「いっつもおんなじことしか言わないな。」
「だって毎日同じなんだもの。」
何回したかわからない会話。
「もう帰るの?」
「あなたが来たからもう帰るわ。」
ああ、今日がそろそろ終わる。
「戻ってくる気はないのか?」
「無いわね。さよなら。」
ああ、今日が終わった。
ここから先も昨日となにも変わらない。
学校から家まで昨日と同じ道、同じ歩数、同じ歩幅、同じ速度で帰り、同じ時間に家につく。
家に着いてすることも昨日と同じ。
着替えて、ご飯を作ったら一旦風呂に入る。上がったらご飯を食べて、後片付け。終わったら今日の授業の復習。明日の授業の予習。宿題をやってる間に洗濯をして、宿題をやったら洗濯物を干す。明日の準備を家の掃除をすれば、もう寝る時間になる。昨日と全く同じ時間で全てが終わった。
やっぱり今日も変わらなかった。
きっと明日も変わらない。