表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/142

84 追跡

 あんまり、BTCが安いと言うのも飽きてきましたね。

『注意』仮想通貨の取引には、非常に高いリスクが伴いますことを承知のうえ、兆利人を目指してくださいね。その際は、少額投資で経験を積むことをお勧めします。

 うっ、頭が・・・ 何か、そう、まるでナメクジが、頭の中を這うような不快な感覚だ。


『ムガット』

「ああ、心配するな。ムガット、大丈夫だ。少し頭痛がしてびっくりしただけだ。お前も感じるか?この何だか不思議で不快な感覚を。この感覚に慣れてしまえば、やれるはずだ」


 落ち着け、俺、呼吸を鎮めろ、心臓の鼓動を抑えろ。

 まずは、さっき感じたキリュウの気配、存在、居場所を特定するんだ。人の個性は何が決定するんだ?服装か持ち物か気配か?それとも思考、感情なのか?

 そ、そうか、心と魂は観察する方向が違うだけで同じものなのかもしれない。ならば、俺には心も魂も感じることは出来ない。が、仮想通貨霊子レイスの開発過程で魂を魔導の力を借りてブロックチェーン上にマッピングしてきたはずだ。

 この月面基地でキリュウと俺たちが濃厚接触したことにより、俺の専有スキルである詐欺スキャムによって生み出された魂に変革をもたらすウイルスに彼女も間違いなく感染した。このことによって問題無く、ここでも霊子が使用できるようになっていた。

 ならば、俺にも観測できるはずだ霊子のブロックチェーンを通じて、キリュウの心、魂を感じさえすればいいのだから。

 難しいことはない、緊張する必要も無い。ただ、キリュウの心の残滓を辿ればいい。魂に刻まれたブロックチェーンの情報を辿りさえすればいい。さっきまであれほど近くにいたのだから、障害など何も無い。俺は知っているのだから、ただ知っている。

 俺は、いつのまにか心を集中と拡散の相反する状態に置いていた。多分、意識して行ったことではない。夢現ゆめうつつのトランス状態に入ったのだろう。


「どうかいたしましたか、我が主?」

「うん、何でも無いわ。でも、うれしいものね。好きな男の子が私の為に努力して、強く成長していく姿を感じられるのは。今日のお茶はいつにも増して、いい香りだわ」


 

 香しい紅茶の香りとほんのりとした甘さを感じた。そして、微かに優しさを感じた。

 うん、眠ってしまったのか?だけど、確かにキリュウを感じた。


 何の気なしにスマフォを見るとメールの着信があった。こっちの世界に異世界転移してからメル友の数はめっきり減った。五本の指で足りてしまうのが悲しいところだ。 送信者の有力候補は、ハナ王国の第二王子ナルシュ・ド・ボンと凄腕M&Aアドバイザーのスカーレット、後は意外にもこの手の機械も好きな銭儲けの女神エンドロ・ペニーが続くところだ。まあ、相手は多分スカーレットで、商談の話だろうと思って内容を見ると、誰だこいつは?

 メールアドレスは、確かにスカーレットからのものだったが、文章から明らかに書いたのはスカーレットではない。偶然スマフォを拾った善意の第三者だとでも偽るつもりなのか?

 こんなふざけたメールを送ってきた奴は、どういうつもりなんだろう?ただのいたずらか?



 件名:買ってください

 本文:も、もう限界です。助けて下さい。いくらでもいいです、早く。助けて下さい。

 極度の集中による魔導の力の消費と、普段とは違うストレスと刺激で疲れていたのか急激に眠気が襲ってきた。


『い、痛い。助けて!』


 今何か、また聞こえたような気がしたが。コールタールのような濃い睡魔には勝てそうもない、瞼がとてつもなく重い、限界だ。きっと多分気のせいなのだろう・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