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27 ツアーコンダクター

『注意』仮想通貨の取引にはハイリスクがつき纏います。リスクを理解したうえで自己責任でお願いします。一時の上がった下がったに囚われず、利確するまでが投資のサイクルです。

「では、お客様。この森にて、魔物のハンティングを開始いたします。危険はありませんが万一の為、当方から離れませぬようにお願いいたします」

「え?なに、ツアコンみたいなこと言ってるのよ?」


 かしこまったお辞儀をした後、にっこり笑う俺に文句を言う赤いドレスを纏った麗人スカーレット。既に御者には二時間後に向かいに来てもらうよう頼んで帰している。料金も霊子(レイス)で多めに支払いを済ませてあるので今は二人きり、お互い気安い気分でいた。


「まっ、今からやるのはサファリパークのガイド役みたいなもんだから、ツアコンでも間違っていないさ。今日は招待客であるスカーレットに、異世界の魔物ハンティングをご披露するんだからな」

「え?でも、危なくないの?普通はもっと大勢で狩りをするんじゃなくて。それに犬もいないみたいだし」

「ああ、犬はいないがうちの下僕(ペット)が獲物を見つけてこっちに誘い込んでくるからもう少し待ってくれよ、これでも飲んでさ」


「こういう所で飲むコーラは美味しいわね。しかし、あなたのスマフォは便利ねぇ。こっちの世界の物でも仮想通貨で決済すれば、すぐ届けて貰えるし。どんな仕組みなのかしら?」

「さあな、謎の女神が改造した物だから一品物で分解して調べる訳にもいかないから正直俺にもわからないのさ。案外、どこの金だろうが貴賤は無いっていう女神の気概かもしれないな」


 助けてー!もう、二度とやりませんよ、こんなこと!

 遠くから叫び声が愚痴口調混じりに聞こえたが、気にしたら負けだ。


「おっ、やっと来たか。スカーレットは、俺から離れるなよ」

「ええ、だけど本当に大丈夫?」

「まあ、見てな」


 しばらくすると茂みから黒い獣が飛び出して来た。


「きゃっ」

「おっと、こいつは俺の下僕(ペット)だから大丈夫だ。つぅ、このぉまた引っ掻いたな」

「いつもこんな酷いことをさせておきながら、どこが飼い主ですか?ご主人!」

「えっ?しゃべった?この黒猫が、どうなってるの竜?」

「ああ、前の世界で飼ってたネコだ、ほぼ真黒だけど遺伝異常でシャム猫なんだ。例のアンだっけ?女神が俺の所に寄こしてくれる際に特典で人間の言葉を使えるようにしてくれたんだ」

「お嬢様、お初にお目に掛かります、ネコと申します。ご主人共々、よろしくお願いいたします」

「え、す、スカーレットよ。よろしくね」


 ネコは、俺を引っ掻いた後報復を恐れてスカーレットの腕の中に飛び込むと挨拶を交わした。


「さぁ、来るぞ!」

 !?


 灰色の狼、それも元の世界とは違って牛ほどの大きさの魔物が数頭唸り声をあげて向かって来た。

「一000霊子、投げ銭(スピンターン)!、スピンターン!、スピンターン!」


 俺は、投げ銭で手近にいた狼の魔物三頭を一瞬で倒した。俺の口座(アカウント)に差し引きで三000霊子が加算された。一頭あたりニ000霊子か。


 残る二頭の魔物が警戒するように距離を取ると、不意に口から冷気を吹きかけてきた。

「また、赤字かよ。一万霊子、金の劔(マネーソード)!」


 俺たちの前で高速で回転する黄金の円盤が氷狼(アイスウルフ)の冷気を弾き返す。冷気を防がれて怯む氷狼、冷気が抑まった瞬間俺は黄金の劔を手にして一気に距離を詰めて袈裟斬りで一頭を屠り、二頭目を逆袈斬りで片付けた。

 俺の口座から四000霊子が減算された。


「ふう、どうかな?魔物のハンティングは?あっちじゃ、映画やアニメでしか見れない氷狼との戦闘シーンもあって結構見応えあったと思うけど?」

「ええ、とても興味深かったわ。ところで、赤字って?収支がマイナスなの?こんなに魔物を狩ったのに」

「ああ、最後に使った金の劔が少し費用が嵩むんでね。幾つか氷狼の牙とかがドロップしていれば良かったんだが。一000霊子の赤字だな」

「ふーん、大変ねぇ。でも、私は大満足かな異世界の珍しい狩りが見れて」


 時間通りに戻って来た馬車に乗って、俺たち二人はジョージさんの館を訪れた。馬車での会話が弾んだのは言うまでもないよね。

 

2019.5.4 誤記修正

2020.3.6 微修正

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