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『彼女が死んだ日、噂のあの子が全裸でやってきた』

作者: 日野 愛歌

死ぬって何ですか?

死ぬって何ですか?

死ぬって何ですか?


≪日野 愛歌ちゃんのふんわりやわらか作品解説♪≫


この作品は 恋人を亡くしたばかりの一人の少年のアパートに

ある日、ネコミミな女の子がやってくるというラブコメ的お話です☆


ありていに言えば現代版『鶴の恩返し』(笑)


なななんと!ネコミミの女の子の正体は、恋人が死の間際に助けた猫だったのです!


死んだ彼女(の彼氏)に恩返しするために居候いそうろうをはじめた 純粋無垢なこねこちゃん。

「彼女が死んだのはこのアホ猫のせいだ」と 冷たく突き放す少年。



二人はいつしかめくるめく官能の世界へと堕ちて来ます。



はたして彼と一匹は結ばれるのでしょうか?

獣と人間の禁断の恋は実るのでしょうか? それとも――



それでは皆様。うがい手洗いをすませ、席につきましたら

手を合わせてください。


羊のように沈黙し、≪世界≫に黙祷を捧げてください。









『いただきます』


≪愛歌ワールド≫の片鱗、ぜひご賞味あれ。


===



『彼女が死んだ日、噂のあの子が全裸でやってきた』作*日野 愛歌





彼女が死んだ。交通事故で死んだ。猫を助けようとして死んだ。

電車の踏み切り事故で全身ぐちゃぐちゃのどろどろになって死んだ。

猫は生き延びた。。交通事故から生き延びた。。彼女に助けられて生き伸びた。

電車の踏み切り事故で全身がきれいに傷一つなく生き延びた。


彼女は助かった。でも彼女は助からなかったんだ。


猫は生きて、彼女は死んだ。人間が死んで、畜生が生き残った。


「畜生……」 

僕は狂った毒を嘔吐する。夜光虫の死骸がもぞもぞと食道を這い上がる。不快逆流。殺菌消毒。気持ち悪い。


死んだ人間の名は月野つきの しずく

彼女の生命いのちの歌はシャボン玉のように儚く、ぜ。ガラス細工のように脆く、崩れ去ってしまった。

涼しげな春の日の憂鬱の如く。


消えた。跡形もなく。雫が。ホントに……?


僕は僕は僕は。


雫は、この20年 何を感じ、誰を想い、どんな≪世界≫を夢に視たのだろうか? 

何の為に生まれ、何の為に苦しみ、何の為に死んでイったのだろうか?


生きてゆく不思議。死んでゆく不思議。


シニタクナイシニタクナイシニタクナイ。

イキタイイキタイイキタイシニタイ。


何もしてあげられなかった。こんな日が来るなんて思っていなかった。

この刹那が永遠だと信じてた。この瞬間こそ≪世界≫の全てだと信じきっていた。

いつか来る永劫の別れ。ずっと目を逸らしてた。だってだってだって。まさかまさかまさか…こんな。


痛い。苦しい。痛い。苦しい。痛い。苦しい。


「いっくん、ずっといっしょにいようね」って。

僕が思い描いていた未来では、君と僕と二人の赤ちゃんがいて。

楽しいことも苦しいこともつらいことも待っていたはずなのに。

君とだったら、そんな困難も乗り越えていけるはずだったのに。


「今の僕には理解できないよ……雫」



僕は何もしてあげられなかった。

なんで、なんで僕は昨日……



「ねぇ、いっくんは私のこと好き?」



「知らね」



答えなかった……?彼女のせいいっぱいの『愛して』が。何故、僕のココロには響かなかった?

照れくさかった。どうせ言わなくてもわかっている。今じゃなくてもいい。明日がある。


そう思った、だから答えなかった。でも……その明日は永遠に来なかった。


あの時の雫の哀しそうな、でもホッとしたような天使の微笑み。シットリと濡れそぼった唇。ポリポリと頭を掻くひょうきんな仕草。

迷子の子犬のような寂しそうな上目遣い。フレグランスのふんわりとした香り。心地いい。


思い出すと胸が切なくなる。目から涙がジワリと溢れてくる。歪む≪世界≫ 消える≪生命≫


まるで、ココロにぽっかりと穴が開いてしまったような錯覚。南極大陸のように寒くて広い。地獄のように暗くて深い。リストカットのようにだらしなく開かれた傷口。塞がらない塞がらない塞がらない。


死ぬまでこの身体の芯から冷えるような≪闇≫に耐えなくちゃいけないのか?

