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133 納品

最高のときに最悪に備え、最悪のときに希望を見失わない。

数手先を見越す、兆利人とはこういうものよ。

 さてと、この星に何を売りつけるかなあ。

「特別不足してそうな物はない感じだが、取引の鉄則は顧客の要求(ニーズ)と懐勘定を察知する必要がある。あとは、タイミングだよな」

『・・・・・・ ムガット』

「リュラーン、一度引き揚げてアラクの意見を採用すれば良いのよ。困ったときは年寄り(おばあちゃん)の知恵を借りるべきよ」

「そうだな、アラクに借りを作るのはどうかと思うが・・・・・・ 一度宇宙船に戻るのはいい手かも知れないな。よし、今のところの意見は出尽くしたな。ネコ、帰るぞ!」

「・・・・・・ ご主人、まだ意見聞かれてないし」


「ご主人様、鉱物資源等で不足している様子もありませんし、あの惑星の住民と我々の遺伝子プールがほぼ同一なことも検証できました。故に宇宙船太陽系マンズーマ・シャムセイヤの中に商品として提供できる価値あるものはありません」

 宇宙船太陽系の制御AIアルドが、戻って来た俺たちに大雑把に報告してくれた。

(うーん、これでは折角商談をまとめたのはずなのに結局取引できないことになってしまう)


「リュラーン皇子、火星の招かざるお客様をお忘れですか? 彼らから採取できれば十分商品価値のある遺伝子が手に入ると思われますが」

 不意に通信を寄こした月で留守を預かるアラクが、皮肉気に大型スクリーンに映る。

「そ、そうか。彼等ならきっと、あの惑星の量子コンピュータαβ(アルファ・ベータ)も満足するかも知れないなあ。しかし、どうしたものか?」

「それなら、いっそのこと彼らをこの船に招待すればいいじゃない、リュラーン」

「姉さん。うーん、それしか無いか。こちらに呼んで、不法侵入のかたに遺伝子を頂くか?だが、あの惑星の流儀だと三種類は用意しないと。彼等だけでは足らなくなりそうだな」


「船長、君たちの協力のお陰で我々も有意義な経験ができたよ」

「こちらこそ、貴官の厚遇には感謝するよ。前回訪れた惑星と今回の惑星の調査資料を手教してくれるとは正直有難い」

「まあ持ちつ持たれずだよ、船長」

 俺は探査船の船長との通話を切った。


 俺は、アルドに命じて探査船から入手した乗員の男女と八本足を持つ爬虫類の様なものをαβの元に転送させた。彼らのこう配はいつも三要素を使用しているので今回もそう用意した。

「おお、久方振りに別の系譜を持つ遺伝子情報プールを入手できる。これは期待以上の商品だ。代金は弾ませて貰うよ」

「実にいい取引だったよ、αβ」

 見知らぬベイビ(愛の結晶)が、保育器(インキュベータ)の蓋を開け、Ωと実に楽しそうに舞の様な動きで模擬戦闘を繰り広げる姿が大型スクリーンに表示されていた。

 

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