こんな十字架を背負いながら、僕は生きていかなくちゃならないのか……?


僕は。僕は。僕は。 


怖い怖い怖い。圧倒的孤独。絶対的不安。壊壊壊壊。

君と僕の愛した≪世界≫がガラガラと音を立てて崩れ去る。


シニタクナイシニタクナイシニタクナイ。

イキタイイキタイイキタイシニタイ。

痛い。苦しい。痛い。苦しい。痛い。苦しい。


≪滅びの歌≫ 神々の黄昏。 嫌だ……聴きたくない。


シニタクナイシニタクナイシニタクナイ。

イキタイイキタイイキタイシニタイ。

痛い。苦しい。痛い。苦しい。痛い。苦しい。


君と僕の愛した≪世界≫がガラガラと音を立てて崩れ去る。

怖い怖い怖い。圧倒的孤独。絶対的不安。壊壊壊壊。


僕は。僕は。僕は。






≪――ぁぁァぁああああああァあぁあああアアああああぁ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼……っっ!!!!!!!!!!!!!≫


崩壊の序曲。淫猥な地獄の肉棒が、純粋な天国の幼いワレメを淫らに犯す。壊れろ壊れろ壊れろ。犯せ犯せ犯せ。

傷だらけの天使の喘ぎ声に合わせて、残酷なるメフィストフェレスが≪快楽の歌≫をフルボリュームで奏でる。つんざくノイズ。鼓膜が鼓膜が鼓膜が――ぁああぁあ…っ




『歌え』




僕は僕は僕はぁああああああぁ…っ!!!!


こんな思いをするくらいなら、こんな絶望を味わうくらいなら――




『産まれて来なければ良かった』

ごめんなさいごめんなさい産まれて来てごめんなさい。


もし僕は君と出会わなければ――

もしもあの日、あのとき、あの場所で。君に出会わなかったなら?


そんなのは戯言だ。


なんでなんでなんで。どうしてどうしてどうして。


受け入れろ、現実を。


「嫌だっ…!!!!」


恋なんて……するんじゃなかった。


みんな……死んじゃえばいいのに。



「っぁ…っ逢いたい。逢いたいよぉお…しずくぅ…っ…」

誰かが哀しみを嘔吐する。


………………。

…………。

……。







ふとモニタの向こうを見上げると、そこに裸の少女が立っていた。僕は自分の頭を疑った。月野 雫。月に魅入られし彼女。

死んだはずのリコリスの花が今夜、月の視える丘の上でたおやかなる微笑をたずさえ ただ凛と咲いている。



「し、しず…く?ホントに……しずくなの…か?」僕は無様に挙動を不振する。


雫の形をした肉壺は、満面の笑みで とろけるように甘いはちみつを差し出す。


「あなたの未来にご奉仕するにゃん♪ご主人様」


空気の読めない突然の来客に、僕は、若干の呆れと吐き気を催しつつ、ココロの底から感謝した。



「ありがとう」





飛んで火に入る夏の害蟲。

さあ、復讐のはじまりだ……







彼女が死んだ。交通事故で死んだ。猫を助けようとして死んだ。

電車の踏み切り事故で全身ぐちゃぐちゃのどろどろになって死んだ。

猫は生き延びた。。交通事故から生き延びた。。彼女に助けられて生き伸びた。

電車の踏み切り事故で全身がきれいに傷一つなく生き延びた。


猫は助かった。でも彼女は助からなかったんだ。



「――人を愛するって何ですか?」



抉って脳味噌

     掻き出し

        て

        ヤ

      糞よる

      猫

  


殺して解体(バラ)して殺して解体(バラ)して殺して解体(バラ)して。

並べて揃えて並べて揃えて並べて揃えて。   ――ねこみみもーど♪


弱い者ほど徒党を組み、身代わりの羊を探す


妖精「あなたは奢れる無能な神にでもなったつもりなの?」


八雲紫「さあ、楽園に還りましょう?」


少女「お願い…チルノ。私を信じて?」


差し出された少女の小さな手があたいには、とても大きく視えた。



少年は少女の為に。

少女は少年の為に。

今、伝説の氷の妖精が


目覚める――




ハニ→シュガ→最新作

■東方幻想郷絵本『あたいったらやっぱり最強ね』■


2008年12月7日、開闢かいびゃく――




「――本当の強さって何ですか?」



生きろ。

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